10:00 AM - 12:00 PM
[PG81] ビジネス顕微鏡による行動データの測定と学生の意識分析
Keywords:データ測定, 意識分析, 自己評価と他者評価
目 的
アクティブラーニングが積極的に実施されるようになり,学生のグループ討議のスキルは以前に比べると向上している。これは社会の要請を受けてという部分が大きい。しかし,一方でグループ討議における評価は,自己評価と他者評価の突き合わせと指導者によるアドバイスに留まっている現状がある。主体的・積極的にグループ討議に参加できる学生は,経験を重ねアドバイスを受けることでグループ討議スキルを向上させることができるが,すべての学生ができる訳ではない。また,自己評価と他者評価の突き合わせも,主観的評価のため,悩んでいる学生にとっては正しく自分を評価できない点となる。
今回は日立製作所が開発中のビジネス顕微鏡を用いて,学生のグループ討議中の行動をすべてデータとして採取・分析し,客観的データを採取し学生にフィードバックすることを目的とした実験を試みた。
測 定
本測定で用いたビジネス顕微鏡は,名刺型のウェアラブルセンサーを用い,測定対象者の活動状況や行動特性の計測が行える製品である。ビジネス顕微鏡では,加速度センサーで測定対象者の行動リズムを1分単位で計測し,対象者がいつ,誰と対面したのか,また,活動状態としてActiveかNon-Activeかを計測できる。計測されたデータは対面した2者間のマトリクスデータとして提供され,活動状態は4種類に分類される。4種類の状態は,対象者と対面者がともにActiveな状態を双方向,対象者がActiveで対面者がNon-Activeな状態をピッチャー,対象者がNon-Activeで対面者がActiveな場合はキャッチャー,対象者と対面者がともにNon-Activeな状態を同席と定義する。
結 果
測定結果の内,対象者の測定時間内の活動状態の割合をFigure 1に示す。この結果から,各対象者の活動状況のイメージが把握できる。また,対象者の活動状態の変化を時系列で示すと,活動の変化を確認することもできる。
さらに,活動の割合を対面ネットワーク図でFigure 2に表示した。対象者はアクティブ比率33%未満を白色,33%以上~66%未満を灰色,66%以上を黒色で表示した。対面ネットワーク図を示すことで,測定対象グループ内での対象者の活動が視覚化できた。
考 察
対象者の学生にアンケートを実施し,意見・感想を収集した。その結果,学生からも今回の測定に対する肯定的な意見が多く見受けられた。具体的に紹介すると,「自分の発言の割合が低かったので妥当な結果だと思った。」「思っていた結果と変わらず妥当なように感じた。」「自己の反省の通りだった。発言量を確認できるので便利。」と自分が感じている活動状態をデータとして確認できることが学生にとって自分の行動把握と行動改善への気づきにつながっていくことが判る。さらに,学生からは評価や活動へのアドバイス,自分が発言したときのグループの反応の変化のデータが欲しい回答も寄せられた
今回の実験から,行動分析の測定時間を秒単位で細かく計測することで,より正確な測定結果をフィードバックすることができる可能性が高いことが判った。この点は次回のアプローチで改善して取り組んでいく予定である。
アクティブラーニングが積極的に実施されるようになり,学生のグループ討議のスキルは以前に比べると向上している。これは社会の要請を受けてという部分が大きい。しかし,一方でグループ討議における評価は,自己評価と他者評価の突き合わせと指導者によるアドバイスに留まっている現状がある。主体的・積極的にグループ討議に参加できる学生は,経験を重ねアドバイスを受けることでグループ討議スキルを向上させることができるが,すべての学生ができる訳ではない。また,自己評価と他者評価の突き合わせも,主観的評価のため,悩んでいる学生にとっては正しく自分を評価できない点となる。
今回は日立製作所が開発中のビジネス顕微鏡を用いて,学生のグループ討議中の行動をすべてデータとして採取・分析し,客観的データを採取し学生にフィードバックすることを目的とした実験を試みた。
測 定
本測定で用いたビジネス顕微鏡は,名刺型のウェアラブルセンサーを用い,測定対象者の活動状況や行動特性の計測が行える製品である。ビジネス顕微鏡では,加速度センサーで測定対象者の行動リズムを1分単位で計測し,対象者がいつ,誰と対面したのか,また,活動状態としてActiveかNon-Activeかを計測できる。計測されたデータは対面した2者間のマトリクスデータとして提供され,活動状態は4種類に分類される。4種類の状態は,対象者と対面者がともにActiveな状態を双方向,対象者がActiveで対面者がNon-Activeな状態をピッチャー,対象者がNon-Activeで対面者がActiveな場合はキャッチャー,対象者と対面者がともにNon-Activeな状態を同席と定義する。
結 果
測定結果の内,対象者の測定時間内の活動状態の割合をFigure 1に示す。この結果から,各対象者の活動状況のイメージが把握できる。また,対象者の活動状態の変化を時系列で示すと,活動の変化を確認することもできる。
さらに,活動の割合を対面ネットワーク図でFigure 2に表示した。対象者はアクティブ比率33%未満を白色,33%以上~66%未満を灰色,66%以上を黒色で表示した。対面ネットワーク図を示すことで,測定対象グループ内での対象者の活動が視覚化できた。
考 察
対象者の学生にアンケートを実施し,意見・感想を収集した。その結果,学生からも今回の測定に対する肯定的な意見が多く見受けられた。具体的に紹介すると,「自分の発言の割合が低かったので妥当な結果だと思った。」「思っていた結果と変わらず妥当なように感じた。」「自己の反省の通りだった。発言量を確認できるので便利。」と自分が感じている活動状態をデータとして確認できることが学生にとって自分の行動把握と行動改善への気づきにつながっていくことが判る。さらに,学生からは評価や活動へのアドバイス,自分が発言したときのグループの反応の変化のデータが欲しい回答も寄せられた
今回の実験から,行動分析の測定時間を秒単位で細かく計測することで,より正確な測定結果をフィードバックすることができる可能性が高いことが判った。この点は次回のアプローチで改善して取り組んでいく予定である。