[PB18] 双極性多軸同心円スケールによる痛みに関するオノマトペの諸特性の検討
Keywords:痛み, オノマトペ, 双極性多軸同心円スケール
はじめに
幼児など自分の感じる痛みを,詳細に説明することが困難な人達において,オノマトペなどによって表現された,痛みの特性を適切に理解することが重要だと考えられ,様々な研究が行われてきたが,不明な点も数多く残されている。
本研究では,各オノマトペが痛みに関する各々の特性を示すために選択される頻度や,各オノマトペが示す様々な痛みの特性の大きさなどについて,記述対象評定法および双極性多軸同心円スケールを用いて検討することとした。
方 法
(1)研究参加者:研究参加は,大学生50人であった。本研究の目的・方法・影響,参加の任意性プライバシー保護などについて説明を行い,研究参加の同意を得た。(2)双極性多軸同心円スケール:多軸同心円スケールを双極化したものであった。研究参加者は,各軸先の( )の中に,評定する対象としてあてはまる・適切な対象を記入することを求められ,( )内に記入した対象が,最も内側の同心円の中に表示された特性にあてはまる(近い)程度が大きいほど,軸上の最内側の同心円(評定値1)に近い位置に,軸上の最も外側の同心円の外側に表示した特性に当てはまる(近い)と思うほど,最外側の同心円(評定値-1)に近い位置に×印をつけて評定することを求められた。(3)記述対象評定法:評定する対象を評定者自身が選択し,記述して評定する方法である。この方法により,評定者がどのような対象を選択するのかに関する情報を収集することができる。本研究では,評定対象選択の参考として,先行研究により痛みを示すとされた54のオノマトペの例を提示した。(4)痛みに関する評定特性(双極性尺度):強い-弱い,鋭い-鈍いなど12の痛みに関する双極性尺度を用い評定を求めた。(5)ワゴムを基準とした各オノマトペの主観的な痛みの大きさの数値評定:一定の条件の下で輪ゴムが指先にあたった場合に感じる痛みの大きさを基準として,例示した54のオノマトペについて,各語が示すと思う痛みの大きさを,正の数値で評定することを求めた。
結果および考察
初めに,54語の数値評定の評定平均値と,記述対象評定法・双極性多軸同心円スケールを用いた,強い痛み―弱い痛み尺度の評定結果との関連を検討した。例示した54のオノマトペについて記述対象評定法・双極性多軸同心円スケールを用いた,強い痛み―弱い痛み尺度の評定において,当該の語を選択・評定した研究参加者の評定値の平均値,中央値,最頻値と,当該の語を選択しなかった参加者の評定値を0として算出した全研究参加者の評定値の平均値(評定値合計/50)と,ワゴムを基準とした数値評定値の平均値との相関係数を算出した。4つの相関係数は,全て0.65以上で有意であり(p<0.01),記述対象評定法,双極性多軸同心円スケールよる痛みの特性に関する評定方法について,基準関連妥当性があることが示唆された。
また,各尺度について選択率が,10%以上で評定平均値が±0.4以上であるオノマトペを選択・比較したところ,尺度間に相違が示された。
幼児など自分の感じる痛みを,詳細に説明することが困難な人達において,オノマトペなどによって表現された,痛みの特性を適切に理解することが重要だと考えられ,様々な研究が行われてきたが,不明な点も数多く残されている。
本研究では,各オノマトペが痛みに関する各々の特性を示すために選択される頻度や,各オノマトペが示す様々な痛みの特性の大きさなどについて,記述対象評定法および双極性多軸同心円スケールを用いて検討することとした。
方 法
(1)研究参加者:研究参加は,大学生50人であった。本研究の目的・方法・影響,参加の任意性プライバシー保護などについて説明を行い,研究参加の同意を得た。(2)双極性多軸同心円スケール:多軸同心円スケールを双極化したものであった。研究参加者は,各軸先の( )の中に,評定する対象としてあてはまる・適切な対象を記入することを求められ,( )内に記入した対象が,最も内側の同心円の中に表示された特性にあてはまる(近い)程度が大きいほど,軸上の最内側の同心円(評定値1)に近い位置に,軸上の最も外側の同心円の外側に表示した特性に当てはまる(近い)と思うほど,最外側の同心円(評定値-1)に近い位置に×印をつけて評定することを求められた。(3)記述対象評定法:評定する対象を評定者自身が選択し,記述して評定する方法である。この方法により,評定者がどのような対象を選択するのかに関する情報を収集することができる。本研究では,評定対象選択の参考として,先行研究により痛みを示すとされた54のオノマトペの例を提示した。(4)痛みに関する評定特性(双極性尺度):強い-弱い,鋭い-鈍いなど12の痛みに関する双極性尺度を用い評定を求めた。(5)ワゴムを基準とした各オノマトペの主観的な痛みの大きさの数値評定:一定の条件の下で輪ゴムが指先にあたった場合に感じる痛みの大きさを基準として,例示した54のオノマトペについて,各語が示すと思う痛みの大きさを,正の数値で評定することを求めた。
結果および考察
初めに,54語の数値評定の評定平均値と,記述対象評定法・双極性多軸同心円スケールを用いた,強い痛み―弱い痛み尺度の評定結果との関連を検討した。例示した54のオノマトペについて記述対象評定法・双極性多軸同心円スケールを用いた,強い痛み―弱い痛み尺度の評定において,当該の語を選択・評定した研究参加者の評定値の平均値,中央値,最頻値と,当該の語を選択しなかった参加者の評定値を0として算出した全研究参加者の評定値の平均値(評定値合計/50)と,ワゴムを基準とした数値評定値の平均値との相関係数を算出した。4つの相関係数は,全て0.65以上で有意であり(p<0.01),記述対象評定法,双極性多軸同心円スケールよる痛みの特性に関する評定方法について,基準関連妥当性があることが示唆された。
また,各尺度について選択率が,10%以上で評定平均値が±0.4以上であるオノマトペを選択・比較したところ,尺度間に相違が示された。