The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Presentation information

ポスター発表

[PF] ポスター発表 PF(01-71)

Sun. Sep 16, 2018 4:00 PM - 6:00 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号16:00~17:00 偶数番号17:00~18:00

[PF27] 親による子どもの動機づけの認知と子どもの動機づけとの関連について

APIMによる縦断的検討

福住紀明1, 村山航2, 石井僚3, 石川信一4, 大谷和大5, 榊美知子6, 鈴木高志7, 田中あゆみ8 (1.高知大学, 2.University of Reading, 3.奈良教育大学, 4.同志社大学, 5.北海道大学大学院, 6.University of Reading, 7.高知工科大学, 8.同志社大学)

Keywords:自己決定理論, 動機づけ, 親子関係

問題と目的
 本研究では,Actor-Partner Interdependence Model(APIM: Cook & Kenny, 2005)を縦断調査に用いることで,Time 1とTime 2のActor効果を統制し,親による子どもの動機づけ認知と子どもの動機づけのPartner効果を検証することで,双方向的な効果を明らかにすることを目的とする。

方  法
対象者と手続き
 調査会社に登録されている親子を対象に調査を行い,2回の調査に参加した親147名(父34名,母113名)とその子ども147名(男子64名,女子83名; Mage=14.99歳,SD=0.85)を対象とした。郵送法による質問紙調査を調査会社に委託して行った。
調査内容
 動機づけ Hayamizu(1997)のStepping Motivation Scale(SMS)の28項目を用いた。SMS は,自己決定理論(Deci & Ryan, 2000)に基づき,勉強の理由の内在化の程度によって,内発,同一化,取り入れ,外的の4つの動機づけの下位尺度(各7項目)で構成される。バックトランスレーション法を用いて,項目の内容的妥当性を確認した。回答方法は5件法で親と子どもに尋ねた。親には子どもの動機づけの認知について尋ねた。
 デモグラフィック変数 回答者の性別について尋ねた。

結  果
 性別を統制した上で,APIMによる分析を行った。Time 1の親による子どもの動機づけ認知と子どもの動機づけのActor効果を統制した上で,Time 2の親による子どもの動機づけ認知と子どもの動機づけに対するPartner効果について検討を行った(Table 1)。その結果,内発,取り入れにおいては,親による子どもの動機づけ認知と子どもの動機づけの相互に有意な正の影響が示され,Partner効果が示された。一方,同一化,外的においては,子どもの動機づけから親による子どもの動機づけ認知に有意な正の影響を与えることが示されたが,親の認知については,子どもの動機づけに対する有意な正の影響が確認されず,子どもの動機づけのみにPartner効果が示された。

考  察
 APIMの結果,親による子どもの動機づけ認知が子どもに及ぼす影響は,動機づけのタイプによって異なることが示された。内発や取り入れは感情で動機づけられることから,期待効果として子どもの動機づけに影響を及ぼしたと考えられる。一方,同一化や外的においては,親による子どもの動機づけ認知が不正確であることから,親が子どもの動機づけを高める方略が不適切である可能性が示唆された。

付  記
本研究はJSPS科研費 JP16H06406の助成を受けた。