4:00 PM - 6:00 PM
[PF01] 一般青年が日常生活で感じるモラル・ジレンマⅡ
-非行少年との比較-
Keywords:モラル・ジレンマ, 日常生活, 青年期
目 的
近年,若者のモラルの低下が問題として取り上げられている。本間 (2016) は,長尾・相賀 (2015) を参考に,予備的検討として一般青年が日常生活でどのくらいの割合でモラル・ジレンマを感じているのか,非行少年と比較検討を行った。しかしながら,被験者は66名と小標本であった。本調査では新たに被験者を増やし,再度,非行少年とのデータとの確認を行うことを目的とした。
方法 対象者 大学生66名(本間;2016) に加え,大学生および専門学校生を222名追加し(大学生169名,専門学校生52名),合計288名であった。
調査内容
モラル・ジレンマについて 本間(2016)と同様の調査内容であった。
倫理的配慮 本研究は,新潟青陵大学倫理審査委員会において審査を受け,承認を得ている。
結果および考察
対象者の平均年齢は19.52歳(SD=1.51,無回答1名)であり,男性85名(29.5%),女性202名(70.1%),無回答1名(0.3%)であった。長尾・相賀 (2015) の被験者は全員男性であるため,分析は男女込みにして行った。
分析は以下の6つのカテゴリーに分類を行った。カテゴリー1:①生活場面である,「学校・家庭・アルバイト先(どれか1つを選択)」,②「交友関係」の両方にモラル・ジレンマを感じたことがあると回答し,かつ自由記述もなされている(77名,26.7%)。カテゴリー2:①のみ「ある」と回答し,自由記述もなされている(116名,40.3%)。カテゴリー3:①,②ともに「ある」だが,自由記述はなされていない(10名,3.5%)。カテゴリー4:①,②とも「ない」(45名,15.6%)。カテゴリー5:①については「ない」,②については「ある」で自由記述がなされている(33名,11.5%)。それ以外については「その他」としてカテゴリー6として分類し(例えば,①については「ある」で自由記述がなされているが,②については「わからない」,および「ある」に丸をつけるが,内容については忘れた,と記述),該当者は7名(2.4%)であった。
カテゴリー1の一般青年は77名(26.7%),カテゴリー2は 116名(40.3%),カテゴリー3は33名(11.5%)であり,長尾・相賀 (2015) で示された非行少年におけるパーセンテージはカテゴリー2については34.4% ,カテゴリー3については22.7% であった(カテゴリー1については,重複する被験者はいると思われるものの,分類がなされていないため不明である)。不完全なデータからの考察になるものの,一般青年においては「交友関係」そのものよりも,より幅広く「生活場面(学校・家庭・アルバイト先)」でモラル・ジレンマを感じる傾向があることが予想される。さらに,カテゴリー4の「モラル・ジレンマ」を感じたことが「ない」の被験者は45名 (15.6%)であり,日常生活において,モラル・ジレンマを感じていない一般青年は比較的少ないと言えるだろう。しかしながら,長尾・相賀 (2015) より,モラル・ジレンマを感じており,自由記述がなされている場合でも,規範意識,社会常識,対人スキルの欠如などにより,記述されているモラル・ジレンマがモラル・ジレンマとして成立していない者も含まれている可能性が考えられる。今後は得られた自由記述について,KJ法によるカテゴリー化を行っていき,一般青年においてモラル・ジレンマが成立していない場合は,どのような理由で成立していないのかについて明らかにし,青年期における道徳教育に役立てていきたいと考える。
謝辞 本研究は新潟青陵大学共同研究費の助成を受けた。データの収集については,竹田敏彦先生にご協力を頂いた。
近年,若者のモラルの低下が問題として取り上げられている。本間 (2016) は,長尾・相賀 (2015) を参考に,予備的検討として一般青年が日常生活でどのくらいの割合でモラル・ジレンマを感じているのか,非行少年と比較検討を行った。しかしながら,被験者は66名と小標本であった。本調査では新たに被験者を増やし,再度,非行少年とのデータとの確認を行うことを目的とした。
方法 対象者 大学生66名(本間;2016) に加え,大学生および専門学校生を222名追加し(大学生169名,専門学校生52名),合計288名であった。
調査内容
モラル・ジレンマについて 本間(2016)と同様の調査内容であった。
倫理的配慮 本研究は,新潟青陵大学倫理審査委員会において審査を受け,承認を得ている。
結果および考察
対象者の平均年齢は19.52歳(SD=1.51,無回答1名)であり,男性85名(29.5%),女性202名(70.1%),無回答1名(0.3%)であった。長尾・相賀 (2015) の被験者は全員男性であるため,分析は男女込みにして行った。
分析は以下の6つのカテゴリーに分類を行った。カテゴリー1:①生活場面である,「学校・家庭・アルバイト先(どれか1つを選択)」,②「交友関係」の両方にモラル・ジレンマを感じたことがあると回答し,かつ自由記述もなされている(77名,26.7%)。カテゴリー2:①のみ「ある」と回答し,自由記述もなされている(116名,40.3%)。カテゴリー3:①,②ともに「ある」だが,自由記述はなされていない(10名,3.5%)。カテゴリー4:①,②とも「ない」(45名,15.6%)。カテゴリー5:①については「ない」,②については「ある」で自由記述がなされている(33名,11.5%)。それ以外については「その他」としてカテゴリー6として分類し(例えば,①については「ある」で自由記述がなされているが,②については「わからない」,および「ある」に丸をつけるが,内容については忘れた,と記述),該当者は7名(2.4%)であった。
カテゴリー1の一般青年は77名(26.7%),カテゴリー2は 116名(40.3%),カテゴリー3は33名(11.5%)であり,長尾・相賀 (2015) で示された非行少年におけるパーセンテージはカテゴリー2については34.4% ,カテゴリー3については22.7% であった(カテゴリー1については,重複する被験者はいると思われるものの,分類がなされていないため不明である)。不完全なデータからの考察になるものの,一般青年においては「交友関係」そのものよりも,より幅広く「生活場面(学校・家庭・アルバイト先)」でモラル・ジレンマを感じる傾向があることが予想される。さらに,カテゴリー4の「モラル・ジレンマ」を感じたことが「ない」の被験者は45名 (15.6%)であり,日常生活において,モラル・ジレンマを感じていない一般青年は比較的少ないと言えるだろう。しかしながら,長尾・相賀 (2015) より,モラル・ジレンマを感じており,自由記述がなされている場合でも,規範意識,社会常識,対人スキルの欠如などにより,記述されているモラル・ジレンマがモラル・ジレンマとして成立していない者も含まれている可能性が考えられる。今後は得られた自由記述について,KJ法によるカテゴリー化を行っていき,一般青年においてモラル・ジレンマが成立していない場合は,どのような理由で成立していないのかについて明らかにし,青年期における道徳教育に役立てていきたいと考える。
謝辞 本研究は新潟青陵大学共同研究費の助成を受けた。データの収集については,竹田敏彦先生にご協力を頂いた。