The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PG(01-81)

ポスター発表 PG(01-81)

Mon. Oct 9, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PG26] レポート作成における読み手を意識した文章作成方略使用尺度の開発

田中光1, 中條和光2, 山根嵩史3, 有馬比呂志4 (1.広島大学大学院, 2.広島大学大学院, 3.広島大学大学院, 4.近畿大学)

Keywords:アクティブ・ラーニング, 初年次教育, 読み手意識

 現在,多くの大学の初年次教育で,能動的な学習活動のために,レポート作成の指導が行われている。また,平成29年3月公示の中学校指導要領国語科,第1学年では,「本や資料から文章や図表などを引用して説明,記録するなど,事実やそれを基に考えたことを書く活動」などを通して,「国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力」を育成することが目指されている。そこで,本研究では読み手が理解し易いレポート作成の指導法を探る。
 岸・辻・籾山(2014)は,説明文産出において読み手を意識することの重要性を指摘している。岸ら(2014)は,説明文産出場面における読み手意識を測定する尺度を作成し,読み手意識の構造を検討している。そこで本研究では,岸ら(2014)と同様の方法で,大学生を対象にレポート作成における読み手意識尺度,すなわち読み手を意識した配慮や工夫についての意識尺度を作成する。さらに本研究では,レポートの執筆段階と推敲段階に分けて読み手意識について調査する。
方   法
 参加者 大学の学部生202名を対象とした。
 質問紙 大学院生29名を対象に予備調査を行い,調査用紙に普段の大学の授業で行っているレポート作成における読み手に対する配慮と工夫を記入させた。調査用紙への回答をもとに質問紙を作成した。
 手続き 質問紙を用い,読み手への配慮と工夫に関する各項目ついて,レポートの執筆段階・推敲段階でどの程度当てはまるかを5件法で回答させた。また,レポート作成の自己効力感についても5件法で回答させた。
結果と分析
 各項目の評定値に対して,執筆段階と推敲段階の回答を合わせ,探索的因子分析(最尤法,斜交回転)を行った。データの分析では,参加者202名の中から,データに不備のない,156名を対象とした。その結果, Table 1のような7因子構造が見出された。この7因子構造に対して,確認的因子分析を行ったところ,適合度は許容される値を示した(RMSEA = .07,CFI = .86,TLI = .84,SRMR = .07)
 レポート作成の自己効力感で参加者を低群(23名:平均-1SD),高群(24名:平均+1SD)に分け,各因子における平均評定値を比較した(Figure 1)。各因子に対し2(自己効力感:低群・高群)×2(レポートの作成段階:執筆段階・推敲段階)の分散分析を行った。その結果,論理・文章の構成因子で高群が低群より値が高いという有意傾向が見られ,関心を引く配慮因子では高群が低群より有意に値が高かった。また,図表・レポート形式の確認因子では交互作用が有意傾向であり,レポートの推敲段階で低群が高群より値が高い傾向が見られた。