[PA63] 減災カードゲーム(学校・教師編)の開発と活用について
教師のための「心のケア」研修時の教師の声を踏まえて
Keywords:減災, ゲーム, 学校
背 景
宮城県内の東日本大震災後の支援者支援を目的に,心理師の有志でケア宮城を結成(2011年4月),宮城県教育委員会と連携し活動してきた。
減災とは,災害時においてあらかじめ被害の発生を想定した上で,その被害を低減させていこうとする取り組みである。学校は,未来を担う子どもたちが生活している場所,また,地域の避難所に指定されていることが多い。地域コミュニティの復興の拠点ともなる。したがって子どもたちの命を守り,地域コミュニティの再生のためにも,学校現場の教師のとる初期対応が適切かつ迅速に行われることが重要である。
目 的
大震災時の対応に当たった教員の経験を次世代に継承する手法として,災害時に直面した課題を追体験することで,その場にいなかった教員らも問題解決や判断の知恵を共有し,リスクコミュニケーションの向上を図ることをねらいとした減災カードゲームを制作した。ポイントは,立場によって注目する観点が異なること,そうした状況で被害を最小化する判断の合意形成に至るコミュニケーションを容易にし,また,学校現場の良好な人間関係づくりを目指している。
カードの質問項目の作成
質問課題:災害エスノグラフィー手法を用いた。「心のケア」研修時に聴取した災害時の教師の声を基にして,校長・教頭・養護教諭を想定した各2項目,担任教諭の立場を想定した14項目合計20項目の質問を作成した。その後,現任教師55名を対象に,各質問に賛成か反対か,そしてその理由を尋ねた。賛否が容易な質問と,判定に惑い賛否が5部5部に分かれる質問が出た。
リラクゼーション課題とトーク課題: 研修時に心理教育の講話後,ワークショップを実施する行った「リラクゼーション課題」と,傾聴の基礎訓練で用いた話題を「トーク課題」とした。災害時に必要な防災グッズをカードに描き,「防災グッズゲット」のマスに止まったらゲットできるようにした。ゴールはない。
ゲームの進め方
◆ゲーム時間:約50分~1時間。2人~5人一組で行う。◆ゲームの準備:ボード版を広げ,カードを所定の置き場に置く。スタートのマスに各自のコマを置き,順番にサイコロを振って,止まったマス目に書いてある指示に従う。◆カードを引いた人が,カードに書いてある役割を想定して,質問に対する自分の意見を決め,そう決めた理由を述べる。◆他の参加者は同じ質問に同様な役割を想定した自分の意見と決めた理由を考え述べる。参加者相互の「話し合い」を経て,カードを引いた人が最終的に,賛否の判断を下す。「話し合い」は,参加者が否定や評価されることなく安心して表現できること,真剣に耳を傾けてもらえる気持ちよさを味わうために設定した。
今後の課題教師のための減災カードゲームの活用効果を測定する手法を開発し検証する必要と,災害時の時間経過に伴う質問作成が残された課題である。
宮城県内の東日本大震災後の支援者支援を目的に,心理師の有志でケア宮城を結成(2011年4月),宮城県教育委員会と連携し活動してきた。
減災とは,災害時においてあらかじめ被害の発生を想定した上で,その被害を低減させていこうとする取り組みである。学校は,未来を担う子どもたちが生活している場所,また,地域の避難所に指定されていることが多い。地域コミュニティの復興の拠点ともなる。したがって子どもたちの命を守り,地域コミュニティの再生のためにも,学校現場の教師のとる初期対応が適切かつ迅速に行われることが重要である。
目 的
大震災時の対応に当たった教員の経験を次世代に継承する手法として,災害時に直面した課題を追体験することで,その場にいなかった教員らも問題解決や判断の知恵を共有し,リスクコミュニケーションの向上を図ることをねらいとした減災カードゲームを制作した。ポイントは,立場によって注目する観点が異なること,そうした状況で被害を最小化する判断の合意形成に至るコミュニケーションを容易にし,また,学校現場の良好な人間関係づくりを目指している。
カードの質問項目の作成
質問課題:災害エスノグラフィー手法を用いた。「心のケア」研修時に聴取した災害時の教師の声を基にして,校長・教頭・養護教諭を想定した各2項目,担任教諭の立場を想定した14項目合計20項目の質問を作成した。その後,現任教師55名を対象に,各質問に賛成か反対か,そしてその理由を尋ねた。賛否が容易な質問と,判定に惑い賛否が5部5部に分かれる質問が出た。
リラクゼーション課題とトーク課題: 研修時に心理教育の講話後,ワークショップを実施する行った「リラクゼーション課題」と,傾聴の基礎訓練で用いた話題を「トーク課題」とした。災害時に必要な防災グッズをカードに描き,「防災グッズゲット」のマスに止まったらゲットできるようにした。ゴールはない。
ゲームの進め方
◆ゲーム時間:約50分~1時間。2人~5人一組で行う。◆ゲームの準備:ボード版を広げ,カードを所定の置き場に置く。スタートのマスに各自のコマを置き,順番にサイコロを振って,止まったマス目に書いてある指示に従う。◆カードを引いた人が,カードに書いてある役割を想定して,質問に対する自分の意見を決め,そう決めた理由を述べる。◆他の参加者は同じ質問に同様な役割を想定した自分の意見と決めた理由を考え述べる。参加者相互の「話し合い」を経て,カードを引いた人が最終的に,賛否の判断を下す。「話し合い」は,参加者が否定や評価されることなく安心して表現できること,真剣に耳を傾けてもらえる気持ちよさを味わうために設定した。
今後の課題教師のための減災カードゲームの活用効果を測定する手法を開発し検証する必要と,災害時の時間経過に伴う質問作成が残された課題である。