The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PG(01-81)

ポスター発表 PG(01-81)

Mon. Oct 9, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PG65] ADHD不注意傾向幼児への保育者の対応困難感

水野裕子 (筑波大学大学院)

Keywords:ADHD, 不注意傾向, 対応困難感

目   的
 発達障害傾向のある子どもの多くには児童期以降に抑うつ・不安などの二次障害が生じる。そのため,幼児期のうちからそれらの子どもへの適切な対応が求められ,これまでに保育者を対象とした研修が企画されてきた(竹澤ら, 2014など)。しかし,これまでの研修の多くは発達障害を全般的に扱ったものでありADHD不注意傾向については見過ごされることが多かった。そこで,本研究ではADHD不注意傾向幼児への保育に関する研修プログラムを作成するための資料として,ADHD不注意傾向幼児の特徴的な行動への保育者の対応困難感について明らかにすることを目的とした。
方   法
調査対象者・調査手続き:I県の保育所,幼稚園,認定こども園に勤務する保育者132名に任意による無記名の自記式質問紙を郵送し,111名から質問紙を回収した(回収率84.1%)。回答に不備のある者を除き,108名の回答を分析した。調査時期は2016年5月~11月であった。
質問項目:ADHD不注意傾向の幼児に特徴的にみられる15種類の行動(Table1)への対応経験の有無および,対応困難感について回答を求めた。なお,対応困難感は「非常に困る」から「全く困らない」までの5段階のリッカート尺度で尋ねた。
結果と考察
 調査対象者を「若手(経験年数5年以下,n=23)」,「中堅(経験年数6年以上15年以下,n=51)」,「ベテラン(経験年数16年以上,n=34)」の3群に分けた。経験年数による3群を独立変数,対応困難感を従属変数とした一要因分散分析を実施した。なお,各項目への対応経験のある者のみ分析対象とした。分散分析の結果,群間に有意差はみられなかった。このことから,保育経験を問わず保育者は対応のしづらさを感じていることが示された。つまり,ADHD不注意傾向幼児への適切な対応は経験年数に応じて習得されるものではないと言える。