[PA34] 自治体・地域・大学の協働による授業科目開発のプロセス(2)
学外学修プログラムの実践と評価
Keywords:ルーブリックの評価, アクティブ・ラーニング, 大学教育
問題と目的
近年,学士課程教育では,初年次から学生が学外での学習を通じて地域・社会の課題に主体的に働きかけ,問題解決に必要なスキルや批判的思考力などの「汎用的能力」を獲得することを目指したプログラムなどが開発されている(初年次教育学会, 2013)。一連の研究(澤邉・古村, 2016)では,地域・社会と大学との連携・協働による授業開発が進められてきた。
本研究では,自治体・地域・大学の協働による授業科目(「コミュニティーインターンシップ(2単位,集中)」)の開発過程を踏まえて,授業実践における評価に焦点化して,評価指標及びその評価手法の有効性について検討することを目的とする。
方 法
分析対象:2016年度に実施された授業科目履修学生10名(1年生~3年生),学外協力機関,授業担当教員2名によるルーブリック評価結果を対象とした。
分析方法(手続き):本授業科目用に作成されたルーブリック(Table 1)に対する評価を行った後に,学生へ授業終了後にインタビューを行った。インタビュー対象者は学生5名で,「自分の自己評価の基準」,「自分以外の評価者の評価結果をみた全体的な感想」,「授業全体を振り返った印象」の3項目について半構造化インタビューを行った。また,学外機関協力者にも,補足的に評価に関する事後インタビューを行った。
結果と考察
本研究では,学生だけではなく,自治体・地域・大学関係者が,学生が身につけるべき能力を意識しながら学習を進めることが重要であることから,ルーブリック項目についても関係者に了解される必要がある。
まず,本授業科目の到達目標に照らし,VALUE Rubrics (AAC&U)にて公表されている項目のうち,「Civic Engagement」を参照し,本授業科目用のルーブリックを作成した(Table1)。授業は不定期集中講義形式(5日間)で実施され,初回講義時に到達目標及び評価について解説がなされ,ルーブリックによる学生の自己評価を実施することが説明された。
授業終了後に,任意の学生5名を対象に,ルーブリックを用いた自己評価に関するインタビューを実施した。その結果,講義場面や具体的根拠を明示しながら回答できる項目が多かったが,学生によっては,項目内容を十分に解釈できていないことが明らかとなった(Table 1「③-2」「③-3」)。また,その傾向は外部機関関係者でも同様であった。「エビデンス」や「省察力」などの表現は,専門家以外が項目内容をよりイメージできるように改善することが必要である。今後は,学生が自身の学習活動とルーブリック項目を学習成果物に関連付けて説明できる教育評価デザインの検討の蓄積が求められる。
付 記
本研究は文部科学省教育再生加速プログラム(AP事業)によって実施された
近年,学士課程教育では,初年次から学生が学外での学習を通じて地域・社会の課題に主体的に働きかけ,問題解決に必要なスキルや批判的思考力などの「汎用的能力」を獲得することを目指したプログラムなどが開発されている(初年次教育学会, 2013)。一連の研究(澤邉・古村, 2016)では,地域・社会と大学との連携・協働による授業開発が進められてきた。
本研究では,自治体・地域・大学の協働による授業科目(「コミュニティーインターンシップ(2単位,集中)」)の開発過程を踏まえて,授業実践における評価に焦点化して,評価指標及びその評価手法の有効性について検討することを目的とする。
方 法
分析対象:2016年度に実施された授業科目履修学生10名(1年生~3年生),学外協力機関,授業担当教員2名によるルーブリック評価結果を対象とした。
分析方法(手続き):本授業科目用に作成されたルーブリック(Table 1)に対する評価を行った後に,学生へ授業終了後にインタビューを行った。インタビュー対象者は学生5名で,「自分の自己評価の基準」,「自分以外の評価者の評価結果をみた全体的な感想」,「授業全体を振り返った印象」の3項目について半構造化インタビューを行った。また,学外機関協力者にも,補足的に評価に関する事後インタビューを行った。
結果と考察
本研究では,学生だけではなく,自治体・地域・大学関係者が,学生が身につけるべき能力を意識しながら学習を進めることが重要であることから,ルーブリック項目についても関係者に了解される必要がある。
まず,本授業科目の到達目標に照らし,VALUE Rubrics (AAC&U)にて公表されている項目のうち,「Civic Engagement」を参照し,本授業科目用のルーブリックを作成した(Table1)。授業は不定期集中講義形式(5日間)で実施され,初回講義時に到達目標及び評価について解説がなされ,ルーブリックによる学生の自己評価を実施することが説明された。
授業終了後に,任意の学生5名を対象に,ルーブリックを用いた自己評価に関するインタビューを実施した。その結果,講義場面や具体的根拠を明示しながら回答できる項目が多かったが,学生によっては,項目内容を十分に解釈できていないことが明らかとなった(Table 1「③-2」「③-3」)。また,その傾向は外部機関関係者でも同様であった。「エビデンス」や「省察力」などの表現は,専門家以外が項目内容をよりイメージできるように改善することが必要である。今後は,学生が自身の学習活動とルーブリック項目を学習成果物に関連付けて説明できる教育評価デザインの検討の蓄積が求められる。
付 記
本研究は文部科学省教育再生加速プログラム(AP事業)によって実施された