The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表

[PB] ポスター発表 PB(01-76)

Sat. Sep 15, 2018 1:00 PM - 3:00 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号13:00~14:00 偶数番号14:00~15:00

[PB17] お菓子の懐かしさに関するイメージ

坪井寿子 (東京未来大学)

Keywords:懐かしさ, お菓子, イメージ

問  題
 これまでお菓子に関する自伝的記憶について検討してきた。自伝的記憶と懐かしさについてはその関連性が示されてきたものの,お菓子については十分に検討してこなかった。そこで,本研究では,お菓子の懐かしさについて検討した。

方  法
 対象者:大学生83名。男性22名,女性61名。年齢19.92歳。標準偏差0.61
 質問項目:①お菓子の懐かしさ及び②懐かしさ関連語がどの程度お菓子にあてはまるのかについて調べた。①で使用したお菓子の種類は,まんじゅう,せんべい(以上,和菓子類),クッキー,ケーキ(以上,洋菓子類),ポテトチップス,ポッキー,スナック菓子(以上,スナック菓子類),飴・ガム,チョコ,グミ(以上,ひと口菓子類)であった。②で使用した懐かしさ関連語は以下の通りである(楠見(2012)に基づいた)。過去へのあこがれ,記憶,記念のもの,回想する,追体験,回想,子どもの頃,過去に戻りたい(以上,過去記憶に関するもの),心地よさ,穏やかな変化への受け入れや抵抗,名声,あこがれ,老人,甘い記憶,古き良き時代,幸福,ほろ苦さ,人間関係,個人的意味,感傷,あれこれ考える,寂しさ,感覚的手がかり,ホームシック(以上,複合感情に関するもの),孤独,活発でない,幻想,白昼夢,悲しみ,ネガティブな過去,心の痛み,喪失,後悔(以上,寂寥感情に関するもの)であった。
 手続き:集団施行で行った。

結  果
 お菓子の懐かしさに関する評定:Table 1にお菓子の懐かしさの平均値(標準偏差)を示した。お菓子類を要因とする参加者内1要因の分散分析を行ったところ,主効果が有意であった(F(3,81)=16.54 p<.01)。多重比較を行ったところ,和菓子類と洋菓子類,和菓子類とスナック菓子,和菓子類とひと口菓子類において有意差が見られた。
 お菓子に関する懐かしさ関連語の評定:Table 2にお菓子に関する懐かしさ関連語の平均値(標準偏差)を示した。
 懐かしさを要因とする参加者内1要因の分散分析を行ったところ,主効果が有意であった(F(2,77)=84.50 p<.01)。多重比較を行ったところ,過去記憶と複合感情,過去記憶と寂寥感情,複合感情と寂寥感情とのいずれも有意差がみられた。


考  察
 和菓子類が他のタイプのお菓子に比べて,懐かしさの評定が高かったことは,なつかしさの社会文化的側面が影響したと考えられる。
 また,お菓子における懐かしさの関連語については,感情面に関しては,甘酸っぱいに代表されるような複合的感情が影響していることが示された。ただ,その感情面よりも記憶に関するものの方が影響されていることが示された。