The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表

[PA] ポスター発表 PA(01-78)

Sat. Sep 15, 2018 10:00 AM - 12:00 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号10:00~11:00 偶数番号11:00~12:00

[PA64] 保育に対する自信に及ぼす実習後の保育実践力の影響

子どもや保育者への関わりに対する自信に注目して

田村隆宏1, 木村直子2, 谷村宏子#3 (1.鳴門教育大学, 2.鳴門教育大学, 3.関西学院大学)

Keywords:保育者養成, 保育実践力, 保育実習

 平成29年改訂の幼稚園教育要領や保育所保育指針では,今まで以上に保育者の資質向上が求められている。このことは保育者養成段階から学生が自らの保育に対する自信を持って積極的に学ぶ姿勢を持つことの重要性を示唆するものであろう。その実現のためには,学生の保育に対する自信がどのような要因に支えられているかを明らかにし,それをサポートするための教育環境や教育的処遇の具体的なあり方を改めて考え直す必要がある。そこで本研究では,学生の保育に対する自信に影響する要因の一つと考えられる保育実習後に身につく保育実践力に注目し,具体的にどのような実践力が学生の保育に対する自信に影響しているかについて検討する。保育に対する自信については,子どもや保育者への関わりに対する自信について注目し,これらの自信が実習で身についたどのような保育実践力の影響を受けているのかを明らかにする。

方  法
被調査者 被調査者は四年制大学教育学部幼児教育コースに所属する3年生116人であった。
調査内容 保育実習後に子どもや保育者とうまく関われた自信の程度を6段階尺度評定で尋ねた。加えて,保育実習の直後に木村・田村・谷村(2017)の「保育実践力スタンダード(子どもとのかかわり編)」の“実践に必要なコミュニケーション能力”に関する33項目,“保育を計画する力”に関する17項目,“保育を発展的に展開する力”に関する16項目,について「非常によくあてはまる」から「全くあてはまらない」の6段階評定尺度での回答を求めた。

結果と考察
 実習後の保育実践力を独立変数とし,実習後の「子どもへの関わりに対する自信」と「保育者との関わりに対する自信」を従属変数として,β値の有意水準が5%以下であることを変数投入の打ち切り基準としたステップワイズ法による重回帰分析を行った。その結果,2つの従属変数のいずれにおいても,3つの保育実践力のうち「保育を発展的に展開する力」は除外された。Tableはその分析結果を示したものである。実習後の子どもとの関わりに対する自信と保育実践力との関係については,「コミュニケーション力」(β=0.349**),「保育計画力」(β=0.295*)との間には,いずれにおいても肯定的な影響が確認された(R2=0.374)。実習後の保育者との関わりに対する自信と保育実践力との関係については,「保育計画力」(β=0.329*),「コミュニケーション力」(β=0.290*)との間にはいずれにも肯定的な影響が確認された(R2=0.345)。
 これらの結果から,実習後の「コミュニケーション力」や「保育計画力」は「子どもへの関わりに対する自信」や「保育者との関わりに対する自信」に肯定的な影響力を持つことが明らかにされた。このことは,保育実習でできるだけ「コミュニケーション力」や「保育計画力」を身につけることが学生の子どもや保育者との関わりに対する自信を高めることを示唆している。保育者養成段階においては,特に学生が保育実習時にこれらの力を身につけられる実習指導のあり方を検討することの重要性が示された。

引用文献
木村直子・田村隆宏・谷村宏子(2017)「保育実践力スタンダード(子どもとのかかわり編)」作成に関する研究,応用教育心理学研究,34,第1号,17-26.