The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Presentation information

ポスター発表

[PE] ポスター発表 PE(01-71)

Sun. Sep 16, 2018 1:30 PM - 3:30 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号13:30~14:30 偶数番号14:30~15:30

[PE08] 片脚立位時の重心動揺は空間的視点取得能力を予測する

渡部雅之 (滋賀大学)

Keywords:空間的視点取得, 重心動揺, 生涯発達

 空間的視点取得の処理過程には,仮想的な自己の移動操作とそれ以外の認知的情報処理が含まれる。前者は,自らの身体表象を空間内の任意の位置に心的に移動する操作を意味し,期待される感覚が伴い,それを処理する脳の運動関連領域が活性化する。これより,空間的視点取得能力を運動能力から予測できると予想した。大学生(渡部,2016)と高齢者(渡部,2017)において平衡性との関連を見出したため,今回は幼児も加えた幅広い年齢層を対象として,平衡性と空間的視点取得能力との関連について再検討することを目的とした。

方  法
協力者 幼児,大学生,高齢者各30名ずつに自発的な協力を要請した。全員運動能力や視力に問題となる障害はない。口頭にてインフォームドコンセントを得た。実験の中途離脱を希望した者はいなかった。実施に先立ち,滋賀大学研究倫理審査委員会の承認を受けた(承認番号2015-3号)
課題 空間的視点取得課題「くるくるかくれんぼ」を感覚運動刺激強度の異なる2条件下(拘束条件/不安定条件)で実施した。また,平衡性検査として,重心動揺計(竹井機器工業株式会社)上で5,10,15秒間のいずれか可能な長さの開眼片脚立位と30秒間の閉眼両脚立位姿勢をとらせた。
空間的視点取得課題:被験者が鬼となり隠れた子どもを探し出す隠れん坊形式のテレビゲーム。画面上の家に2つの窓があり,いずれかから子どもが顔をのぞかせ,直後に窓枠に隠れた。隠れているのは左右いずれであるかを当てるよう求めた。家は左右45度刻みの7種の位置に回転して現れた。各位置につき1問をランダムな順で実施した。手の動きをゲーム機本体のカメラが感じ取り,テレビ画面上に仮想掌を映し出した。窓にこの仮想掌を重ねることで解答することができた。
平衡性検査:開眼片脚立位では,重心軌跡測定器の中央に軸足を置き,実験者の合図で他方の足を上げるように指示した。閉眼両脚立位は,両脚間を5cm離し,両手を体側に自然に垂らして直立するように求めた。開眼片脚立位と閉眼両脚立位の実施順序はカウンターバランスを取った。総軌跡長,単位時間軌跡長,外周面積,矩形面積を計測した。測定サンプリングは10msであった。
指標 空間的視点取得課題では反応時間と回転角度との間に一次関数関係が成立することから,回帰直線y = ax + b(xは回転角度,yは反応時間)を計算し,傾きaを180倍して180°位置までの身体表象操作に要した反応時間(以後MSRT)とした。平衡性検査では参加者によって開眼片脚立位の保持時間が異なるため,単位時間軌跡長以外の3つの指標は,10秒間もしくは15秒間の数値を除して5秒あたりの値に換算処理した。

結  果
 2条件のMSRTと平衡性検査の4つの指標との間で,ピアソンの単相関係数を算出した(Table 1)。
 総軌跡長と外周面積を説明変数とし,MSRTを基準変数とする重回帰分析を行った。不安定条件×片脚条件の場合に自由度調整済み決定係数が.337と最も大きく,この時の標準偏回帰係数は総軌跡長が-.388,外周面積が.555(全てp<.01)だった。

考  察
 片脚立位時の総軌跡長と外周面積から空間的視点取得能力をある程度予測できた。小さな面積内を素早く重心が移動する者ほど空間的視点取得能力が高い。これは,運動関連領域による身体表象の操作機能が優れていることを意味するようだ。

引用文献
渡部雅之 (2016). 空間的視点取得能力に現れる身体性-仮想的身体移動と平衡性との関連から 日本教育心理学会第58回総会,172.
渡部雅之 (2017). 空間的視点取得の身体性にみられる加齢の影響 日本発達心理学会第28回大会,520.