The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Presentation information

ポスター発表

[PA] ポスター発表 PA(01-78)

Sat. Sep 15, 2018 10:00 AM - 12:00 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号10:00~11:00 偶数番号11:00~12:00

[PA71] 学級内における中心的な人物との関係性といじめ加害行為との関連

唐音啓 (東京大学)

Keywords:いじめ, 友人関係

問題・目的
 平成29年度の国内のいじめ認知件数は,32万3808件と,過去最多を記録しており(文部科学省, 2017),学校におけるいじめ問題は依然,重要な問題となっている。近年,攻撃行動をとりながらも自尊感情が高く, 仲間集団の中心的な存在であり続ける「知覚された人気」(Perceived Popularity)を持つ人物(以下PP児)の存在が着目されており,いじめの加害者となり得ることが指摘されている。
 いじめを,集団構造の問題であると捉えたとき(森田ら,1986),いじめのひとつの形として,PP児を中心とした加害者集団が形成されている可能性が考えられる。先行研究では,PP児の個人特性(Cillissen & Mayeux, 2004)や行動特徴(Hawley, 2003)に焦点が当てられてきたが,周囲の子どもたちとPP児との関係性は明らかにされてこなかった。そこで本研究では,PP児との関係性が,本人の学級におけるいじめ加害行為と,どのような関連を持つかを検討することを目的とする。

方  法
調査対象 2017年11月-12月,関東6大学に在籍する大学生390名のうち, PP児とSP児を区別して回答した253名を分析対象とした。
調査手続き 中学校3年生時のクラスを想起させた上で, クラスの中で以下のように教示した人物を1名ずつ思い浮かべてもらい, イニシャルをおよび性別を尋ねた。(1)「クラスの中で最も中心的で目立っていた人を思い浮かべてください」(PP児),(2)「クラスの中で好かれていて, かつあなたが好感を持っていた人物を思い浮かべてください」
分析対象項目  ①PP児評定の項目として,(1)友人関係における共有様式尺度(池田ら,2013):単項目, (2)いじめ関連行動 ②自己評定の項目として, (1)いじめ関連行為(橋本(1999),王ら(2016)を改変)を分析対象とした。

結  果
 一要因分散分析による4群の比較をおこなった。まず,PP児との関係性として,PP児との行動頻度を問う項目「あなたは,その人物とどの程度行動をともにしていましたか」の得点について,平均値で分割し,2群を作成した。次に,PP児の学級内におけるいじめ加害行為への関与の有無を明らかにするため,いじめ関連行為の加害立場項目得点について,平均値で分割し,高低群を作成した。各群の高低群を組み合わせて,「加害関係高群」(PP児との行動頻度高×PP児のいじめ加害高),「加害関係低群」(PP児との行動頻度低×PP児のいじめ加害高),「非加害関係高群」(PP児との行動頻度高×PP児のいじめ加害低),「非加害関係低群」(PP児との行動頻度低×PP児のいじめ加害低)とした。
PP児との関係性と,いじめ加害行為との関連
 従属変数をいじめ加害行為とし,各群の人数はそれぞれ,加害関係高群46名,非加害関係高群48名,加害関係低群59名,非加害関係低群47名であった。PP児との関係性の効果は有意となった(F(3,195)=11.37 , p<.001)。Tukey 法を用いた多重比較の結果,「加害関係高群」と他の3群間で有意差がみられ,さらに「非加害関係高群」と「非加害関係低群」間で有意差がみられた。すなわち,学級内における中心的な人物(PP児)と行動ともにしている人物ほど,いじめの加害行為を多くとっていることが示された。

考  察
 本研究では,学級内における中心的な人物(PP児)との関係性が,本人のいじめ加害行為とどのような関連を持つかを検討した。その結果,PP児とともに行動している人物ほど,いじめ加害行為をとりやすいことが示唆された。今後は,PP児とともに行動している人物が,PP児とどのような関係性にあるかを緻密に検討する必要があると考えられる。