1:00 PM - 3:00 PM
[PH34] 保育学生の子どもの対人葛藤場面への対応
子ども情報を追加すると対応はどう変容するか
Keywords:保育学生, 対人葛藤場面への対応, 子どもの情報
問題と目的
本研究の目的は,子どもの対人葛藤場面における保育学生の対応が,子ども情報を追加することによって,どのように変容するのかについて明らかにすることである。
これまでの研究において,保育学生は,子どもの主体性に注目させるとそれ以前の子どもとの関わりとは異なった関わりをすること(畠山,2014),また対人葛藤場面において,援助の考え方によって介入のタイミングが異なること(畠山,2016)などが明らかにされてきた。
これらの結果は,子どもと関わる場面を,保育学生がどのように理解するのかに影響されるものと考えられる。
そこで,本研究では,子ども情報を操作することで,子どもへの関わり方がどのように変容するのかについて明らかにすることとした。
方 法
調査対象者 京都市内の4年制私立女子大学に通う13名である。13名の学生はいずれも4年生であり,保育・幼児教育を中心に学ぶ学生である。
調査方法 大学で実施している授業の前半を使用し調査を行った。調査時間は10分程度であった。
調査内容 守永・保育を考える会(2005)を参考におもちゃの貸し借りに関する「対人葛藤場面」を作成した。その葛藤場面において,自分が保育者であった場合,どのように関わるのかについて自由記述で回答を求めた。子ども情報の操作として,①葛藤生起場面のみ,②子どもの身体的・精神的特徴情報,家庭での様子等の情報を加えた,葛藤生起場面の2つを用意準備した。最初の調査では①のみ,2回目の調査では②を提示して回答を求めた。
調査時期 2017年4月中旬頃
結果と考察
初回,及び,2回目の調査で得られた自由記述の内容を,A子に対する内容,Y子に対する内容,
二人に対する内容,その他の4つに分類した。
初回の場面と,子どもの情報を追加した2回目の場面において,内容的に大きな違いがみられなかった。特に,子どもの情報を追加したことで,回答内容に大きな違いがみられなかったことは,保育学生においては,子どもへの対応の際には,子どもの情報には,それほど注意を向けることがない可能性が示唆される。
高濱(2000)では,ベテラン保育者ほど,子どもへの情報に注目することがしめされていることから,熟達化の過程のなかで,子ども情報の重要性について理解を深めていくことが考えられる。
ただし,今回の調査では,対象人数が少ないことや場面が対人葛藤場面であることから,今後は,対象人数を増やしたり,異なる保育場面を取り上げる必要があるだろう。
引用文献
畠山寛(2016)保育学生のいざこざ場面への介入
日本教育心理学会総会発表論文集(58),704
畠山寛(2014)「主体」を意識すると子どもへの対応はどう変化するのか? 日本教育心理学会総会発表論文集 (56), 184.
守永英子・保育を考える会(2005)保育の中の小さなこと大切なこと フレーベル館.
高濱裕子(2000) 保育者の熟達化プロセス:経験年数と事例に対する対応 発達心理学研究 11(3), 200-211
本研究の目的は,子どもの対人葛藤場面における保育学生の対応が,子ども情報を追加することによって,どのように変容するのかについて明らかにすることである。
これまでの研究において,保育学生は,子どもの主体性に注目させるとそれ以前の子どもとの関わりとは異なった関わりをすること(畠山,2014),また対人葛藤場面において,援助の考え方によって介入のタイミングが異なること(畠山,2016)などが明らかにされてきた。
これらの結果は,子どもと関わる場面を,保育学生がどのように理解するのかに影響されるものと考えられる。
そこで,本研究では,子ども情報を操作することで,子どもへの関わり方がどのように変容するのかについて明らかにすることとした。
方 法
調査対象者 京都市内の4年制私立女子大学に通う13名である。13名の学生はいずれも4年生であり,保育・幼児教育を中心に学ぶ学生である。
調査方法 大学で実施している授業の前半を使用し調査を行った。調査時間は10分程度であった。
調査内容 守永・保育を考える会(2005)を参考におもちゃの貸し借りに関する「対人葛藤場面」を作成した。その葛藤場面において,自分が保育者であった場合,どのように関わるのかについて自由記述で回答を求めた。子ども情報の操作として,①葛藤生起場面のみ,②子どもの身体的・精神的特徴情報,家庭での様子等の情報を加えた,葛藤生起場面の2つを用意準備した。最初の調査では①のみ,2回目の調査では②を提示して回答を求めた。
調査時期 2017年4月中旬頃
結果と考察
初回,及び,2回目の調査で得られた自由記述の内容を,A子に対する内容,Y子に対する内容,
二人に対する内容,その他の4つに分類した。
初回の場面と,子どもの情報を追加した2回目の場面において,内容的に大きな違いがみられなかった。特に,子どもの情報を追加したことで,回答内容に大きな違いがみられなかったことは,保育学生においては,子どもへの対応の際には,子どもの情報には,それほど注意を向けることがない可能性が示唆される。
高濱(2000)では,ベテラン保育者ほど,子どもへの情報に注目することがしめされていることから,熟達化の過程のなかで,子ども情報の重要性について理解を深めていくことが考えられる。
ただし,今回の調査では,対象人数が少ないことや場面が対人葛藤場面であることから,今後は,対象人数を増やしたり,異なる保育場面を取り上げる必要があるだろう。
引用文献
畠山寛(2016)保育学生のいざこざ場面への介入
日本教育心理学会総会発表論文集(58),704
畠山寛(2014)「主体」を意識すると子どもへの対応はどう変化するのか? 日本教育心理学会総会発表論文集 (56), 184.
守永英子・保育を考える会(2005)保育の中の小さなこと大切なこと フレーベル館.
高濱裕子(2000) 保育者の熟達化プロセス:経験年数と事例に対する対応 発達心理学研究 11(3), 200-211