The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表

[PE] ポスター発表 PE(01-71)

Sun. Sep 16, 2018 1:30 PM - 3:30 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号13:30~14:30 偶数番号14:30~15:30

[PE43] 幼稚園連絡帳における教諭メッセージのテキストマイニング

高向山1, 山際勇一郎2, 梅崎高行3, 若尾良徳#4 (1.常葉大学, 2.首都大学東京, 3.甲南女子大学, 4.日本体育大学)

Keywords:幼稚園連絡帳, 多変量解析, 内容分析

目  的
 幼児期の保育施設へ通園する際に使用されている連絡帳における家庭との連携や交流などの援助に関わる機能については,様々な手法によって研究されてきた。例えば,質問紙や聞き取りによる意識調査(広沢・清水・角藤,1996;伊藤,2016)から連絡帳における連絡や連携,支援などの機能に対する期待感および不安感や負担感,困難感などの意識や感情が明らかにされた。また,記述量・使用頻度による分析から幼稚園と保育所の比較検討で施設差や個人差などが明らかとなった(奥山,1994;丸目,2016)。そして,メッセージ分析(剣持・山内,2005)やナラティヴ分析(二宮,2010),KJ法(林,2015)によって記述内容を分類し,構造化することが試みられた(高ほか,2017)。
 本研究は教諭が連絡帳のなかで,保護者との信頼関係を構築・維持するために保育経験年数による特徴があるのかを定量分析から明らかにすることを目的とした。そのために,幼稚園へ通園する幼児の連絡帳に教諭が記述した内容を対象として,多変量解析による内容分析を行った。その際,保育経験歴を分析のファクターに取り入れた。

方  法
 静岡県にある大規模私立幼稚園にて2010-2012年度にかけて使用したAくんの連絡帳を分析対象とした。分析にはKHcoderを用いた。なお,年少担任(二人)は保育歴6年未満の若手教諭で,年中担任は保育歴20年以上のベテラン教諭で,年長担任は保育歴10年ほどの中堅教諭であった。

結果と考察
1.対象とした記述文の基礎データを表1に示した。
2.保育歴による違いを比較するために対応分析を行い,その散布図を図1に示した。四名の記述語が距離を持った相対的な位置づけが得られており,若手教諭が「戸外」での遊びや「元気」な姿に言及することが多く,中堅・ベテラン教諭はクラスでの対象児の「様子」や友人関係を示す記述が中心となることがわかった。これは保育歴による影響なのか,月齢によるものなのかは定かでない。
3. 四名の教諭が用いた語の出現パターンを調べるために,記述からその記述を特徴づける語の抽出を行い,特徴語同士の共起関係をネットワーク図に示した。保育歴の多少に関わらず,教諭たちで共通して「友達」,「練習」や「遊ぶ」といった語が同時に生起する特徴が読み取れた。それは幼稚園で大切にしている保育内容や理念への共通理解の現れといえるかもしれない。また,若手から中堅,ベテランへと経験年数を積み重ねることで,「元気」や頻度を表す「多い」といった語彙から
「楽しむ」と,外面的から内面的な部分に言及する特徴も読み取れた。このことは保育経験が記述内容に影響を及ぼしており,先行研究を支持するといえる(秋田ほか,1991;吉田,2015など)。

※本研究は科学研究費(挑戦的萌芽研究・課題番号16K13078)の助成を受けて行った。