[PD67] 児童会活動による学校全体のPBIS(Positive Behavioral Interventions and Supports)の取り組み
ビジュアル版行動指導計画シートの開発と活用
Keywords:PBIS, 特別活動, 生徒指導
問題と目的
PBIS(Positive Behavioral Interventions and Supports)は,アメリカにおいて数多くの実践研究が行われ支援効果が実証されているが,日本ではまだ導入や展開といった動向は少なく,学校全体で取り組むPBISの実践例は僅かである。そこで本研究では,学校全体でPBISの取り組みを展開していくために用いる,ビジュアル版行動指導計画シート(以下,シート)を開発し,それを用いて児童会活動を通してPBISに取り組んだ。本発表ではそのシートを活用した実践とその効果を示し,PBISの学校における展開の在り方について検討することとする。
方 法
1.対象者:関西の都市部近郊の公立小学校(児童数406名)を対象として実施した。
2.実施期間: X年10月からX+1年2月にかけて取り組みを実施した。
3.手続き:シートを活用した取り組みの開始に向けて,筆者と対象校の管理職と協議を行った。その結果,児童会活動の一環として行っているあいさつ運動で取り組むこととし,あいさつをしている児童に,「あいさつチケット」を配布することを計画した。
結 果
結果は3日間のチケットの合計発行枚数÷3日から実施日それぞれの登校児童数の合計人数で割ることによりあいさつの割合を算出した結果をFigure1に示す。その結果,10月は46%であった。そこで11月と12月は各学級にチケット掲示ポスターを設置し,チケットを受け取った児童は,各教室に掲示しているポスターに貼る,という手順を追加することとした。その結果,11月は55%,12月52%と10月と比較して向上した。1月は学級でチケットの目標枚数(学級在籍数の80%の枚数)を決めて,その目標を掲示すること,取り組みを周知するために校内放送で児童会があいさつ運動の連絡をすること,伸び率1位の学級の表彰しに行くこと,全校集会で校長先生が全体の数値の変化を発表することを実施した。その結果,1月は65%まで向上した。2月はチケットを貼るポスターを掲示すること,学級でチケットの目標枚数(学級在籍数の80%の枚数)を決めて,その目標を掲示すること,が実施ができなかったため,53%という結果となった。1月実施のために作成したシートをFigure2に示す。
考 察
結果より,シートを用いて取り組みの内容をアップデートしていくことで,あいさつをした人数の割合が増加していることがわかった。毎月の取り組み後に,課題やその解決方法をシートを用いて考えることは,取り組みを更新していくために有効であると考えられた。今回このような教員一人からでもできる特別活動を通した学校全体の児童生徒を対象にしたPBISに取り組むことで,迅速に学校全体でPBISを展開でき,その他の教員のPBISへの理解も促すことができると考えられる。特別活動を通して取り組むことは,学校におけるPBISの継続可能性を高めることにもつながるだろう。
PBIS(Positive Behavioral Interventions and Supports)は,アメリカにおいて数多くの実践研究が行われ支援効果が実証されているが,日本ではまだ導入や展開といった動向は少なく,学校全体で取り組むPBISの実践例は僅かである。そこで本研究では,学校全体でPBISの取り組みを展開していくために用いる,ビジュアル版行動指導計画シート(以下,シート)を開発し,それを用いて児童会活動を通してPBISに取り組んだ。本発表ではそのシートを活用した実践とその効果を示し,PBISの学校における展開の在り方について検討することとする。
方 法
1.対象者:関西の都市部近郊の公立小学校(児童数406名)を対象として実施した。
2.実施期間: X年10月からX+1年2月にかけて取り組みを実施した。
3.手続き:シートを活用した取り組みの開始に向けて,筆者と対象校の管理職と協議を行った。その結果,児童会活動の一環として行っているあいさつ運動で取り組むこととし,あいさつをしている児童に,「あいさつチケット」を配布することを計画した。
結 果
結果は3日間のチケットの合計発行枚数÷3日から実施日それぞれの登校児童数の合計人数で割ることによりあいさつの割合を算出した結果をFigure1に示す。その結果,10月は46%であった。そこで11月と12月は各学級にチケット掲示ポスターを設置し,チケットを受け取った児童は,各教室に掲示しているポスターに貼る,という手順を追加することとした。その結果,11月は55%,12月52%と10月と比較して向上した。1月は学級でチケットの目標枚数(学級在籍数の80%の枚数)を決めて,その目標を掲示すること,取り組みを周知するために校内放送で児童会があいさつ運動の連絡をすること,伸び率1位の学級の表彰しに行くこと,全校集会で校長先生が全体の数値の変化を発表することを実施した。その結果,1月は65%まで向上した。2月はチケットを貼るポスターを掲示すること,学級でチケットの目標枚数(学級在籍数の80%の枚数)を決めて,その目標を掲示すること,が実施ができなかったため,53%という結果となった。1月実施のために作成したシートをFigure2に示す。
考 察
結果より,シートを用いて取り組みの内容をアップデートしていくことで,あいさつをした人数の割合が増加していることがわかった。毎月の取り組み後に,課題やその解決方法をシートを用いて考えることは,取り組みを更新していくために有効であると考えられた。今回このような教員一人からでもできる特別活動を通した学校全体の児童生徒を対象にしたPBISに取り組むことで,迅速に学校全体でPBISを展開でき,その他の教員のPBISへの理解も促すことができると考えられる。特別活動を通して取り組むことは,学校におけるPBISの継続可能性を高めることにもつながるだろう。