The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Presentation information

ポスター発表

[PF] ポスター発表 PF(01-71)

Sun. Sep 16, 2018 4:00 PM - 6:00 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号16:00~17:00 偶数番号17:00~18:00

[PF57] 学級風土が中学生の学校生活における罪悪感に及ぼす影響

今岡多恵1, 庄司一子2 (1.常葉大学, 2.筑波大学)

Keywords:罪悪感, 学級風土, 中学生

問題と目的
 今岡・庄司(2018, 日本発達心理学第29回大会)による大学生を対象としたにおいて,中学生の頃に学校生活において罪悪感を抱くようになったきっかけおよび罪悪感を抱かなくなったきっかけとして「雰囲気」「友達」「教師」が挙げられることが明らかとなった。
 そこで本研究では,きっかけの1つである「雰囲気」が中学生の学校生活において抱かれた罪悪感とその罪悪感機能にどのような影響を及ぼすかについて検討することを目的とする。

方  法
調査対象および調査時期
 首都圏の公立中学校1~3年生832名を対象に2010年6月から7月に実施した。
調査内容
①雰囲気に関する尺度:「雰囲気」を測定するため伊藤・松井(2001)が作成した「学級風土質問紙」のうち,「生徒間の親しさ」,「学級内の不和」,「学級への満足感」,「自然な自己開示」,「規律の正しさ」,「学級内の公平さ」について5件法で回答を求めた。
②学校生活において経験された罪悪感の程度:中学生の学校生活における罪悪感経験に対する罪悪感の程度を検討するため,学校生活を送る上で罪悪感を抱いた出来事を1つ想起してもらい,その経験に対して「どれくらい悪いことをしたと感じたか」について4件法で回答を求めた。
③罪悪感機能尺度:②で想起された罪悪感に関する経験について,「その出来事を体験した後(罪悪感を感じた出来事を体験した後),次のことがどれくらい当てはまりますか」という教示を行い,「自己改善」,「自省」,「ネガティブ感情喚起」,「他者配慮」について4件法で回答を求めた(今岡・庄司, 2017)。

結果と考察
 共分散構造分析の結果,モデルの適合度の値は,χ²(20)=19.358 n.s., GFI=.98, AGFI=.98, CFI=1.00, RMSEA=.00であった(Figure 1)。パス係数をみると,学級風土の「学級への満足感」および「規律の正しさ」から中学生の学校生活における罪悪感の程度への有意な正のパスが認められた。また,「生徒間の親しさ」から罪悪感機能の「自己改善」「他者配慮」に,「学級内の不和」から罪悪感機能の「ネガティブ感情喚起」に、「自然な自己開示」から罪悪感機能の「自己改善」「他者配慮」に,「規律の正しさ」から罪悪感機能の「自己改善」「他者配慮」に直接有意な正のパスが示された。さらに「学級への満足感」から罪悪感機能の「ネガティブ感情喚起」へ直接有意な負のパスが示された。学級風土の「学級への満足」「規律の正しさ」から影響を受けた中学生の学校生活における罪悪感の程度は,罪悪感機能のすべての下位尺度に有意な正のパスが示された。
 以上の結果から,学級風土は,中学生の学校生活における罪悪感やその罪悪感機能に影響を及ぼしていることが明らかとなり,罪悪感を抱くうえで重要な要因であることが示唆された。