[PC01] 年下きょうだいの有無が育児能力に影響を及ぼすのか
青年期女性の親性準備性に関する検討
Keywords:きょうだい, 自己成長, 親性準備性
目 的
親性準備性は,就学前の母親との愛着よりも成人期の愛着が関係していることが明らかになっている(小池,2013)。
清水ら(2014)は,親性準備性を育む要因の一つとして,子どもとの接触体験が重要であると報告している。ここでは,女子大学生における子供との接触経験の頻度が親性準備性の得点に影響を与えていることが示された。
しかしながら,年下きょうだいの有無が親性準備性に影響を及ぼすかどうかの検討は行われていない。親性準備性への影響は,家族関係の中で,親子の直接的な関係だけではなく,普段生活を共にするきょうだいの影響を受けていることも十分に予想される。
本研究では青年期女性を対象に,家族形態,5歳以上離れた年下きょうだいの有無,成人期の愛着を調査した上で,親性準備性への影響を検討することを目的とした。青年期女性の親性準備性と就学前及び成人期の愛着スタイルとの関連についても同時に検討した。
方 法
調査対象者 宮城学院女子大学の学生(発達臨床学科3,4年生151名,食品栄養学科3,4年生183名)334名に質問紙を配布した。
期間と手続き 2017年7月25日~8月2日の授業中に質問紙を無記名方式で配布,回収した。
質問紙 実施した項目は,大別すると以下の4項目で構成された。
フェイスシート:学部,学科,専攻,学年,年齢
① 家族構成
② 子ども・子育てに関する意識尺度(伊藤,2003)
③ 親性準備性尺度(小池,2009)
④ 内的作業モデル尺度(戸田,1988)
結果と考察
親性準備性の各項目の得点を合計し,「子どもと育児への好意」「育児への負担感」「生きがい」「自己成長」について,尺度得点を算出した。それぞれの平均値と標準偏差は表1に示される。
5歳以上離れた年下きょうだいがいるか,いないかでグループ分けをし,親性準備性の各項目得点の差をt検定により分析した。その結果,「子どもと育児への好意」「自己成長」において有意な得点差が見られた(「育児への好意」:t(334)=1.99,p<.05;「自己成長」:t(334)=2.45, p<.05)。「育児への負担感」「生きがい」においては,得点差が見られなかった(「育児への負担感」:t(334)=-0.83,n.s.「生きがい」:t(334)=1.27,n.s.)。
今回の結果から,5歳以上離れた年下きょうだいの有無が親性準備性に影響を及ぼしていることが示された。特に,「子どもと育児への好意」「自己成長」は,日常生活に年下のきょうだいとの接触経験が重要であることが分かった。この接触経験について,例えば,手伝いの一環で年下きょうだいの世話をするなど,普段からか年下きょうだいとの接触経験を有していたことで,自分が親になった際の責任感や親としての自覚が培われるのではないかと考えられる。
本研究では年の差を5歳以上としたが,それ以上離れた年下きょうだいがいる場合,またはそれほど差がない場合,そして男性を含めた若者を対象に行い,親性準備性への影響を検討する必要があるだろう。
引用・参考文献
小池優美 (2013). 青年期女性の親性準備性と就学前及び成人期の愛着スタイルとの関連 日本女子大学大学院人間社会研究科紀要,19,99-113.
清水寿代・鄭
親性準備性は,就学前の母親との愛着よりも成人期の愛着が関係していることが明らかになっている(小池,2013)。
清水ら(2014)は,親性準備性を育む要因の一つとして,子どもとの接触体験が重要であると報告している。ここでは,女子大学生における子供との接触経験の頻度が親性準備性の得点に影響を与えていることが示された。
しかしながら,年下きょうだいの有無が親性準備性に影響を及ぼすかどうかの検討は行われていない。親性準備性への影響は,家族関係の中で,親子の直接的な関係だけではなく,普段生活を共にするきょうだいの影響を受けていることも十分に予想される。
本研究では青年期女性を対象に,家族形態,5歳以上離れた年下きょうだいの有無,成人期の愛着を調査した上で,親性準備性への影響を検討することを目的とした。青年期女性の親性準備性と就学前及び成人期の愛着スタイルとの関連についても同時に検討した。
方 法
調査対象者 宮城学院女子大学の学生(発達臨床学科3,4年生151名,食品栄養学科3,4年生183名)334名に質問紙を配布した。
期間と手続き 2017年7月25日~8月2日の授業中に質問紙を無記名方式で配布,回収した。
質問紙 実施した項目は,大別すると以下の4項目で構成された。
フェイスシート:学部,学科,専攻,学年,年齢
① 家族構成
② 子ども・子育てに関する意識尺度(伊藤,2003)
③ 親性準備性尺度(小池,2009)
④ 内的作業モデル尺度(戸田,1988)
結果と考察
親性準備性の各項目の得点を合計し,「子どもと育児への好意」「育児への負担感」「生きがい」「自己成長」について,尺度得点を算出した。それぞれの平均値と標準偏差は表1に示される。
5歳以上離れた年下きょうだいがいるか,いないかでグループ分けをし,親性準備性の各項目得点の差をt検定により分析した。その結果,「子どもと育児への好意」「自己成長」において有意な得点差が見られた(「育児への好意」:t(334)=1.99,p<.05;「自己成長」:t(334)=2.45, p<.05)。「育児への負担感」「生きがい」においては,得点差が見られなかった(「育児への負担感」:t(334)=-0.83,n.s.「生きがい」:t(334)=1.27,n.s.)。
今回の結果から,5歳以上離れた年下きょうだいの有無が親性準備性に影響を及ぼしていることが示された。特に,「子どもと育児への好意」「自己成長」は,日常生活に年下のきょうだいとの接触経験が重要であることが分かった。この接触経験について,例えば,手伝いの一環で年下きょうだいの世話をするなど,普段からか年下きょうだいとの接触経験を有していたことで,自分が親になった際の責任感や親としての自覚が培われるのではないかと考えられる。
本研究では年の差を5歳以上としたが,それ以上離れた年下きょうだいがいる場合,またはそれほど差がない場合,そして男性を含めた若者を対象に行い,親性準備性への影響を検討する必要があるだろう。
引用・参考文献
小池優美 (2013). 青年期女性の親性準備性と就学前及び成人期の愛着スタイルとの関連 日本女子大学大学院人間社会研究科紀要,19,99-113.
清水寿代・鄭