The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Presentation information

ポスター発表

[PA] ポスター発表 PA(01-78)

Sat. Sep 15, 2018 10:00 AM - 12:00 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号10:00~11:00 偶数番号11:00~12:00

[PA44] 日常的な対人関係における知覚された共感尺度の信頼性・妥当性の検討

小池はるか (東海大学短期大学部)

Keywords:知覚された共感, 自尊感情, 心理的距離

目  的
 本研究は,知覚された共感尺度の信頼性・妥当性について検討することを目的とする。具体的には,これまで治療関係において検討されてきた「知覚された共感」が,日常的な対人関係においても効果がみられるかを検討するため,本研究では定型の16~29歳を対象にしたWEB調査を実施し,その尺度の信頼性と妥当性を確認する。

方  法
調査対象者 16~29歳の青年400名(男性200名,女性200名)を調査対象とした。調査は株式会社クロス・マーケティングが保有する登録モニターを対象とし,WEBを利用した調査を実施した。平均年齢は,25.00歳である。
質問紙 ①相談相手との関係:誰に相談をしたかについて,選択肢から1つ選択するよう回答を求めた。複数の人に相談した場合は,一番よく相談した人を選択するように求めた。②知覚された共感:田中(2006)の知覚された共感尺度を使用した。計11項目で,回答形式は,「全くあてはまらない」~「大変よくあてはまる」の6件法である。③心理治療関係の体験:田畑(1968)の心理治療関係の体験目録(クライエント用)のうち,田中(2006)で用いられた17項目を使用した。「PF」因子,「PD」因子,「PG」因子から成る。回答形式は,「全くあてはまらない」~「大変よくあてはまる」の6件法である。④自尊感情:桜井(2000)の自尊感情尺度を使用した。教示文は,「相談直後の自分の気持ちにもっともよく当てはまる数字を選んで下さい。」。計10項目で,回答形式は,「いいえ」~「はい」の4件法である。⑤心理的距離:金子(1989)の心理的距離尺度を使用した。計10項目で,回答形式は,「あてはまらない」~「あてはまる」の4件法である。⑥感情体験:中田(2006)の感情体験尺度を使用した。「感情に対する統制可能感」因子,「感情に対する尊重性」因子,「感情の優位性」因子から成る。計17項目で,回答形式は,「まったくあてはまらない」~「とてもあてはまる」の4件法である。

結  果
尺度構成 知覚された共感11項目,心理治療関係の体験目録(クライエント用)の下位尺度項目,自尊感情10項目,心理的距離10項目,及び感情体験尺度の下位尺度項目の得点を合計して各得点とした。なお,感情の優位性因子については信頼性が低かったため(α=.30),以降の分析の対象外とした。
知覚された共感尺度の信頼性 知覚された共感の信頼性を検討した結果,信頼性は十分高かった(α=.88)。
知覚された共感尺度の妥当性 知覚された共感の尺度得点と,心理治療関係の体験目録(クライエント用)の下位尺度,自尊感情,心理的距離,感情体験の下位尺度との相関係数を算出した。心理治療関係の体験については,3因子ともに正の相関がみられた(PF r=.92, p<.001;PD r=.86, p<.001;PG r=.47, p<.001)。自尊感情については,正の相関がみられた(r=.22, p<.001)。心理的距離については,負の相関がみられた(r=-.77, p<.001)。感情体験については,2因子ともに正の相関がみられた(感情に対する尊重性 r=.46, p<.001;感情に対する統制可能性 r=.21, p<.001)。

付  記
本研究は,「2017年度東海大学短期大学部奨励研究」の援助を受けて行なったものである。