[PF66] 受講者数規模がアクティブラーニング導入による学習意欲向上に与える影響
Keywords:アクティブラーニング, 学校適応感, グループサイズ
問題と目的
アクティブラーニングとは「能動的な学び」を指し,生徒が主体的に課題を見つけ解決策を探求する中で知識やスキルを獲得する学習法である(矢口,2016)。文部科学省(2015)は小中高でのアクティブラーニングの導入に積極的な姿勢を示しており,導入の取り組みも報告され始めている。今後,大学教育においてもアクティブラーニングの必要性がより高まるだろう。
しかしながら,アクティブラーニングという学習法や授業法は導入されてから日が浅いため,確固たる授業形態として定着しているとは言い難い。これまでも課題が数多く報告されており,アクティブラーニング導入による学習効果をより高めるためには様々な要因の影響を検証する必要がある(矢口,2016)。大学教育への導入という事態を想定する場合,大学特有の要因として受講者数の影響が挙げられる。基本的にクラス単位で学習を進める小中高と異なり,大学は講義間での受講者数の大小差が大きい。
そこで本研究では,受講者数という要因がアクティブラーニング導入による学習効果に与える影響を検証する。本取組によって,アクティブラーニングにおける受講者数の影響が明らかになることで,大学教育における授業計画の立案に寄与することが期待できる。
方 法
①調査協力者:A大学大学生(小グループ7名;大グループ49名)計56名。
②調査期間:平成29年9月~平成30年1月。
③介入方法:15回の講義を設け,1回目はガイダンスを行い,2回目以降,4回のペアワーク(2~5回目)と6回のグループワーク(6~11回目)を行う。その後,12・13・14回目に講義を行い,15回目にまとめを行う。
④調査方法:1回目と15回目の講義で調査協力者に対して調査目的及び概要が説明され,同意を得た後にプレテスト(1回目)とポストテスト(15回目)を実施する。学生の主体的な学習意欲や大学生活への意欲を測定するために「学校適応感尺度(大学生版)」(山口・松嵜,2018)を用いた質問紙調査を実施し,分析する。
⑤調査内容:学校適応感尺度(大学生版)(山口・松嵜,2018):学校適応感を測定するために用いる。「健康」「社会」「進路」「学習」「先生との関係」を問う尺度。計20項目。1:まったくあてはまらない~4:とてもあてはまる,4件法で回答を求める。
結 果
大グループと小グループ内の度数の差を検討するために,各グループの「学校適応感尺度(大学生版)」の下位尺度得点を算出した。さらに,下位尺度ごとに平均値を算出し,高群と低群に分類した。その後,高群・低群と時期(プレテスト・ポストテスト)においてχ²検定を行った。その結果,大グループの「学習」においてのみ,有意傾向が見られた(Table1,2)。
考 察
「学校適応感尺度(大学生版)」の「学習」において,大グループでのみ有意傾向が見られた。これは,人数が多いグループで話し合ったり,考えを深めたりすることで,「学習」における授業内容が解りやすくなったり,勉強の意欲がわきやすくなったりすることが考えられる。
以上のことから,アクティブラーニングは,ある程度のサイズの集団で効果が見られると考えられる。
主要引用文献
山口豊一・松嵜くみ子 (2018). 大学生における学校適応感尺度の作成. 跡見学園女子大学文学部紀要,53,287-295 .
アクティブラーニングとは「能動的な学び」を指し,生徒が主体的に課題を見つけ解決策を探求する中で知識やスキルを獲得する学習法である(矢口,2016)。文部科学省(2015)は小中高でのアクティブラーニングの導入に積極的な姿勢を示しており,導入の取り組みも報告され始めている。今後,大学教育においてもアクティブラーニングの必要性がより高まるだろう。
しかしながら,アクティブラーニングという学習法や授業法は導入されてから日が浅いため,確固たる授業形態として定着しているとは言い難い。これまでも課題が数多く報告されており,アクティブラーニング導入による学習効果をより高めるためには様々な要因の影響を検証する必要がある(矢口,2016)。大学教育への導入という事態を想定する場合,大学特有の要因として受講者数の影響が挙げられる。基本的にクラス単位で学習を進める小中高と異なり,大学は講義間での受講者数の大小差が大きい。
そこで本研究では,受講者数という要因がアクティブラーニング導入による学習効果に与える影響を検証する。本取組によって,アクティブラーニングにおける受講者数の影響が明らかになることで,大学教育における授業計画の立案に寄与することが期待できる。
方 法
①調査協力者:A大学大学生(小グループ7名;大グループ49名)計56名。
②調査期間:平成29年9月~平成30年1月。
③介入方法:15回の講義を設け,1回目はガイダンスを行い,2回目以降,4回のペアワーク(2~5回目)と6回のグループワーク(6~11回目)を行う。その後,12・13・14回目に講義を行い,15回目にまとめを行う。
④調査方法:1回目と15回目の講義で調査協力者に対して調査目的及び概要が説明され,同意を得た後にプレテスト(1回目)とポストテスト(15回目)を実施する。学生の主体的な学習意欲や大学生活への意欲を測定するために「学校適応感尺度(大学生版)」(山口・松嵜,2018)を用いた質問紙調査を実施し,分析する。
⑤調査内容:学校適応感尺度(大学生版)(山口・松嵜,2018):学校適応感を測定するために用いる。「健康」「社会」「進路」「学習」「先生との関係」を問う尺度。計20項目。1:まったくあてはまらない~4:とてもあてはまる,4件法で回答を求める。
結 果
大グループと小グループ内の度数の差を検討するために,各グループの「学校適応感尺度(大学生版)」の下位尺度得点を算出した。さらに,下位尺度ごとに平均値を算出し,高群と低群に分類した。その後,高群・低群と時期(プレテスト・ポストテスト)においてχ²検定を行った。その結果,大グループの「学習」においてのみ,有意傾向が見られた(Table1,2)。
考 察
「学校適応感尺度(大学生版)」の「学習」において,大グループでのみ有意傾向が見られた。これは,人数が多いグループで話し合ったり,考えを深めたりすることで,「学習」における授業内容が解りやすくなったり,勉強の意欲がわきやすくなったりすることが考えられる。
以上のことから,アクティブラーニングは,ある程度のサイズの集団で効果が見られると考えられる。
主要引用文献
山口豊一・松嵜くみ子 (2018). 大学生における学校適応感尺度の作成. 跡見学園女子大学文学部紀要,53,287-295 .