[PG60] 養護教諭の柔軟な役割志向尺度作成の試み
Keywords:養護教諭, 柔軟な役割志向, 尺度構成
問 題
子供の健康課題への対応や健康増進に向けて,養護教諭には,学校がチームとして学校内外での支援を機能させるためのコーディネーション行動が求められている。行動は人と環境が相互に影響を与え合うことにより変化がもたらされ(Bandura,1977),「柔軟な役割志向」は積極的行動の一要因となる(Parker et al,2006)。
本研究は,現職養護教諭を対象に,研究1では養護教諭の柔軟な役割志向の調査項目を作成するための基礎資料収集とそれに基づく項目作成を,研究2では柔軟な役割志向尺度の調査と因子分析及び信頼性,妥当性の検討を行った。
方 法
研究1
(1)対 象 現職養護教諭4名(40歳代1名・50歳代3名)
(2)時 期 2017年8月
(3)方 法 1)電話インタビューによる「養護教諭としての役割を柔軟にとらえて実際に行ったこと」の具体的な状況とそのときの対応・行動について半構造的面接の実施,2)テキストマイニング(KH Coder2)による「養護教諭が担っている柔軟な役割」の抽出と共起関係の視覚化,3)KJ法的手法によるグループ編成と図解化,4)各グループの構成要素に基づいた調査項目の作成。
研究2
(1)対 象 3県の小・中学校養護教諭250名
(2)時 期 2018年1月~2月
(3)方 法 郵送法による質問紙調査の実施。
(4)内 容 研究1の結果をもとに作成した養護教諭の柔軟な役割志向22項目,併存的妥当性検討は簡易版OCB(組織市民行動:学校組織における教師用)21項目(鎌田,2016)を使用。5件法で実施。
結果と考察
研究1 KH Coderによる共起ネットワーク分析の結果,4グループ29ツリーの共起関係が得られた。グループごとに表札を付け図解化した結果,子どもを支援の中心に置き,専門性を生かした担任へのつなぎや,子どもも教職員も支え合える職場風土づくりを養護教諭ならではの役割ととらえ,学校教育の中で専門性を生かしている図を作成した。それをもとに「養護教諭は~することが大切である」という文脈からなる計22の調査項目を作成した。
研究2 回答者の概要を以下に示す。
・回答者数:186名(回収率74.4%)
・年代:20歳代17.7%,30歳代15.1%,40歳代22,2%,50歳代44.6%
・養護教諭のキャリア:22.4(±13.1)年
・現勤務校:小学校64.5%,中学校35.5%
・現任校勤務年数:1年29.0%,2年~5年59.6%
・児童生徒数:400名未満86.9%,400名以上13.1%
因子分析(プロマックス回転)の結果,「連携が必要な問題への気づき」「問題の見きわめ」「協働意識を高める体制づくり」「支援行動への視点」の4因子による構成が確認された(Table1)。柔軟な役割志向尺度の信頼性(α=.854~.666),妥当性(γ=.563~.396)ともに認められた(Table2,Table3)。
以上のように,柔軟な役割志向尺度の信頼性及び妥当性が確認された。今後,養護教諭のコーディネーション行動に関する詳細な検討の可能性が示唆された。
回答者には,回答の途中でも中止できることを説明した上で実施した。また,本調査は,広島文化学園大学研究倫理委員会にて承認後に実施した。
子供の健康課題への対応や健康増進に向けて,養護教諭には,学校がチームとして学校内外での支援を機能させるためのコーディネーション行動が求められている。行動は人と環境が相互に影響を与え合うことにより変化がもたらされ(Bandura,1977),「柔軟な役割志向」は積極的行動の一要因となる(Parker et al,2006)。
本研究は,現職養護教諭を対象に,研究1では養護教諭の柔軟な役割志向の調査項目を作成するための基礎資料収集とそれに基づく項目作成を,研究2では柔軟な役割志向尺度の調査と因子分析及び信頼性,妥当性の検討を行った。
方 法
研究1
(1)対 象 現職養護教諭4名(40歳代1名・50歳代3名)
(2)時 期 2017年8月
(3)方 法 1)電話インタビューによる「養護教諭としての役割を柔軟にとらえて実際に行ったこと」の具体的な状況とそのときの対応・行動について半構造的面接の実施,2)テキストマイニング(KH Coder2)による「養護教諭が担っている柔軟な役割」の抽出と共起関係の視覚化,3)KJ法的手法によるグループ編成と図解化,4)各グループの構成要素に基づいた調査項目の作成。
研究2
(1)対 象 3県の小・中学校養護教諭250名
(2)時 期 2018年1月~2月
(3)方 法 郵送法による質問紙調査の実施。
(4)内 容 研究1の結果をもとに作成した養護教諭の柔軟な役割志向22項目,併存的妥当性検討は簡易版OCB(組織市民行動:学校組織における教師用)21項目(鎌田,2016)を使用。5件法で実施。
結果と考察
研究1 KH Coderによる共起ネットワーク分析の結果,4グループ29ツリーの共起関係が得られた。グループごとに表札を付け図解化した結果,子どもを支援の中心に置き,専門性を生かした担任へのつなぎや,子どもも教職員も支え合える職場風土づくりを養護教諭ならではの役割ととらえ,学校教育の中で専門性を生かしている図を作成した。それをもとに「養護教諭は~することが大切である」という文脈からなる計22の調査項目を作成した。
研究2 回答者の概要を以下に示す。
・回答者数:186名(回収率74.4%)
・年代:20歳代17.7%,30歳代15.1%,40歳代22,2%,50歳代44.6%
・養護教諭のキャリア:22.4(±13.1)年
・現勤務校:小学校64.5%,中学校35.5%
・現任校勤務年数:1年29.0%,2年~5年59.6%
・児童生徒数:400名未満86.9%,400名以上13.1%
因子分析(プロマックス回転)の結果,「連携が必要な問題への気づき」「問題の見きわめ」「協働意識を高める体制づくり」「支援行動への視点」の4因子による構成が確認された(Table1)。柔軟な役割志向尺度の信頼性(α=.854~.666),妥当性(γ=.563~.396)ともに認められた(Table2,Table3)。
以上のように,柔軟な役割志向尺度の信頼性及び妥当性が確認された。今後,養護教諭のコーディネーション行動に関する詳細な検討の可能性が示唆された。
回答者には,回答の途中でも中止できることを説明した上で実施した。また,本調査は,広島文化学園大学研究倫理委員会にて承認後に実施した。