[PA60] ルートマップ的ルーブリックによる外国語活動での児童生徒のパフォーマンス評価
特別支援学級での実践を通して
Keywords:外国語活動, 特別支援学級, ルーブリック
問題と目的
本研究では,平成32年度からの次期学習指導要領に含まれる小学校英語教科化に向けて,情緒・発達障害児童に対する外国語活動・小学校英語(外国語)及びその教育的効果に焦点をあて,パフォーマンスレベルでの児童・生徒の活動の様子を評価することを試みた。基本的には,特別支援学級での外国語活動(特に情緒・発達障害)と外国語で実際に使用できるよう,障害の程度と特性に対応したアクティビティの開発及びその評価について,調査・検討してゆくものである。具体的には,ルーブリックを用いたアウトプットのアセスメントを行うことにより,授業中の活動の様子を積極的に評価できるように工夫した。また,通常学級における外国語活動・外国語の授業でも使用できるように,柔軟性のある評価項目及び基準を設けることにした。
方 法
A県内のB小学校における特別支援学級にて,1学期に,WISC-IVを用いて,対象児童のアセスメントを行った。この結果を基に,アクティビティの内容を調整し,さらにパフォーマンスの評価を行うためのルーブリックを,特に個別性の高い項目に関して,加筆・修正を施し,2学期に実施した外国語活動の授業研究会にて,評価指標として用いることとした。
結 果
アセスメント結果
WISC-IVの結果から,全般検査IQ72(68-79)で本児の知的能力レベルは知的発達障害から境界線域の範囲にあることが示唆された。ただし,処理速度指標の得点と他の3つの指標得点の間に有意な差があること,ワーキングメモリー指標と言語理解指標や知覚推理指標との間にも有意な差があることから,慎重に解釈する必要がある。本児の検査結果の特徴として,知覚推理指標が明らかに高く,形や図形に認知や操作が得意であること,辞書的な知識はあるものの言葉の概念や知識に隔たりがあること,情報を記憶するときに整理しながら覚えるワーキングメモリーの苦手さ,視覚的な情報を短い時間記憶しておくことやその情報を書く動作につなげていくことに不得意さが示された。
ルーブリック評価項目
基盤スキル 席に座り,ゲームのやり方やルールをある程度理解し,教師と一緒に学習やゲームに参加しようとする。「自分の力でやってみよう。自分ならできる。」という気持ちを持つ。
展開スキル 最初のデモンストレーション(指示)の後,先生の支援なしに友達の様子ややり方カードを見ながら,ゲームに参加できる。わからない時は,先生や友達に助けてもらいながら,ゲームや活動に最後まで参加できる。
発展スキル 最初のデモンストレーション(指示)の後,誰にも頼ることなく最後までゲームを楽しむことができる。先生に促されなくても活動を始めることができる。活動の振り返りを発表することができる。
個別項目(児童・生徒の実態に合わせた項目)
①最後まで集中して学習に取り組む。
②途中で離席したり,叫んだりしない。
授業参観時の評価
終始,授業に積極的に参加していた。支援の先生にサポートをもらいながら,活動内容を把握し,自分の順番が回ってくると,ねらった活動をペアで丁寧に行うなど,英語を使った活動に慣れ親しんでいる様子がうかがえた。相手の好きな食べ物と国を一致させ,英語駆使して活動を積極的にこなす様子がうかがえた。
考察と今後の課題
アウトプット・パフォーマンスの評価という事で,パフォーマンスレベルで児童・生徒がどのような表現を使えるようになったのか,ルーブリックの評価項目を,個別の支援計画を参照しながら,精選した。個別性の高い項目については,心理検査の結果を踏まえた項目を含めることで,実態に合った評価が行えた一方で,その運用面において,客観的な評価が複数の評価者間で統一できるのかといった課題を議論する必要があった。今後の課題として,教育的な効果について児童の行動変容に関する丁寧な記述と,継続的にスキルの変容を確認するための方法を,どのようにルーブリックに書き込むのか等のユーザビリティについては,より深く検討したい。
