[PA37] 感想文の縦断的分析から見た学びの質的広がり
中学生は何を学べるのだろうか?
Keywords:中学生, 感想文, 発達
はじめに
数学の問題を解く場面を考えてみよう。解答の丸暗記,公式の利用,失敗から導いた一般化された概念など様々な方略(道具)を利用して,自ら(主体が)問題(目的や対象)に取り組むことになる。学びにおける主体-道具-目標/対象の関係を右の三角形で表す(Engeström)。この学びの三角形を前提に学習前後での主体,目標/対象,道具の変化の様子から,学びの質を学び1,学び2,学び3と定義する。
経験を重ねることで学びの在り様がどう変わるか変わらないか,中学生の感想文の縦断的な調査から学びの質を考察することが本稿の目的である。
方 法
調査対象 東北地方にある私立A中学に平成26年に入学した36名(男17名,女19名)について,中学1年から3年までの3年間の夏期学習合宿の感想文 (以下感想文) 108点を分析対象とする。
分析方法 心理学を専攻する大学院生2人の協力のもとに,学び1では「テスト」,「満点」,「準備」 学び2では「理解」,「考える」,「楽しい」学び3では「変える」をキーワードにしながら学び1から3の基準にそって感想文を分類した。なお学び1と学び2の間に位置する段階を学び1~2,また,学び1や学び2では見られない強い意志を持って省察し主体の変容を望む場合は,道具の創造に目立った向上が見られなくても学び3とした。
比較のため分類した感想文についてはテキストマイニングソフトKH Coder(Ver.2.00f)を用い対応分析を行った。
結果と考察
大学院生との共同作業による感想文の分類結果を,学年別に整理したのがTable 1である。
中1~中3の人数の比率について,学び別にQ検定を行った。学び1,1~2,2についてはいずれもp<.050で有意であったが,学び 3については有意が見られずこの学びの特異性が確認できた。
次にKH Coderによる対応分析の結果を示す。
特徴づけられた語句の内容から成分1を非認知・認知志向,成分2を依存・変容志向と解釈した。学び1から学び2は非認知から認知的学びへの移行と捉えられる。一方,学び3は自己の再構築や変容するさいの学びに相当すると考えられる。中学生の場合,前者の学びは経験量に依存するが,後者の学びではそうした傾向は見られなかった。
数学の問題を解く場面を考えてみよう。解答の丸暗記,公式の利用,失敗から導いた一般化された概念など様々な方略(道具)を利用して,自ら(主体が)問題(目的や対象)に取り組むことになる。学びにおける主体-道具-目標/対象の関係を右の三角形で表す(Engeström)。この学びの三角形を前提に学習前後での主体,目標/対象,道具の変化の様子から,学びの質を学び1,学び2,学び3と定義する。
経験を重ねることで学びの在り様がどう変わるか変わらないか,中学生の感想文の縦断的な調査から学びの質を考察することが本稿の目的である。
方 法
調査対象 東北地方にある私立A中学に平成26年に入学した36名(男17名,女19名)について,中学1年から3年までの3年間の夏期学習合宿の感想文 (以下感想文) 108点を分析対象とする。
分析方法 心理学を専攻する大学院生2人の協力のもとに,学び1では「テスト」,「満点」,「準備」 学び2では「理解」,「考える」,「楽しい」学び3では「変える」をキーワードにしながら学び1から3の基準にそって感想文を分類した。なお学び1と学び2の間に位置する段階を学び1~2,また,学び1や学び2では見られない強い意志を持って省察し主体の変容を望む場合は,道具の創造に目立った向上が見られなくても学び3とした。
比較のため分類した感想文についてはテキストマイニングソフトKH Coder(Ver.2.00f)を用い対応分析を行った。
結果と考察
大学院生との共同作業による感想文の分類結果を,学年別に整理したのがTable 1である。
中1~中3の人数の比率について,学び別にQ検定を行った。学び1,1~2,2についてはいずれもp<.050で有意であったが,学び 3については有意が見られずこの学びの特異性が確認できた。
次にKH Coderによる対応分析の結果を示す。
特徴づけられた語句の内容から成分1を非認知・認知志向,成分2を依存・変容志向と解釈した。学び1から学び2は非認知から認知的学びへの移行と捉えられる。一方,学び3は自己の再構築や変容するさいの学びに相当すると考えられる。中学生の場合,前者の学びは経験量に依存するが,後者の学びではそうした傾向は見られなかった。