The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Presentation information

ポスター発表

[PF] ポスター発表 PF(01-71)

Sun. Sep 16, 2018 4:00 PM - 6:00 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号16:00~17:00 偶数番号17:00~18:00

[PF20] 学士課程学生調査からみる女子学生の教育ニーズ

西垣順子 (大阪市立大学)

Keywords:キャリアデザイン, 将来展望, 学習行動

 大学教育を巡っては近年,教学IRへの注目と並んで学生調査が広く実施されている。だがジェンダー差の検討はほとんどない。男女共学の大学でも,男子学生と女子学生の教育ニーズは異なる可能性がある。本研究では,西日本の4年制大学を対象に学士課程学生調査の結果を,将来展望や今後の学修への期待を中心に分析する。

方  法
対象者:2016年に行われた2-4年生調査への回答者2,023名(回答率51%)のうち,学年・所属・性別を記載しなかった者を除いた2,001名。
調査票の配布・回収:2016年10-11月に授業やガイダンス,事務書類提出時に配布。その場で回答または,回収ボックスに後日提出。
調査票の構成:「属性」「学修状況」「満足度」「卒業までに経験したいこと」「将来展望」「卒業後の進路希望」の6パートからなり,A4で6ページ。
 本研究で分析対象とするのは,「進路希望(11項目で多肢選択)」「将来展望(4択:展望無・展望有で理解無・理解有で実行無・実行あり)」「卒業までに経験したいこと(13項目,4件法)」「現在の学習行動頻度(15項目,4件法)」である。

結果と考察
 性別・学年・所属による違いを分析したが,以下は性別に係る効果に絞って記述する。
1. 進路希望と将来展望(χ2検定と残差分析)
 進路希望に男女差はなかったが,理工系男性は3年生の段階で大学院以外の選択肢を除外している者が多い。将来展望の学年と所属による偏りが,男女で異なっていた(表1参照,以下,医療系と生活系は省略)。男性は,文系で「実行無」が多く,理工系では「実行」が少なく「実行無」「理解無」「展望無」が多かった。女性は,理工系で「実行」が少ない以外には分布の偏りがなかった。学年による違いは女性にのみあり,2年生では「実行」が少なく「展望無」が多いが,4年生では「実行」が多く「理解無」と「展望無」が少なかった。
2. 卒業までに経験したいこと
 14項目全体について,性別×学年×所属の分散分析を行った。性別,学年,所属の主効果と学年×所属の交互作用が有意。女性による評定が男性よりも高かったのは,知識習得や資格取得など学修成果に係るものと,卒業生や社会人など学外の年長者と話す機会であった。大学での学修経験(プロジェクト型授業,ディベートなど)への評定に性差はなかった。教員中心に大学が提供する教育プログラムとは質の異なるニーズがある様子がうかがえる。
3. 現在の学習行動
 文系と理工系の学生を対象に性別×学年×所属の分散分析を行った。性別,学年,所属の主効果と,性別×所属及び学年×所属の交互作用が有意。
 所属により性差の出方が異なったのは,図書館利用とTA等支援者からの支援。文系でのみ,女性は男性よりも図書館の利用頻度が高かった。また,理系の女性はTA等から支援を受けることが多かった。所属に関係なく,女性は男性よりもWEB上の情報を頻繁に利用し,他の学生と一緒に勉強をしていた。課題の期限遅れや授業への欠席・遅刻が少なく,授業をつまらなく感じたり,教員に意見を言うことは少なかった。他方で,教員に相談するなどの教員との交流には性差がなかった。全体として,女性は男性よりも教員以外の学修資源を活用している様子である。