The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PF(01-81)

ポスター発表 PF(01-81)

Sun. Oct 8, 2017 4:00 PM - 6:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

4:00 PM - 6:00 PM

[PF76] 青年期女子の友人関係と学校適応との関連

中学1年生と高校1年生のデータ分析

横田靖子 (東京家政大学大学院)

Keywords:青年期女子, 友人関係, 学校適応

目   的
 青年期の友人関係は,心理的にも社会的にも適応面に大きく影響を及ぼしていることは多くの研究で明らかにされている。本研究では,現代の女子中高生が友人への感情をどのように抱いているかを明らかにし,女子中高生の友人関係と学校適応との関連を検討する。
方   法
 第1回目調査 1)対象:東京都内私立女子校の中学1年生79名,高校1年生261名。2)調査時期・調査方法:2016年5月。中学生に対して,ホームルームの時間に担任の教師が配付し,その場で回収した。高校生に対して,朝の会にて担任の教師を通して配付し,帰りの会にて回収した。3)調査内容:(1)友人関係(同性の親しい友達)の尺度 榎本(1999)の「友人関係の感情的側面尺度」25項目に,メールやラインについての3項目を加えた計28項目を用いた。回答は,「1.まったく思わない」から「4.とてもよく思う」の4件法で求めた。(2)学校適応の尺度 大久保(2005)の「学校への適応感尺度」30項目を用いた。回答は,「1.まったくあてはまらない」から「4.とてもよくあてはまる」の4件法で求めた。
第2回目調査1)対象:第1回目調査と同じ東京都内私立女子校の中学1年生75名,高校1年生292名。2)調査時期・調査方法:2017年3月。中学生・高校生に対して,ホームルームの時間に担任の教師が配付し,その場で回収した。3)調査内容:(1)友人関係の尺度 第1回目に用いた「友人関係の尺度」28項目を因子分析し,3項目を除いた25項目を用いた。(2)学校適応の尺度 大久保(2005)の「学校への適応感尺度」29項目を用いた。回答は,第1回目調査と同様に求めた。
結果と考察
 現代の女子中高生が友人への感情をどのように抱いているかを検討するため,第1回目調査の「友人関係の尺度」を主因子法プロマックス回転による因子分析を行った。その結果,榎本(1999)友人への感情と同様の因子「不安・懸念」「信頼・安定」「ライバル意識」「葛藤」「独立」が抽出された。
 友人への感情と学校適応感との関係を検討するために,第1回目・第2回目の因子間の相関を求めた。結果はTable1およびTable2に示す。
 第1回目調査中学生では,学校適応感「居心地の良さの感覚」「課題・目的の存在」「被信頼・受容感」は,友人への感情「ライバル意識」と正の相関がみられた。第1回目調査高校生では,学校適応感「居心地の良さの感覚」「課題・目的の存在」「被信頼・受容感」は,友人への感情「信頼・安定」「ライバル意識」「独立」との正の相関がみられた。第1回目調査中学生・高校生ともに,学校適応感「劣等感の無さ」は,友人への感情「不安・懸念」「葛藤」と負の相関がみられた。第1回目調査中学生では,学校適応感「居心地の良さの感覚」「課題・目的の存在」「被信頼・受容感」「劣等感の無さ」と友人への感情「信頼・安定」との相関がみられなかったが,第2回目調査では相関がみられた。また,学校適応感「居心地の良さの感覚」「課題・目的の存在」「被信頼・受容感」と友人への感情「独立」との相関も第2回目調査でみられた。第2回目調査高校生では,第1回目調査とほぼ同様の相関がみられた。
 第1回目調査の中学生は,中学校入学直後であり,同性の親しい友達とは小学生時代の友達と考えられる。第2回目の中学生は,約1年間の学校生活を過ごすことにより,学校内での同性の親しい友達をつくり,小学生の時とは違う友人関係を築き,友人への感情と学校適応との関連が変化したのではないかと示唆される。高校生1年生は,中学校生活を通して,友人関係の築き方をすでに修得しているのであろう。小学生から中学生に移行する時期である中学1年生にとっては,友人関係が変化する時期であり,学校生活で友人関係を築く重要な時期であると考えられる。