[PH22] 教室の学びを支える児童のきく力の規定要因
Keywords:きく力, 小学生, 規定要因
問題と目的
児童が主体的・対話的に学ぶ上で,大切な力の一つにきく力があげられる。宮内・向後(2017)は教室の学びを支える児童のきく力を,理解力だけではなく思考力を含めた力としてとらえ,「話をきいて,キーワードや要点をとらえ,話の共通点や相違点,構成を理解し,話の予測や要約をしたり,新たな考えをもったりする力」とし,これを操作的定義とした。
本研究では,児童のきく力の規定要因を検討することを目的とし,きく力に関わると考えられる認知的課題テストを実施した。
方 法
1.本調査協力者と調査時期
首都圏公立小学校1校の3年生児童125名。2017年12月より2018年2月にかけて実施した。
2.課題・調査内容
質問紙:宮内・向後(2017)の開発した「きく力尺度」10項目(5点満点)を実施した。
漢字読字テスト:教研式「Reading-Test 読書力診断検査」の3・4年用読字力テストを参考とし,作成した。全20問四択式とし,正答数を得点とした。
漢字書字テスト:漢字書字力を測るため漢字50問テスト(教育同人社)を実施した(100点満点)。
リスニングスパンテスト:児童版集団式リスニングスパンテストを用いた。このテストは1文ずつ呈示される刺激文を聞いて,文の先頭単語を記銘し,再生するものである。その際,記銘の妨害として,1文が呈示される毎に,文中に食べ物があったか,もしくは動物があったかという質問を示され,その正誤判断をしていく。記銘した語句を再生するタイミングは2文呈示後,3文呈示後,4文呈示後の計3回で,合計9つの刺激文が呈示される。1文を約5秒間で発話した(9点満点)。
語彙意味テスト:教研式「Reading-Test 読書力診断検査」の3・4年用語彙力テストを参考とし,作成した。全20問四択式とし,正答数を得点とした。 語彙想起テスト:ひらがな1文字を手がかりとして呈示し,その手がかり文字を語頭音とする単語をできるだけ多く思い出させて,筆記回答させた。語頭音には,「か」「り」を用い,計2回実施した。1回あたりの制限時間を1分間とした。
語彙カテゴリーテスト:あるカテゴリーに属する単語をできるだけ多く思い出させ,筆記回答させた。「動物」「植物」を選び,計2回実施した。1回あたりの制限時間を1分間とした。
話す・聞くテスト:児童のきく力を測るテストとして2種類のテストを使用した。一つ目は,「話す・聞く」(教育同人社)テストをそのまま使用し,回答させた。表面裏面合わせて100点満点とした。二つ目は「話す・聞く」(教育同人社)テスト(表面)を題材として,計10問を自作した。回答方式は四択式とした。1問10点の100点満点とし,合計点を得点とした(200点満点)。
結 果
各テストに対する結果をTable 1に示した。話す・聞くテストの得点は語彙意味テスト・リスニングスパンテスト・漢字書字テストと中程度以上の相関がみられた。
引用文献
宮内健・向後千春(2017).教室の学びを支える児童のきく力尺度の作成 日本教育心理学会第59 回総会発表論文集,304.
児童が主体的・対話的に学ぶ上で,大切な力の一つにきく力があげられる。宮内・向後(2017)は教室の学びを支える児童のきく力を,理解力だけではなく思考力を含めた力としてとらえ,「話をきいて,キーワードや要点をとらえ,話の共通点や相違点,構成を理解し,話の予測や要約をしたり,新たな考えをもったりする力」とし,これを操作的定義とした。
本研究では,児童のきく力の規定要因を検討することを目的とし,きく力に関わると考えられる認知的課題テストを実施した。
方 法
1.本調査協力者と調査時期
首都圏公立小学校1校の3年生児童125名。2017年12月より2018年2月にかけて実施した。
2.課題・調査内容
質問紙:宮内・向後(2017)の開発した「きく力尺度」10項目(5点満点)を実施した。
漢字読字テスト:教研式「Reading-Test 読書力診断検査」の3・4年用読字力テストを参考とし,作成した。全20問四択式とし,正答数を得点とした。
漢字書字テスト:漢字書字力を測るため漢字50問テスト(教育同人社)を実施した(100点満点)。
リスニングスパンテスト:児童版集団式リスニングスパンテストを用いた。このテストは1文ずつ呈示される刺激文を聞いて,文の先頭単語を記銘し,再生するものである。その際,記銘の妨害として,1文が呈示される毎に,文中に食べ物があったか,もしくは動物があったかという質問を示され,その正誤判断をしていく。記銘した語句を再生するタイミングは2文呈示後,3文呈示後,4文呈示後の計3回で,合計9つの刺激文が呈示される。1文を約5秒間で発話した(9点満点)。
語彙意味テスト:教研式「Reading-Test 読書力診断検査」の3・4年用語彙力テストを参考とし,作成した。全20問四択式とし,正答数を得点とした。 語彙想起テスト:ひらがな1文字を手がかりとして呈示し,その手がかり文字を語頭音とする単語をできるだけ多く思い出させて,筆記回答させた。語頭音には,「か」「り」を用い,計2回実施した。1回あたりの制限時間を1分間とした。
語彙カテゴリーテスト:あるカテゴリーに属する単語をできるだけ多く思い出させ,筆記回答させた。「動物」「植物」を選び,計2回実施した。1回あたりの制限時間を1分間とした。
話す・聞くテスト:児童のきく力を測るテストとして2種類のテストを使用した。一つ目は,「話す・聞く」(教育同人社)テストをそのまま使用し,回答させた。表面裏面合わせて100点満点とした。二つ目は「話す・聞く」(教育同人社)テスト(表面)を題材として,計10問を自作した。回答方式は四択式とした。1問10点の100点満点とし,合計点を得点とした(200点満点)。
結 果
各テストに対する結果をTable 1に示した。話す・聞くテストの得点は語彙意味テスト・リスニングスパンテスト・漢字書字テストと中程度以上の相関がみられた。
引用文献
宮内健・向後千春(2017).教室の学びを支える児童のきく力尺度の作成 日本教育心理学会第59 回総会発表論文集,304.