The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PG(01-81)

ポスター発表 PG(01-81)

Mon. Oct 9, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PG53] 同調的対人態度と対人関係におけるバーンアウトの関係に対する批判的思考の影響

牛尾憲治 (神戸大学大学院)

Keywords:批判的思考, ストレス, 同調

問題と目的
 批判的思考は,「論理的,客観的で偏りのない思考であり,自分の推論過程を意識的に吟味する反省的思考(楠見,2012)」と定義され,大学教育などにおいてその重要性が指摘されている。その一方で,道田(2004)は,批判的思考を行う者は他者に理解されないことや受け入れられないことがあり,批判的思考が対人関係にネガティブな効果を与える可能性を指摘している。そのため,対人関係を維持するためには,Terenzini, Springer, Pascarella, & Nora(1995)が指摘するように,批判的志向の停止が必要になることがある。したがって,批判的思考を行いやすい者が対人関係の維持のために批判的思考を停止しなければならない場合,葛藤が生じ,対人関係に疲弊するといったことが予想される。そこで本研究では,批判的思考,他者への同調的態度,対人関係において生じるバーンアウトとの関連について検討する。
方   法
調査対象者 大学生156名(男性57名,女性99名,平均年齢19.97歳 SD=1.57)。
調査内容 批判的思考態度尺度(平山・楠見,2004),同調的対人態度尺度(大西,2008),日常バーンアウト尺度(橋本,1997)を用いた。
結   果
 まず,批判的思考態度の各下位因子(論理的思考への自覚,探求心,客観性,証拠の重視)と同調的対人態度の交互作用を検討するために,各変数を標準化した上で,階層的重回帰分析を行った。その結果,客観性と同調的対人態度,論理的思考への自覚と同調的対人態度の交互作用がそれぞれ有意であった。各交互作用について詳細に検討するために,それぞれ,単純傾斜検定を行った(Figure1, 2)。その結果,客観性については,客観性が低い場合,同調的対人態度の効果が有意ではなかった(b = .01, ns)。客観性が高い場合,同調的対人態度の効果が有意であった(b = .29, p < .01)。論理的思考への自覚については,論理的思考への自覚が低い場合,同調的対人態度の効果が有意ではなかった(b = —.09, ns)。論理的思考への自覚が高い場合,同調的対人態度の効果が有意であった(b = .27, p < .05)。
考   察
 客観性,論理的思考への自覚が高く,対人関係が同調的でない者は対人関係で疲弊しにくいが,同調的である者は,対人関係で疲弊しやすくなることが示唆された。