The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PE(01-80)

ポスター発表 PE(01-80)

Sun. Oct 8, 2017 1:30 PM - 3:30 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:30 PM - 3:30 PM

[PE74] 小学生におけるいじめ傍観傾向を抑制する要因の検討(4)

性差に着目して

久米瑛莉乃1, 田中宏二2 (1.広島文化学園大学大学院, 2.広島文化学園大学)

Keywords:小学生, いじめ, 傍観者

問題と目的
 近年,いじめ問題は学校現場だけではなく,社会にとっても大きな課題の一つとなっている。森田(1986)は,いじめの抑制には傍観者の存在が重要であることを明らかにしている。
 久米・田中(2016a)は,いじめ傍観傾向に関連する要因として,個人要因の共感性,個人規範,主張性,集団要因のいじめ・否定学級規範を取り上げ,いじめ傍観傾向抑制との関連について検討した。その結果,男女に共通して個人規範はいじめ・傍観否定学級規範を介しいじめ傍観傾向に関連し,男子は主張性,女子は共感性がいじめ・傍観否定学級規範を介しいじめ傍観傾向に関連することが明らかとなった。さらに,久米・田中(2016b)では,個人規範,いじめ・傍観否定学級規範,いじめ傍観傾向の下位尺度が他の要因にどのように関連しているかについて検討を行った結果,男子は先行研究と同様の結果になったが,女子の特徴である共感性は,いじめ傍観傾向との関連を示さず,男子と同様に主張性がいじめ傍観傾向に直接的に関連することを示した。両研究結果に違いが生じた要因として,いじめ・傍観否定学級規範に対する個人規範の関連が高く他の要因との関連が相対的に低下したことが考えられる。
 そこで,本報告では,両研究結果の相違を詳細に検討するために,いじめ傍観傾向を抑制する要因との関連について性差に着目し,パス解析を用いて検討を行った。
方   法
(1)調査対象者と調査時期 本調査はX市内の公立小学校3校の第5・6年生,合計676名を対象に質問紙法で調査を行い,有効回答数は621名(男子302名,女子319名)であった。調査は2015年10月上旬~2016年12月中旬にかけて実施した。
(2)調査項目 ①共感性尺度 桜井(1986)のESC尺度9項目4件法。 ②個人規範尺度 “道徳領域”“慣習領域”“家庭領域”“学校領域”という4つの因子からなる領域別ルール自己判断尺度(松尾・新井,1999)の27項目4件法。③主張性尺度 児童用主張性尺度(濱口,1994)16項目4件法。④いじめ・傍観否定学級規範尺度 大西・黒川・吉田(2009)のいじめ否定学級規範を参考にいじめ・傍観否定規範を作成し,“加害否定”4項目“仲裁(救済行動)”3項目“傍観否定”3項目6件法。⑤いじめ傍観傾向尺度 大西・吉田(2010)のいじめ加害傾向尺度を参考にいじめ傍観傾向尺度を作成し,“関係性いじめ傍観傾向”2項目“直接的いじめ傍観傾向”2 項目4件法。
結果と考察
 共感性,個人規範及び主張性がいじめ・傍観否定学級規範を媒介しいじめ傍観傾向に関連するモデルを想定し,パス解析を行った(Figure 1,2)。
 個人規範はいじめ傍観傾向に直接的,又はいじめ・傍観否定学級規範を介し関連を示した。主張性は,男子ではいじめ傍観傾向の抑制に直接的,又はいじめ・傍観否定学級規範を介し関連するが,女子では認められなかった。共感性は,女子ではいじめ傍観傾向の抑制に直接的,又は間接的に関連するが,男子では間接的にのみ関連を示した。つまり,相対的に男子では主張性の育成が,女子では共感性の育成がいじめ傍観傾向の抑制に効果を持つことが示唆された。さらに個人規範といじめ・傍観否定学級規範は,男女とも相互に関連していることから規範意識の形成がいじめ傍観傾向の抑制には主要な要因となることが示唆された。
引用文献
Kume E., & Tanaka,K.(2016a). The 6th Asian Congress of Health Psychology,Japan
久米・田中(2016b)日本健康心理学会発表論文集