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[PG44] 大学授業における発表のルーブリック評価に対する学生の受け止め方II
達成目標・協同作業認識がルーブリック確認回数に及ぼす影響
Keywords:ルーブリック, 達成目標, 協同作業認識
問題と目的
加藤・藤田(2017; 初年次教育学会)は,初年次教育科目の班発表に対するルーブリックについて,本発表前に活用の機会があると,本発表の際の確認回数が増加することを示した。本研究では,この確認回数について,学生の授業や班活動に対する姿勢の影響も考慮し,達成指標および協同作業認識が活用の仕方によって確認回数へ異なる影響を及ぼすかを検討する。
方 法
調査対象となった授業 初年次教育科目「基礎ゼミII」では,後期に班活動を行い,二回の発表(構想発表・本発表)が評価の対象となった。2015年度は本発表のみルーブリックが配付され,2016年度は構想発表・本発表の両方で配付された。
分析対象者 本研究で用いたすべての質問紙に回答した104名(2015年度50名,2016年度54名)。
ルーブリック 本発表のルーブリックは,発表の仕方やレジュメに関する3つの観点についての行動記述文によって6段階で評価するものであった。
質問紙 (a) 達成目標 田中・藤田(2007)が作成した達成目標の17項目に対して,各年度の後期初回・最終回別に因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行った結果,いずれにおいてもマスタリーとパフォーマンスの2因子が抽出された。すべての測定時期に共通の,マスタリー志向7項目(M),パフォーマンス志向8項目(P)の初回・最終回およびその差分の6段階評定平均値を尺度得点とした。
(b) 協同作業認識尺度 長濱・安永・関田・甲原(2009)が作成した18項目に対しても同様に因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行い,いずれも協同効用,個人志向,互恵懸念の3因子を抽出した。すべての測定時期に共通の,協同効用8項目,個人志向6項目,互恵懸念3項目の初回・最終回およびその差分の6段階評定平均値を尺度得点とした。
(c) ルーブリックに関する質問紙 ルーブリックに対する評価として,「この評価基準表は」で始まる6項目(役に立つ,発表の改善に有効,見るのは面倒,発表の成果を適切に評価できる,納得できる,明確である)について,6段階で評定を求めた。また,ルーブリック確認回数は,調査時には,本発表準備時の確認のタイミング3(レジュメ準備/レジュメ作成中/発表練習中)×確認主体人数2(一人/班)の6項目で尋ねたが,分析では確認のタイミングを込みにした。この調査は2015年度,2016年度とも全員の本発表直後に実施した。
結果と考察
年度ごと,測定時期ごとの達成目標および協同作業認識の尺度得点を独立変数,人数ごとの確認回数を従属変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行った(Table 1)。その結果,例えば最終回において,2015年度では個人志向が正の影響を持つ一方,2016年度はパフォーマンスと協同効用がそれぞれ正の影響,負の影響を持つなど,年度によって異なる影響を持つことが示された。
加藤・藤田(2017; 初年次教育学会)は,初年次教育科目の班発表に対するルーブリックについて,本発表前に活用の機会があると,本発表の際の確認回数が増加することを示した。本研究では,この確認回数について,学生の授業や班活動に対する姿勢の影響も考慮し,達成指標および協同作業認識が活用の仕方によって確認回数へ異なる影響を及ぼすかを検討する。
方 法
調査対象となった授業 初年次教育科目「基礎ゼミII」では,後期に班活動を行い,二回の発表(構想発表・本発表)が評価の対象となった。2015年度は本発表のみルーブリックが配付され,2016年度は構想発表・本発表の両方で配付された。
分析対象者 本研究で用いたすべての質問紙に回答した104名(2015年度50名,2016年度54名)。
ルーブリック 本発表のルーブリックは,発表の仕方やレジュメに関する3つの観点についての行動記述文によって6段階で評価するものであった。
質問紙 (a) 達成目標 田中・藤田(2007)が作成した達成目標の17項目に対して,各年度の後期初回・最終回別に因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行った結果,いずれにおいてもマスタリーとパフォーマンスの2因子が抽出された。すべての測定時期に共通の,マスタリー志向7項目(M),パフォーマンス志向8項目(P)の初回・最終回およびその差分の6段階評定平均値を尺度得点とした。
(b) 協同作業認識尺度 長濱・安永・関田・甲原(2009)が作成した18項目に対しても同様に因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行い,いずれも協同効用,個人志向,互恵懸念の3因子を抽出した。すべての測定時期に共通の,協同効用8項目,個人志向6項目,互恵懸念3項目の初回・最終回およびその差分の6段階評定平均値を尺度得点とした。
(c) ルーブリックに関する質問紙 ルーブリックに対する評価として,「この評価基準表は」で始まる6項目(役に立つ,発表の改善に有効,見るのは面倒,発表の成果を適切に評価できる,納得できる,明確である)について,6段階で評定を求めた。また,ルーブリック確認回数は,調査時には,本発表準備時の確認のタイミング3(レジュメ準備/レジュメ作成中/発表練習中)×確認主体人数2(一人/班)の6項目で尋ねたが,分析では確認のタイミングを込みにした。この調査は2015年度,2016年度とも全員の本発表直後に実施した。
結果と考察
年度ごと,測定時期ごとの達成目標および協同作業認識の尺度得点を独立変数,人数ごとの確認回数を従属変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行った(Table 1)。その結果,例えば最終回において,2015年度では個人志向が正の影響を持つ一方,2016年度はパフォーマンスと協同効用がそれぞれ正の影響,負の影響を持つなど,年度によって異なる影響を持つことが示された。