4:00 PM - 6:00 PM
[PF25] 配慮の必要な生徒の主体的な役割取得による価値理解と自己表現
道徳科の授業改善を意識した評価
Keywords:吹き出し, 発達段階, アクティブラーニング
課題意識の背景
中学校の支援学級担任や不登校生徒の校内適応指導教室,習熟度別学習で勉強が苦手な方のクラスの担当など,さまざまな課題をもつ子どもたちと個別の関わりをしていた中で,「相手の立場に立つということが難しい」と悩んでいる生徒が多いことを感じていた。
2019年から中学校でも道徳の教科化が始まり,今まで以上に道徳の評価が重要視されるようになる。これには,①子どもたちの道徳的成長の評価と②教師自身の授業評価の大きく二つの意味があるが,①は子ども自身の学びのメタ認知が非常に重要であり,②は①の丁寧な見取り,つまり子どもの学びのアセスメントの積み重ねが必要である。そのため,すべての子どもたちが取り組み,学習前後の変化を視覚化しやすい方法と効果を検討する。
役割取得の方法と価値理解・自己表現
現在用いられている「私たちの道徳」掲載の「賢者の贈り物」は,現学習指導要領に基づいて作成されているので,内容項目,2―(2)「思いやり」の道徳的価値を考えることになっている。小学校低学年の教材では,役割演技(ロールプレイ)の手法で,自分以外の人の立場にたって心情を味わい考える体験をさせることもある。しかしながら,中学生の発達段階ではその方法は難しいことも多い。そこで4コマ漫画を描き,吹き出しに感じた言葉を書き込む方法をとった。
思いやりは人の気持ちをわかることだと考える子どもが多いので,導入で「人の気持ちがわかること」と「思いやりがあること」は同じか考える。詐欺師は,人の気持ちがわかる必要があるが,幸せにするのが目的ではない。認知のずれの揺さぶりで道徳的価値を考えるきっかけができる
漫画を描くというのは,生徒に媚びた安易でキャッチーな手段のようだが,役割演技の発想を思春期の発達段階に活かせる良い方法であった。文章を読む学習意欲や能力が高くなくても,絵を描こうとすると,誰が何を売って何を買ったのか,もう一度読み直したり,友達に確認したりする。吹き出しに言葉を書き込むためには,それぞれの人物になって気持ちを考える。発表をしなさいという時間を取らなくても,自然に互いに漫画を見せあい言い合う。対話的,協働的な学びが成立する。
生徒の評価と授業改善
この学習活動でステップを上がり考えたため何かの形でアウトプットしたくなる。「思いやり」という道徳的価値についても書こうとする。主体的に取り組んだ一人一人のワークシートに多様な情報があり,生徒の評価も励ますベクトルの記述ができるようになる。これが授業改善のための評価の元にもなる。
道徳科の授業改善を意識した評価のPDCAサイクルで,教育心理学の見地を活かす。(Figure 2)
中学校の支援学級担任や不登校生徒の校内適応指導教室,習熟度別学習で勉強が苦手な方のクラスの担当など,さまざまな課題をもつ子どもたちと個別の関わりをしていた中で,「相手の立場に立つということが難しい」と悩んでいる生徒が多いことを感じていた。
2019年から中学校でも道徳の教科化が始まり,今まで以上に道徳の評価が重要視されるようになる。これには,①子どもたちの道徳的成長の評価と②教師自身の授業評価の大きく二つの意味があるが,①は子ども自身の学びのメタ認知が非常に重要であり,②は①の丁寧な見取り,つまり子どもの学びのアセスメントの積み重ねが必要である。そのため,すべての子どもたちが取り組み,学習前後の変化を視覚化しやすい方法と効果を検討する。
役割取得の方法と価値理解・自己表現
現在用いられている「私たちの道徳」掲載の「賢者の贈り物」は,現学習指導要領に基づいて作成されているので,内容項目,2―(2)「思いやり」の道徳的価値を考えることになっている。小学校低学年の教材では,役割演技(ロールプレイ)の手法で,自分以外の人の立場にたって心情を味わい考える体験をさせることもある。しかしながら,中学生の発達段階ではその方法は難しいことも多い。そこで4コマ漫画を描き,吹き出しに感じた言葉を書き込む方法をとった。
思いやりは人の気持ちをわかることだと考える子どもが多いので,導入で「人の気持ちがわかること」と「思いやりがあること」は同じか考える。詐欺師は,人の気持ちがわかる必要があるが,幸せにするのが目的ではない。認知のずれの揺さぶりで道徳的価値を考えるきっかけができる
漫画を描くというのは,生徒に媚びた安易でキャッチーな手段のようだが,役割演技の発想を思春期の発達段階に活かせる良い方法であった。文章を読む学習意欲や能力が高くなくても,絵を描こうとすると,誰が何を売って何を買ったのか,もう一度読み直したり,友達に確認したりする。吹き出しに言葉を書き込むためには,それぞれの人物になって気持ちを考える。発表をしなさいという時間を取らなくても,自然に互いに漫画を見せあい言い合う。対話的,協働的な学びが成立する。
生徒の評価と授業改善
この学習活動でステップを上がり考えたため何かの形でアウトプットしたくなる。「思いやり」という道徳的価値についても書こうとする。主体的に取り組んだ一人一人のワークシートに多様な情報があり,生徒の評価も励ますベクトルの記述ができるようになる。これが授業改善のための評価の元にもなる。
道徳科の授業改善を意識した評価のPDCAサイクルで,教育心理学の見地を活かす。(Figure 2)