本研究では,平成32年度からの次期学習指導要領に含まれる小学校英語教科化に向けて,情緒・発達障害児童に対する外国語活動・小学校英語(外国語)及びその教育的効果に焦点をあて,パフォーマンスレベルでの児童・生徒の活動の様子を評価することを試みた。基本的には,特別支援学級での外国語活動(特に情緒・発達障害)と外国語で実際に使用できるよう,障害の程度と特性に対応したアクティビティの開発及びその評価について,調査・検討してゆくものである。具体的には,ルーブリックを用いたアウトプットのアセスメントを行うことにより,授業中の活動の様子を積極的に評価できるように工夫した。また,通常学級における外国語活動・外国語の授業でも使用できるように,柔軟性のある評価項目及び基準を設けることにした。
方 法
A県内のB小学校における特別支援学級にて,1学期に,WISC-IVを用いて,対象児童のアセスメントを行った。この結果を基に,アクティビティの内容を調整し,さらにパフォーマンスの評価を行うためのルーブリックを,特に個別性の高い項目に関して,加筆・修正を施し,2学期に実施した外国語活動の授業研究会にて,評価指標として用いることとした。
結 果
アセスメント結果
WISC-IVの結果から,全般検査IQ72(68-79)で本児の知的能力レベルは知的発達障害から境界線域の範囲にあることが示唆された。ただし,処理速度指標の得点と他の3つの指標得点の間に有意な差があること,ワーキングメモリー指標と言語理解指標や知覚推理指標との間にも有意な差があることから,慎重に解釈する必要がある。本児の検査結果の特徴として,知覚推理指標が明らかに高く,形や図形に認知や操作が得意であること,辞書的な知識はあるものの言葉の概念や知識に隔たりがあること,情報を記憶するときに整理しながら覚えるワーキングメモリーの苦手さ,視覚的な情報を短い時間記憶しておくことやその情報を書く動作につなげていくことに不得意さが示された。
ルーブリック評価項目
基盤スキル 席に座り,ゲームのやり方やルールをある程度理解し,教師と一緒に学習やゲームに参加しようとする。「自分の力でやってみよう。自分ならできる。」という気持ちを持つ。
展開スキル 最初のデモンストレーション(指示)の後,先生の支援なしに友達の様子ややり方カードを見ながら,ゲームに参加できる。わからない時は,先生や友達に助けてもらいながら,ゲームや活動に最後まで参加できる。
発展スキル 最初のデモンストレーション(指示)の後,誰にも頼ることなく最後までゲームを楽しむことができる。先生に促されなくても活動を始めることができる。活動の振り返りを発表することができる。
個別項目(児童・生徒の実態に合わせた項目)
①最後まで集中して学習に取り組む。
②途中で離席したり,叫んだりしない。
授業参観時の評価
終始,授業に積極的に参加していた。支援の先生にサポートをもらいながら,活動内容を把握し,自分の順番が回ってくると,ねらった活動をペアで丁寧に行うなど,英語を使った活動に慣れ親しんでいる様子がうかがえた。相手の好きな食べ物と国を一致させ,英語駆使して活動を積極的にこなす様子がうかがえた。
考察と今後の課題
アウトプット・パフォーマンスの評価という事で,パフォーマンスレベルで児童・生徒がどのような表現を使えるようになったのか,ルーブリックの評価項目を,個別の支援計画を参照しながら,精選した。個別性の高い項目については,心理検査の結果を踏まえた項目を含めることで,実態に合った評価が行えた一方で,その運用面において,客観的な評価が複数の評価者間で統一できるのかといった課題を議論する必要があった。今後の課題として,教育的な効果について児童の行動変容に関する丁寧な記述と,継続的にスキルの変容を確認するための方法を,どのようにルーブリックに書き込むのか等のユーザビリティについては,より深く検討したい。