4:00 PM - 6:00 PM
[PF74] 小学校5年生の児童を対象としたソーシャルスキルトレーニングの効果の検討(1)
Keywords:SST, 学級単位, 小学生
目 的
子どもの社会的適応を援助するためのアプローチの一つとして,学級単位でのソーシャルスキルトレーニング(Class-Wide Social Skills Training:以下,CSSTとする)がある。学校現場で行うCSSTは,倫理的側面や学校行事との調整などに配慮する必要があり,厳密な実験デザインの設定が難しいという現状がある。本研究では,CSSTプログラム実施に際し,ウェイティングリスト群を設けることによって倫理的側面に配慮し,複数回の測定とプログラムの効果検討を行った。また,本研究では児童・教師間で同じ評定尺度を用いた評価を行い,仲間からの評価も行った。これにより多角的な視点からの評価が可能となる。加えて,プログラムのためにオリジナルのキャラクターを作成し,児童の動機づけを高めながらプログラムを実施することを目指した。
方 法
対象児 小学校の5年生3学級92名の児童。
プログラム実施者 大学院生3名及び,臨床心理学専攻の大学教員の合計4名で構成された。
実施期間 201X年9月下旬〜12月上旬に,45分間のセッションを各学級4回実施した。
プログラムの内容 事前に実施した質問紙の結果をもとに標的行動を決め,以下の4回のセッションで各標的行動を指導した。第1回「キレない方法を身につけよう」,第2回「上手な頼み方,断り方を身につけよう」,第3回「友だちを励ます方法を身につけよう」,第4回「誰かに相談する方法を身につけよう」であった。それぞれの標的行動に応じたオリジナルのキャラクターを作成し,各セッションで紹介した。
1セッションの構成 セッションは,授業での約束事の確認,前回の復習,その日の授業で取り上げる社会的スキルの教示,院生によるモデル提示,ワーク,フィードバック,授業のまとめから構成した。授業ごとに宿題を提示し,宿題を行った児童に対してプログラムで使用したキャラクターのカードを配布した。
アセスメント 秋田(2001)「お友だち付き合いに関するアンケート」をもとに自己評定尺度(31項目4件法),教師評定尺度(31項目選択式),仲間評定尺度(8項目選択式)を作成した。自己評定尺度はプログラムの前後を含め計5回,教師評定尺度と仲間評定尺度は全学級第2回査定と各学級のプログラム後の計2回実施した。
結果と考察
CSSTプログラム実施前後における自己評定尺度の変化について検討を行った。Table1には,第1回査定の学年全体の結果に基づいて標準化した得点を示した(平均値50,標準偏差10)。B組において本プログラムの導入後に,得点の上昇がみられた。また,フォローアップが可能であったA組とB組においては,プログラム終了後も得点が上昇していた。このことから,本プログラムに社会的スキルを向上させる効果があったと思われるが,上昇の幅はそれほど大きくなかった。
教師評定尺度(Table2)について,本プログラムの導入後にA組とC組において得点が上昇,B組において得点が減少していた。また,仲間評定尺度(Table2)についても,本プログラムの導入後にA組とC組において得点が上昇,B組において得点が減少していた。B組を除けば,教師や児童らの間でもスキルの向上が認められた可能性が示唆された。
子どもの社会的適応を援助するためのアプローチの一つとして,学級単位でのソーシャルスキルトレーニング(Class-Wide Social Skills Training:以下,CSSTとする)がある。学校現場で行うCSSTは,倫理的側面や学校行事との調整などに配慮する必要があり,厳密な実験デザインの設定が難しいという現状がある。本研究では,CSSTプログラム実施に際し,ウェイティングリスト群を設けることによって倫理的側面に配慮し,複数回の測定とプログラムの効果検討を行った。また,本研究では児童・教師間で同じ評定尺度を用いた評価を行い,仲間からの評価も行った。これにより多角的な視点からの評価が可能となる。加えて,プログラムのためにオリジナルのキャラクターを作成し,児童の動機づけを高めながらプログラムを実施することを目指した。
方 法
対象児 小学校の5年生3学級92名の児童。
プログラム実施者 大学院生3名及び,臨床心理学専攻の大学教員の合計4名で構成された。
実施期間 201X年9月下旬〜12月上旬に,45分間のセッションを各学級4回実施した。
プログラムの内容 事前に実施した質問紙の結果をもとに標的行動を決め,以下の4回のセッションで各標的行動を指導した。第1回「キレない方法を身につけよう」,第2回「上手な頼み方,断り方を身につけよう」,第3回「友だちを励ます方法を身につけよう」,第4回「誰かに相談する方法を身につけよう」であった。それぞれの標的行動に応じたオリジナルのキャラクターを作成し,各セッションで紹介した。
1セッションの構成 セッションは,授業での約束事の確認,前回の復習,その日の授業で取り上げる社会的スキルの教示,院生によるモデル提示,ワーク,フィードバック,授業のまとめから構成した。授業ごとに宿題を提示し,宿題を行った児童に対してプログラムで使用したキャラクターのカードを配布した。
アセスメント 秋田(2001)「お友だち付き合いに関するアンケート」をもとに自己評定尺度(31項目4件法),教師評定尺度(31項目選択式),仲間評定尺度(8項目選択式)を作成した。自己評定尺度はプログラムの前後を含め計5回,教師評定尺度と仲間評定尺度は全学級第2回査定と各学級のプログラム後の計2回実施した。
結果と考察
CSSTプログラム実施前後における自己評定尺度の変化について検討を行った。Table1には,第1回査定の学年全体の結果に基づいて標準化した得点を示した(平均値50,標準偏差10)。B組において本プログラムの導入後に,得点の上昇がみられた。また,フォローアップが可能であったA組とB組においては,プログラム終了後も得点が上昇していた。このことから,本プログラムに社会的スキルを向上させる効果があったと思われるが,上昇の幅はそれほど大きくなかった。
教師評定尺度(Table2)について,本プログラムの導入後にA組とC組において得点が上昇,B組において得点が減少していた。また,仲間評定尺度(Table2)についても,本プログラムの導入後にA組とC組において得点が上昇,B組において得点が減少していた。B組を除けば,教師や児童らの間でもスキルの向上が認められた可能性が示唆された。