The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表

[PH] ポスター発表 PH(01-73)

Mon. Sep 17, 2018 1:00 PM - 3:00 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号13:00~14:00 偶数番号14:00~15:00

[PH13] 学生参加型授業は常に効果的か

事前テスト成績の高低との関係

皆川順1, 伴浩美2 (1.浦和大学, 2.長岡技術科学大学大学院)

Keywords:学生参加型授業, 事前テスト成績

要  約
 プレゼンテーションが作成・発表者の当該内容に関する記憶をより強固にするか否かについて,「心理学」の講義の一環として実験を兼ねて行われた。単元の指導後の内容に即したものである。

研究の目的と方法
目的:学習者参加型授業が効果的か否か,特にパワーポイントなどを用いた発表に関して,講義における事例を検討する。内容は「心理学」講義の例である。
方法:班構成と単元選択
 基本的に3名~5名の班編成。学生に自主的に編成させた。 単元選択は既習範囲とした。
実験参加者 筆者の「心理学」受講者33名,男子12名,女子22名。全員,X大学Z学部第2学年学生。実験月 2017年9月 手順 ①事前テスト 本実験1週間前,全員にそれまで学んだ心理学の内容に関する事前テストを行った。事前には不告知であったが,学生に最初の講義において「復習は当日及び一週間後に行っておくこと」などを中心とした学習法の説明に90分を費やした。各班の発表内容はこの問題範囲の一部である。
問題作成方法 問題は当初に30問作成し,その中から筆者が適切と考えた20問を選び,10問ずつランダムに事前・事後テストに配分した。
テストの例:いずれも既学習内容であった。
1.心理学は今日ではしばしば(行動)の科学と言われている。2.オペラント条件づけを開発したのは(スキナー)である。②各班ごとに発表単元・項目を選び,内容をまとめる。班別検討時間60分。発表までには1週間以上の猶予を与えた。班は全8班。一つの班の発表時間は20分とした。2つの講義時間を発表に与えた。③全班発表終了1週間後,事後テスト。テスト前には不告知。

結  果
各群の結果については,事前テストの得点を基に得点高群(≧10)と低群(<10)とに再び分け,それぞれの群ごとに結果を検討した。なお結果は明確なので,あえて統計的検定は行わなかった。
発表内容はテストの一部分であったが,ほとんどの群でテスト成績が伸びたが,事前テスト成績の高低で,結果には著しい差が生じた。

考  察
 事前テスト成績によって効果が異なっていた。これは基礎知識が不十分な場合,Ausubelの考えを踏襲すれば,既習の単元であっても,理解および記憶が不十分なためにこのような結果が得られたのだと考えられる。

参考文献
Ausubel,D.P. 1968 Educational Psychology: A Cognitive View. New York: Holt,Rinehart &Wilson.
上野 清文 2015  学生参加型授業への挑戦 : 「教育原理」での試みと課題 青山学院大学教職研究 (1), 65-81.
年森敦子・吉田啓子・武井安彦 2013 映像フィードバックシステムを活用した学生参加型授業の実践および教育効果の検証 鎌倉女子大学学術研究所報 13, 29-33 鎌倉女子大学.

付  記
本研究は,「プレゼンテーションは学習者の内容記憶に効果的か 2017日本教材学会発表論文」を踏襲して,新たに別のクラスで行ったものである。