The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表

[PB] ポスター発表 PB(01-76)

Sat. Sep 15, 2018 1:00 PM - 3:00 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号13:00~14:00 偶数番号14:00~15:00

[PB49] 担任教師の「課題を突きつける」指導行動が児童の自律性に及ぼす影響

森智史1, 越良子2 (1.新潟県柏崎市立比角小学校, 2.上越教育大学)

Keywords:担任教師, 指導行動, 自律

目  的
 森(2017)は,学級コミットメントの高い学級において,担任教師の「課題を突きつける」指導行動(弓削,2012)が児童の自律性を高めることを報告した。本研究は,児童と担任教師の相互作用過程を分析し,担任教師の「突きつけ」が児童の自律性獲得にどのようなプロセスを経て影響を及ぼすか検討した。

方  法
調査対象と調査時期 2017年4月から7月まで,公立小学校5年生1学級(児童数32名)において,1週間に1回の頻度で計14回,学級観察を実施した。担任教師は教職17年目の男性である。観察の対象場面は,授業や学級活動とした。
調査手続き 教室後方から担任教師や児童の言動を観察し,簡易に記録した。後日,観察した様子について,時系列に事実を書き起こした。

結果と考察
 担任教師の指導行動とそれに対する児童の行動,各事例間の時系列的関連について,Table 1に示す。
 4月は,児童の自律的行動が見られない場面において,児童に何をするべきか考えさせる「突きつけ」が行われた。5月には,学級の問題状況に気付き,周囲に声を掛ける児童や手を貸す児童が現れるようになった。その後,6月になると,担任教師の介入がなくても児童の自律的行動が定着した。また,児童に自分たちで学級内の問題の解決策を話し合う経験を積ませると,7月には,生活上のトラブルを自分たちで解決したいという児童が現れ,児童発信かつ児童主体の問題解決が図られた。
 この過程において,「突きつけ」を契機に児童の行動に変容が見られた時,担任教師は,児童の自律的行動を評価したり,その重要性を児童に語ったりしていた。「突きつけ」とともに,自律的行動の意味づけや具体化が行われることで,徐々に担任教師の介入が必要とされなくなり,児童は自律性を獲得していくことが示唆された。