The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PE(01-80)

ポスター発表 PE(01-80)

Sun. Oct 8, 2017 1:30 PM - 3:30 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:30 PM - 3:30 PM

[PE70] 教師が認知した学級風土の日中比較

金明ブン1, 田中俊也2 (1.関西大学, 2.関西大学)

Keywords:学級風土, 教師の認知, 日中比較

目   的
 教師が学級運営や生徒指導を行う際に,自分が認知した学級風土の現状に基づき,意図的に指導法を変更したり,リーダーシップの取り方を変えたりするなど,風土改善の活動を取り込んでいく。その風土改善の活動が生徒にどのように受け留められるかによって,教師と生徒の間に学級風土に対する認知のズレが生じると考えられる。換言すれば,教師が認知した学級風土の現状は生徒が認知する学級風土に間接的に影響を与えていると考えられる。
 教師の持つ学級風土に対する認知に影響する要因としては,国の教育政策・方針,学校の教育理念,教師の教職歴・個性など様々なものが考えられる。本研究では,それらの要因の効果を明らかにするため日中比較を通して検討することを目的とした。
方   法
調査時期と対象 2014年5月~12月,日中の小学校教師184名(日本82名,中国102名)。
調査方法 第一筆者の知人を通じて日中の小学校教師を対象に質問紙調査を行った。
質問紙 「小学生用短縮版学級風土質問紙」(伊藤,2009)とそれを元に,第一筆者が訳した中国語版を日本語に熟達している中国人留学生等4名のチェックを経て作成したもの。
結   果
1.教師の教職歴別風土得点
 184名の教師を教職歴で分類したところ,新任教師(教職歴1~10年)が69名(日本31名,中国38名),中堅教師(教職歴10~20年)が64名(日本25名,中国39名),ベテラン教師(教職歴20年以上)が51名(日本26名,中国25名)であった。それぞれの学級風土各因子の得点はTable1の通りである。
2.学級風土各因子に対する教職歴・国の効果
 教育歴と所属する国を独立変数として各因子への効果を検討したところ,「学習への志向性」「学級内の不和」を除き,他の因子において国の主効果が見られ,いずれも日本より中国の方が得点が高いことが分かった。
 それらの内,「学級への満足度」に対しての教育歴と国の主効果を検討した結果,Figure 1の通り日本より中国のほうが得点が高いことが分かった(F=16.51,df=182,p<0.001)。
考   察
 中国では素質教育(ゆとり)の教育政策が実施され,教師が学級運営する際に生徒が学校生活を楽しませる方に力を注いで来たため,「学級への満足度」や「学級活動への関与」などにおいて日本の教師より中国の教師の方が高く評価する傾向があると思われる。
文   献
伊藤亜矢子(2009).小学生用短縮版学級風土質問紙の作成と活用 コミュニティ心理学研究12,155-169..