The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Presentation information

ポスター発表

[PD] ポスター発表 PD(01-70)

Sun. Sep 16, 2018 10:00 AM - 12:00 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号10:00~11:00 偶数番号11:00~12:00

[PD14] コーチングを活用した授業実践の効果(2)

参加学生の自己評価から見た変化

藤村あきほ1, 鳥羽きよ子2, 西垣悦代3 (1.立命館大学大学院, 2.ハートランドしぎさん看護専門学校, 3.関西医科大学)

Keywords:コーチング, 自己効力感, 自己肯定感

背景と目的
 人との良い関係を持てることは人生に大きな影響がある。そのためには自身の在り方が大切である。これらの姿勢を学び,身に付けることは看護学生のみならずこれからの人生を生きていく若者にとって大きな力になると考える。
 筆者らはコーチングがその目的にかなっていると考えた。コーチングマインドとは,コーチングにおいてコーチが人に安心感を与え,承認し,評価,判断,否定せずに傾聴する姿勢である。コーチはクライアントに対して共感と思いやりを持って接し,その人の在り方を認知し,質問から気づきを促し行動に繋げ,励まし寄り添うものである。
 本研究は筆者がコーチとして看護専門学校で人間関係論の授業を担当する中で,人間関係構築に役立つコーチングマインドを,ワークを通して学生に体感してもらい,その効果を検証したものである。本研究では,授業で実施したピア・コーチングによる学生の変化を,自己効力感と自己肯定感に着目して検証した。

方  法
 対象は人間関係論を受講している看護専門学校の1年生,37人。学生をランダムなペアに分け,全体でのワーク,グループワーク,ピア・コーチングをおこなった。
 コーチングに対する自己効力感の指標として,コーチングコンピテンシー自己効力感尺度改良版;CCSES-R(西垣ら,2015)を授業初回および最終回に実施した。CCSES-Rは「相手に話し合いの目的やテーマを分かりやすく説明する」「効果的な質問を使って会話を進める」など24項目からなり,6段階で自己評価する。一方,自己理解度,自己肯定感,コミュニケーション能力については10段階のスケールで自己評価させた。自己理解度は5回,自己肯定感は4回,コミュニケーション能力は3回,授業の進展に合わせて実施した。

結  果
 授業前後のCCSES-Rの各項目の平均値をFigure 1に示した。すべての項目において,授業後の方が高い値となっており,t検定の結果(Table 1),ほぼすべての項目において授業前より授業後の方が有意に高い値となった。
 自己理解度,自己肯定感,コミュニケーション能力の平均値については,自己理解度と自己肯定感に途中の変動はあるものの,全て授業前よりも授業後の方が高い値となった。

考  察
 ピア・コーチングを経験することにより,学生のコーチングに対する自己効力感,自己肯定感,自己理解度,コミュニケーション能力の自己評価が上昇することが明らかとなった。