日本教育心理学会第59回総会

講演情報

ポスター発表 PF(01-81)

ポスター発表 PF(01-81)

2017年10月8日(日) 16:00 〜 18:00 白鳥ホールB (4号館1階)

16:00 〜 18:00

[PF26] 大学生の英語読解学習に対する自己調整意識

松岡真由子1, 浅井淳2 (1.京都大学大学院, 2.大同大学)

キーワード:自己調整学習, 動機づけ, 英語読解方略

問題と目的
 英語を外国語として学ぶ環境では,生涯学習として学習者自身が目標を立てて自律的に学習することが求められる。近年,自己調整学習に焦点を当てた研究が見られるようになったが,学習モデルについてはさらに取り組む必要がある。本研究では,自己調整学習能力,動機づけ,そして読解方略使用の3領域に着目し,英語読解学習における自己調整学習意識を明らかにすることを目的とする。
方   法
手続き
 2016年7月から9月に3地域で1大学ずつ,理系で広い習熟度の1年生計229名(男性172名,女性57名)が無償で質問紙調査に参加した。
質問紙
 Tseng et al.(2006),Noels et al.(2000),Matsumoto et al.(2013)などの先行研究を基に,(1)自己調整学習能力尺度20項目,(2)動機づけ尺度20項目,(3)英語読解方略尺度19項目からなる計59項目5件法の質問紙を作成した。
結果と分析
 質問紙への有効回答数228に対して,領域ごとにバリマックス直交回転で探索的因子分析を行った。一貫性が低く,負荷因子が不明確な項目を除外した結果,(1)自己調整学習能力尺度はTable 1,(2)動機づけ尺度はTable 2,(3)英語読解方略尺度はTable 3に示すような構成因子が抽出された。例えば(1)自己調整学習能力尺度における第1因子は「学習を先延ばしにせずに取りかかる,自分なりの方法がある」などの11項目が含まれ,「学習姿勢自己管理」と命名した。
考   察
 (1)自己調整学習能力尺度の学習姿勢自己管理因子には,Metacognitive,Satiation,Commitmentの下位構成尺度が共通に含まれた。学習環境意識因子はEmotion,ストレス管理因子はEnvironmentalの意識が対応すると考えられた。(2)動機づけ尺度に関しては,習得価値観・向上心因子はIntrinsic stimulation / accomplishment / knowledge,自己成長期待感因子はIdentified / External regulation,英語学習目的・学習意義因子はMotivation,グローバル社会意識はExternal regulationによる下位構成とそれぞれ解された。同様にして,(3)英語読解方略尺度の4因子に対しては順にMonitoring / reasoning strategy,Main idea strategy,Reasoning / adjusting strategy,Adjusting / monitoring strategyが付与された。このように,先行研究とは各尺度の下位構成がやや異なる結果であり,新たな傾向が示唆された。
今後の課題
 今回の3領域に共通するのは因子の累積寄与率が小さく説明力が低いことであり,自己調整意識への他の説明要因が考えられる。質問項目の再考など,今後さらなる検討が必要と考えられる。