The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PG(01-81)

ポスター発表 PG(01-81)

Mon. Oct 9, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PG13] 8~10歳の「重さの保存」に関する研究

判断の理由づけに着目して

大西真樹男 (立命館大学)

Keywords:重さの保存, 主観的な判断, 逆接的な構造を持つ文

目   的
 本研究の目的は,第1に,6種の「重さの保存」課題の獲得過程を明らかにすること,第2に「重さの保存」課題の判断理由を検討すること,第3に「重さと大きさの異なるブロック(立方体)の重さ順並び替え」が「重さの保存」課題に先行するかどうかを検討することであった。
方   法
 参加児は小学校2~4年生100人であった。「ブロックの並び替え」は,重さと大きさが異なる5つのブロックを用いて,見た目の大きさに影響されずに重さの系列的配置ができるかを調べる。この課題は個々面接で行う。
 「重さの保存」課題は,6つの課題(「おにぎり」課題,「さいころ」課題,「うすくする」課題,「ひも」課題,「小さな玉」課題,「浮かす」課題)を用いて「重さの保存」の獲得状況を把握する。子どもは,質問紙に判断した結果とその理由を記述する。
結果と考察
 6種類の「重さの保存」課題と「ブロックの並び替え」課題の通過率の月齢群推移をFigure 1に示した。
 「重さの保存」課題の月齢推移の特徴は,基本的にいずれの課題も月齢が上がるにつれ上昇傾向を示し,112~122ヵ月(小学校4年生)では90%以上が通過しており,ほぼ全員が通過する課題であった。その変化は,100ヵ月を過ぎた頃から特に大きくなっている。
 しかし,「浮かす」課題,「小さな玉」課題,「ブロック」課題では,100~105ヵ月(8歳4ヵ月~8歳9ヵ月)で通過率の低下が見られ,「ひも」課題では,106~111ヵ月(8歳10ヵ月~9歳3ヵ月)に通過率の低下が見られ,さらにこの低下の後急な上昇傾向V字型の変化がみられた。
 本研究では,判断理由の反応分析で文脈に注目した。判断理由については,2・3年生では主観的な理由が多かったが,4年生では「逆接的構造をもつ文」と量を意識した判断理由が増加した。
 「ひも」課題から例を挙げる。2・3年生では「ひもが長いから重たい」「長くすると重くなる」「細い方は軽くなる」など「長い」という語と「重い」という語との結びつきが多かった。小学校4年生の理由では「形は変わっても量は変わっていない」など「逆接的構造をもつ文」や「量」という語がでてくる。この傾向が他の「保存課題」にもみられる。
 この理由が登場するようになるまでには内面的な葛藤があり,100~111ヵ月における通過率の低下は,「重さの保存」課題の判断において,主観的な判断を否定し測定可能な「量」を重視する転換が背景にあると推測した。
 4年生では,「浮かす」課題において,「木が水を吸って重くなる」というような誤答の増加が注目された。この誤答の実際は,「重さの保存」課題というより出題者を相対化して反論を試みようとするとも解釈でき,4年生では自他の権威の相対化という傾向があることが示唆された。
 「ブロックの並び替え」課題が「重さの保存」課題に先行するかは,示すことができなかった。