4:00 PM - 6:00 PM
[PF45] 現職教員と教員志望学生の児童・生徒観および指導行動に関する研究(9)
一般大学1年生における希望校種間の比較検討
Keywords:児童・生徒観, 指導行動, 希望校種
問題と目的
研究(1)(﨑濱・藤田・林,2015)では,現職教員と教員志望学生の児童・生徒観および指導行動の様相を検討するための尺度を作成した。そして,作成尺度を基に,現職教員と教員志望学生間,小学校教員と中学校教員間,希望校種間(教員養成大学学生が対象。取得免許状および教科は個々によって異なる),大学間(教員養成大学学生と一般大学教職課程志望者の間),学年間(教員養成大学学生)において,児童生徒観および学習指導行動の違いについて検討を重ねてきた。また,研究(7)および(8)においては,教員養成大学および一般大学学生を対象に,文系―理系学生間の比較検討を行った。
このうち,研究(4)において希望校種間の検討を行ったが,その際,対象学生の取得予定教員免許状の教科が個々によって異なっていた。また,対象学生がすべて2年次以上の学生であったことから,大学入学直後から教員を目指す学生の場合についての検討がなされてこなかった。
これらの点を踏まえ,本研究では一般大学1年次学生を対象に,外国語(英語)科教員免許取得予定者の希望校種(中学校/高等学校)による違いを検討する。
方 法
調査参加者 近畿地方の一般大学に在籍する大学1年生37名(男性15名,女性24名,平均年齢18.2歳)。
材 料 研究(1)で作成された,児童・生徒観尺度および学習指導行動尺度を用いた。
手続き 研究(1)の手続きに同じであった。
結果と考察
参加者から得られたデータについて,希望校種の記載のないものを欠損値として削除し,28名分(中学校希望者:男性4名 女性6名,高等学校希望者:男性8名 女性10名)を分析対象とした。分析対象者のデータについて,SPSS Ver. 23.0を用いて,以下の事項に関するt検定を行った。F検定によって等分散性が仮定できなかった場合はウェルチの検定を行った。
1)児童・生徒観の比較検討
研究(1)において確認された下位尺度の構造に基づき,現職教員と学生間の児童・生徒観について比較検討を行った。その結果,第3因子(「自己統制性」)因子においてt値が有意であり(t26=2.74 p<.01),中学校希望者がどちらかといえば児童・生徒中心の児童・生徒観を有しているのに対し,高等学校希望者の方がどちらかといえば教師中心的な児童・生徒観を有していたことが伺える。そこで,下位項目に着目してみると,項目10「児童・生徒は,信頼して任せておけば,とくに悪いことや困ることをしないものだ―児童・生徒はしっかりと目を配っていないと,なにか良くないことをしてしまうものだ」や項目6「児童・生徒は,自分なりに適切な方向をみつけて成長していくものだ―児童・生徒はうまく方向づけをしないと,なかなか成長していかないものだ」において同様の傾向が見られるが,項目6の高等学校希望者の場合,児童・生徒中心でも教師中心でもない考え方をしているとも考えられる。
2)学習指導行動の比較検討
学習指導行動尺度においても1)と同様の検討を行ったが,下位尺度および下位項目において,群間の差は有意ではなかった。このような結果が生じた理由として,調査実施時期が大学入学直後ということもあり,まだ教員の側からみた学習指導行動というものについての実態がイメージしにくいことが考えられる。
研究(1)(﨑濱・藤田・林,2015)では,現職教員と教員志望学生の児童・生徒観および指導行動の様相を検討するための尺度を作成した。そして,作成尺度を基に,現職教員と教員志望学生間,小学校教員と中学校教員間,希望校種間(教員養成大学学生が対象。取得免許状および教科は個々によって異なる),大学間(教員養成大学学生と一般大学教職課程志望者の間),学年間(教員養成大学学生)において,児童生徒観および学習指導行動の違いについて検討を重ねてきた。また,研究(7)および(8)においては,教員養成大学および一般大学学生を対象に,文系―理系学生間の比較検討を行った。
このうち,研究(4)において希望校種間の検討を行ったが,その際,対象学生の取得予定教員免許状の教科が個々によって異なっていた。また,対象学生がすべて2年次以上の学生であったことから,大学入学直後から教員を目指す学生の場合についての検討がなされてこなかった。
これらの点を踏まえ,本研究では一般大学1年次学生を対象に,外国語(英語)科教員免許取得予定者の希望校種(中学校/高等学校)による違いを検討する。
方 法
調査参加者 近畿地方の一般大学に在籍する大学1年生37名(男性15名,女性24名,平均年齢18.2歳)。
材 料 研究(1)で作成された,児童・生徒観尺度および学習指導行動尺度を用いた。
手続き 研究(1)の手続きに同じであった。
結果と考察
参加者から得られたデータについて,希望校種の記載のないものを欠損値として削除し,28名分(中学校希望者:男性4名 女性6名,高等学校希望者:男性8名 女性10名)を分析対象とした。分析対象者のデータについて,SPSS Ver. 23.0を用いて,以下の事項に関するt検定を行った。F検定によって等分散性が仮定できなかった場合はウェルチの検定を行った。
1)児童・生徒観の比較検討
研究(1)において確認された下位尺度の構造に基づき,現職教員と学生間の児童・生徒観について比較検討を行った。その結果,第3因子(「自己統制性」)因子においてt値が有意であり(t26=2.74 p<.01),中学校希望者がどちらかといえば児童・生徒中心の児童・生徒観を有しているのに対し,高等学校希望者の方がどちらかといえば教師中心的な児童・生徒観を有していたことが伺える。そこで,下位項目に着目してみると,項目10「児童・生徒は,信頼して任せておけば,とくに悪いことや困ることをしないものだ―児童・生徒はしっかりと目を配っていないと,なにか良くないことをしてしまうものだ」や項目6「児童・生徒は,自分なりに適切な方向をみつけて成長していくものだ―児童・生徒はうまく方向づけをしないと,なかなか成長していかないものだ」において同様の傾向が見られるが,項目6の高等学校希望者の場合,児童・生徒中心でも教師中心でもない考え方をしているとも考えられる。
2)学習指導行動の比較検討
学習指導行動尺度においても1)と同様の検討を行ったが,下位尺度および下位項目において,群間の差は有意ではなかった。このような結果が生じた理由として,調査実施時期が大学入学直後ということもあり,まだ教員の側からみた学習指導行動というものについての実態がイメージしにくいことが考えられる。