The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表

[PC] ポスター発表 PC(01-76)

Sat. Sep 15, 2018 3:30 PM - 5:30 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号15:30~16:30 偶数番号16:30~17:30

[PC09] 放課後の居場所での支援が低学年児童および保護者による放課後評価に与える影響

川嶋健太郎1, 北原靖子2, 蓮見元子3 (1.東海学院大学, 2.川村学園女子大学, 3.川村学園女子大学)

Keywords:放課後, 居場所

目  的
 放課後こどもクラブなど低学年児童の放課後の居場所には職員などの大人がおり,児童に対して様々な支援(見守り・一緒に遊ぶ・教えるなど)を行っている。これらの支援は放課後の生活を充実させ,同学年・他学年との交流を促進させることが期待される。
 そこで本研究では3年間放課後子ども教室が順次設置される公立小学校5校の協力を得て,1年生全児童とその保護者を対象として,1年次から3年次まで年に1回の放課後生活空間評価アンケートを実施し,放課後の居場所における大人による支援がその後の放課後の過ごし方に影響を与えるか縦断的に検討する。

方  法
調査対象者 5つの小学校に2010年秋時点小学1年生に在籍していた全児童とその保護者637ペアが対象であった。3年間を通し今回の分析に対する有効回答は371ペアであった。対象となる5つの小学校は関東首都圏にあり,放課後子ども教室という学校敷地内の空き教室を利用した児童の放課後の居場所が順次設置されていた。放課後子ども教室を設置した学校では,低学年で8割以上が年間500円を支払って利用登録していた。
質問紙の構成 児童用質問紙:放課後(学校終了後から晩御飯まで)の過ごし方および居場所についての15項目(第15項目のみ自由記述)。保護者用質問紙:質問紙はマークシート方式であり,Shared Questionnaire System (SQS) を用いて作成された.質問紙の構成は以下のとおりである。(1) 自分の子どもの放課後の過ごし方10項目・仲間作り活動10項目,(2) 子どもが放課後に過ごす場所の様子10項目,(3) 子どもの放課後の過ごし方・居場所への保護者自身の考え6項目,であった。
手続き 市役所および各校長よりの趣旨・内容の承諾後,各クラスの担任にアンケートの配布を依頼した。また保護者にアンケート参加の依頼を行った。担任教員が質問項目を読み上げ,児童は一斉に回答した(児童が答えない場合には飛ばして良いと説明)。また児童は受け取った保護者用質問紙を帰宅後に保護者に渡し,保護者の記入後に小学校でクラス毎に回収した。

結果と考察
 保護者および児童の項目をそれぞれ因子分析した結果,保護者からは放課後の遊び,工夫,仲間づくり,大人サポート,自由の5因子が抽出された。また児童の項目からは放課後の遊び,大人サポートの2因子が抽出された(各年度で含まれる項目は同様)。各尺度の尺度得点を計算し,仲間づくり,放課後の遊び,大人サポートが次の年度の得点に影響を与えるか検討するため共分散構造分析を行った。Figure 1は保護者による評定の結果を示している。1,2年次は大人サポートが放課後遊びに正のパスがある一方で,3年次には大人サポートからは有意なパスがなくなった。また1年次の放課後遊びと仲間づくりが2年次のそれぞれに影響することが認められなかったが,2年次から3年次には仲間づくりから放課後遊びに正のパスが見られた。Figure 2は児童の放課後遊び・大人サポートと保護者の仲間づくりについて同様に検討した結果を示した。