1:00 PM - 3:00 PM
[PH58] 2016年B県調査による高等学校教師のメンタルヘルス(2)
Keywords:教師, バーンアウト, カットオフ
問題と目的
本研究は,B 県の公立学校教員を対象に行われた調査結果から,高校教師のバーンアウト傾向についてカットオフラインを策定し,バーンアウト傾向該当群の出現率およびその特徴について検討することを目的としたものである。
方 法
B県内の公立小・中・高等学校の教員を対象に,教育委員会の許可を得た上で郵送によるアンケート調査を実施した。小・中学校については2014 年8 月,高校については2016 年11 月に調査が行われている。なお,調査にあたってはその目的,回答は強制でないこと,個人情報の取り扱いについて説明を行っている。
調査内容は小・中学校と高校とで若干異なるが,共通部分もある。以下に,共通して設けた項目や尺度を挙げておく。
・ 属性:性別,年齢,職階
・ 業務関連:残業時間,持ち帰り仕事時間,休日出勤日数,退職企図の有無
・ バーンアウト:奥村・宮下・森・西村・北島・増井(2016)による改訂版教師用ストレス自己
評価尺度
・ ストレッサーおよびストレス反応:職業性ストレス簡易調査票(下光・原谷,2000)より抜粋
結果と考察
上記のうち,有効回答者2782名を対象として,改訂版教師用ストレス評価尺度(奥村他,2016)と同様,高校教師についても5因子と仮定し,2016年A県高等学校調査を基に,SDS≧48点を基準にカットオフを算出した。対象ごとの各因子のカットオフ該当者は以下の通りであった。
表1. バーンアウト5因子ごとの校種別要注意該当者数
情緒的消耗感 個人的達成感 同僚ストレス 管理職ストレス 脱人格化
22以下 23以上 40以上 39以下 9以下 10以上 8以下 9以上 4以下 5以上
A県高校 69 142 40 159 38 173 67 136 64 150
B県C市小学校 151 564 340 359 193 530 251 456 331 399
B県C市中学校 139 329 206 245 148 321 191 274 188 284
B県高校 288 575 393 480 275 830 484 689 463 843
全体 647 1610 979 1243 654 1854 993 1555 1046 1676
・情緒的消耗感:22-23点 1609名(71.3%)
・個人的達成感:39点(以下) 1242名(55.9%)
・脱人格化 :4点(以上) 1676名(61.6%)
・同僚ストレス:9-10点 1853名(73.9%)
・管理職ストレス:8-9点 1554名(61.0%)
さらに校種ごとの要注意者数の差について検討するため,B県C市小学校,同中学校,A県高等学校,B県高等学校調査の4つの対象ごとに,これらの5つの因子のカットオフラインの該当/非該当者の別についてχ2検定を行ったところ下位尺度すべてに有意差が認められた(表1)。残差分析の結果, ①情緒的消耗感:小学校教諭に要注意が多く,B県高校に少ない,②個人的達成感:A県高校に要注意が多く,小学校に少ない,③脱人格化:高校全体に要注意が多く,小学校に少ない,④管理職ストレス:A県高校に要注意が多く,中学校に少ない,⑤同僚ストレス:A県高校に要注意が多く中学校に少ないことが示された。
今回の研究により校種ごとにリスク要因が異なることが示された。それぞれの校種に応じたバーンアウト対策の必要性が示されたと考えられる。
引用文献
奥村太一・宮下敏恵・森慶輔・西村明徳・北島正人・増井晃 (2016). 教師用ストレス自己評価尺度の改訂(2) 日本学校メンタルヘルス学会第20 回大会抄録集,106.
本研究は,B 県の公立学校教員を対象に行われた調査結果から,高校教師のバーンアウト傾向についてカットオフラインを策定し,バーンアウト傾向該当群の出現率およびその特徴について検討することを目的としたものである。
方 法
B県内の公立小・中・高等学校の教員を対象に,教育委員会の許可を得た上で郵送によるアンケート調査を実施した。小・中学校については2014 年8 月,高校については2016 年11 月に調査が行われている。なお,調査にあたってはその目的,回答は強制でないこと,個人情報の取り扱いについて説明を行っている。
調査内容は小・中学校と高校とで若干異なるが,共通部分もある。以下に,共通して設けた項目や尺度を挙げておく。
・ 属性:性別,年齢,職階
・ 業務関連:残業時間,持ち帰り仕事時間,休日出勤日数,退職企図の有無
・ バーンアウト:奥村・宮下・森・西村・北島・増井(2016)による改訂版教師用ストレス自己
評価尺度
・ ストレッサーおよびストレス反応:職業性ストレス簡易調査票(下光・原谷,2000)より抜粋
結果と考察
上記のうち,有効回答者2782名を対象として,改訂版教師用ストレス評価尺度(奥村他,2016)と同様,高校教師についても5因子と仮定し,2016年A県高等学校調査を基に,SDS≧48点を基準にカットオフを算出した。対象ごとの各因子のカットオフ該当者は以下の通りであった。
表1. バーンアウト5因子ごとの校種別要注意該当者数
情緒的消耗感 個人的達成感 同僚ストレス 管理職ストレス 脱人格化
22以下 23以上 40以上 39以下 9以下 10以上 8以下 9以上 4以下 5以上
A県高校 69 142 40 159 38 173 67 136 64 150
B県C市小学校 151 564 340 359 193 530 251 456 331 399
B県C市中学校 139 329 206 245 148 321 191 274 188 284
B県高校 288 575 393 480 275 830 484 689 463 843
全体 647 1610 979 1243 654 1854 993 1555 1046 1676
・情緒的消耗感:22-23点 1609名(71.3%)
・個人的達成感:39点(以下) 1242名(55.9%)
・脱人格化 :4点(以上) 1676名(61.6%)
・同僚ストレス:9-10点 1853名(73.9%)
・管理職ストレス:8-9点 1554名(61.0%)
さらに校種ごとの要注意者数の差について検討するため,B県C市小学校,同中学校,A県高等学校,B県高等学校調査の4つの対象ごとに,これらの5つの因子のカットオフラインの該当/非該当者の別についてχ2検定を行ったところ下位尺度すべてに有意差が認められた(表1)。残差分析の結果, ①情緒的消耗感:小学校教諭に要注意が多く,B県高校に少ない,②個人的達成感:A県高校に要注意が多く,小学校に少ない,③脱人格化:高校全体に要注意が多く,小学校に少ない,④管理職ストレス:A県高校に要注意が多く,中学校に少ない,⑤同僚ストレス:A県高校に要注意が多く中学校に少ないことが示された。
今回の研究により校種ごとにリスク要因が異なることが示された。それぞれの校種に応じたバーンアウト対策の必要性が示されたと考えられる。
引用文献
奥村太一・宮下敏恵・森慶輔・西村明徳・北島正人・増井晃 (2016). 教師用ストレス自己評価尺度の改訂(2) 日本学校メンタルヘルス学会第20 回大会抄録集,106.