The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PG(01-81)

ポスター発表 PG(01-81)

Mon. Oct 9, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PG08] 日韓の大学生の職業アイデンティティ比較研究

小学校教員を目指す学生を対象とした質的研究

朴聖希1, 高橋登2 (1.大阪教育大学, 2.大阪教育大学)

Keywords:職業アイデンティティ, 日韓比較, 小学校教員養成課程

問題と目的
 青年期に将来の進路や職業を具体的に探索し,自己のアイデンティティを確立していくことは重要な課題としてあげられる(Erikson,1950 仁科訳 1977)。多様な職業がある中でも,教師は日本・韓国の両国において高校生が将来就きたい職業の上位に入るほど人気職業の一つであり(一般社団法人全国高等学校PTA連合会・リクルートマーケティングパートナーズ,2014;中央日報, 2015),教師は青年にとって憧れの職業ということができる。中でも小学校の教師になるためには,日韓ともに教員養成系の大学に通い,教員資格を取得する必要がある。類似した教員養成制度を持つ日本と韓国において(松本,2012),教員養成課程に通う大学生は,多様な職業の中からどのように教師という職業を選択し,教師としての職業アイデンティティを形成しているのだろうか。本研究では,日韓の小学校教員を目指す大学生の職業アイデンティティの発達過程を明らかにし,日韓比較していく。
方   法
 日本は大阪府の教員養成系単科大学,韓国はソウル特別市の教員養成系単科大学に在籍する2年生(19~20歳)各10名(男女5名ずつ)を対象に,教師を目指すようになったきっかけや動機,悩んだ経験,両親の影響,教師の魅力などを尋ねる半構造化面接を行った。本研究は所属大学の倫理委員会の承認を受け(受付番号:122),面接に先立って書面で概要を説明し,協力者の同意を得た。日韓ともに著者が面接を行い,日本の学生は日本語で,韓国の学生は韓国語で調査を行った。また韓国の男子学生は,兵役についてない者に限定した。データ収集期間は2015年9月~10月,調査時間は1人あたり約40分であった。データの分析には修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下 M-GTA;木下,2003,2007)を用いた。
結果と考察
概念生成とカテゴリー生成の結果 M-GTAに基づき日本のデータから47の概念,19のカテゴリー,3のコアカテゴリーが,韓国のデータからは,49の概念,19のカテゴリー,3のコアカテゴリーが生成された。分析による日本の結果図をFigure 1,韓国の結果図をFigure 2に示す。
日韓の共通点・相違点 小学校の担任に憧れを抱く,中学校・高校の教師から影響を受けるといったきっかけを通して「教師になりたい」という思いを持つようになり,現在教師を目指して努力している点で共通していた。一方日韓の相違点は,日韓の行動様式,関係性,社会状況による違いの3つに大きく分類された。行動様式として,日本の学生は教師のやりがいなどの自分の適性に関する魅力を重視している一方,韓国の学生は余暇活動などの職務以外の魅力も重視しており,また,日本の学生からは韓国に比べて不安を示す言及が聞かれたのに対し,韓国の学生は日本に比べて自信を持った発言が目立った。また,過去・現在に進路について悩んだ経験や,悩みの内容にも日韓で微妙な違いが見られ,日本では未来についての計画があまり語られなかったのに対し,韓国では10,20年後の計画について言及された。関係性としては,日本の学生は教師として働く身内から進路の影響を受けつつも,両親に自分の意思を尊重されているのに対し,韓国の学生は両親から進路についての希望や期待を伝えられることも多く,親の意思を進路選択に取り入れていた。最後に社会状況として,日本に比べ韓国では厳しい大学受験や競争社会を意識し,職業の安定性や職業の社会的認識を重視していた。