The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PF(01-81)

ポスター発表 PF(01-81)

Sun. Oct 8, 2017 4:00 PM - 6:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

4:00 PM - 6:00 PM

[PF39] 学習における動機づけの増減に関する素人理論V

尺度の作成と因子構造

中川華林1, 山口剛2, 加藤みずき3, 押尾恵吾4, 藤田哲也5 (1.法政大学大学院, 2.日本工業大学, 3.法政大学大学院, 4.法政大学大学院, 5.法政大学)

Keywords:動機づけ, 学習環境, 素人理論

近年,学習に関する動機づけには様々な理論があり,それぞれの理論は独自性をもって発展している。一方で,これらの理論は当初は経験に基づいていたかも知れないが,理論的な枠組みを基礎としている。その点に注目し,加藤他(2015)や中川他(2015)は,学習者がもつ動機づけの増減に関する素人理論を自由記述によって測定した。本研究は,自由記述によるカテゴリを参考に項目を作成し,いかにして各項目が関連し合って因子を形成するかを明確にしようとする。
方   法
参加者と手続き
 都内の私立大学に通う大学生213名を対象とした(女性134名, Mage = 19.65, SDage = 1.25, Rangeage = 18 - 28)。ある授業時間中に講師の協力を経て実施した。上記の学生は,研究の趣旨に同意し,回答の半分以上に欠損のなかった参加者である。用いた教示は「それぞれの文に記述されている場面が,あなた自身のやる気が上がる(下がる)場面か,上がらない(下がらない)場面かについてお尋ねします。やる気が上がる(下がる)場面としてあてはまる程度を,お答えください。」であった。
項目の作成
 加藤他(2015)および中川他(2015)の18カテゴリとその記述を参考に,増加場面および減少場面のいずれも76項目を作成した。項目は,増加と減少で表現が対となる項目と,どちらの場面においても同じ表現となる項目があった。回答は6件法で求められた。
結果と考察
 増加場面について,探索的因子分析の初期値の減衰傾向から4因子とした。PROMAX回転によるパターン行列より,第1因子は「有能実感」の11項目,第2因子は「いい調子」の8項目,第3因子は「制約のなさ」の7項目,第4因子は「奮起」の7項目とした。第1因子から第3因子まで,これまでの動機づけ理論と合致する内容ではあるが,課題の量や試験までの時間など,環境や現状が関わる項目が含まれた。また,「切迫感」はネガティブな項目が含まれた。そのため,逆境に置かれた際に,それに打ち勝つ/脱却するといった新たな視点が示された。
 減少場面について,初期値の減衰傾向から4因子とした。PROMAX回転によるパターン行列を参照し,第1因子は「外的合理化」の13項目,第2因子は「否定的評価」の7項目,第3因子は「切迫感」の9項目,第4因子は「余裕過多」の5項目とした。これまでの動機づけ理論では減少とそのきっかけについて深く取り上げられることはなかった。この現状に対し本研究は,自身で環境変化が望めない,他者からの負の関与,行動が要求されていると感じる,けだるさといった視点を提供した。下位尺度項目の平均値,標準偏差,内的整合性の指標,相関行列をTable 1に示す。

主な引用文献
中川 華林他 (2015). 日本心理学会第79回大会, 908.