[PH47] 企業は新卒採用において何をどうやって見ているのか?
Keywords:キャリア教育, PROG, コンピテンシー
目 的
高等教育の効果測定には様々なものが考えられるが,コンピテンシー(行動特性)もその1つである。ただコンピテンシーの場合,測定方法の難しさと共に,どのようなコンピテンシーが望ましいのか,評価軸を設定することも難しい。評価軸を検討するにあたり,多くの学生が日本企業へ就職することを鑑み,日本企業がどのようなコンピテンシーが望ましいと考え,どのように測定している(しようとしている)のかを調査した。
<何を見ているのか?>
調査1 日経225企業が公表する「求める人材像」をPROG(株式会社リアセック)のコンピテンシーの下位9項目に分類した。「求める人材像」を公開しない企業や,事業部や職種ごとに異なる企業もあるため,調査した採用単位数は244となった。複数の人材像を示す企業や,複数のコンピテンシーが含まれる人材像もあるため,計377件の人材像に625件のコンピテンシーをあてはめた。表1に出現数と出現率を示す。出現率は,出現数を採用単位数で除したものである。
日経225企業の全数調査であるため,仮説検定は行わない。出現率を見ると,行動持続力,実践力,親和力,協働力の4項目が30%以上であり,自信創出力も30%近い。
調査2 採用活動での評価軸を調べるため,大学に求人票が来た1000社の人事担当者に調査協力を依頼し,182社から回答を得た。採用活動に関する言説で見られる10項目と,PROGリテラシー及びコンピテンシーの下位12項目について,重視する程度を4件法で回答させた。
以下,PROGコンピテンシーの下位9項目についてのみ記述する。過半数の企業が行動持続力,実践力,親和力,協働力を,49.5%の企業が自信創出力を,「とても重視している」と回答した。調査1と一致する結果である。新卒採用時の評価軸であるためか,周囲と協力して継続的に実践する特性を高く評価すると考えられる。
<どうやって見ているのか?>
調査2において,各企業が実施している採用工程と,各コンピテンシーを見ている採用工程を,3工程までの複数回答を認めて回答させた。表2に各工程の実施企業率,及び各工程において上記5コンピテンシーを判定している率を示す。
5コンピテンシー全てにおいて,個人面接と回答した企業が70%超,集団面接を選択した企業も50%超であった。親和力と協働力は,グループワークも過半数の企業が選択した。面接は,多数の受験者を複数の担当者が評価するため,評価軸や評価基準がゆらぐ可能性がある。そこで,標準化された評価シートがあるか尋ねたところ,67.6%の企業で何らかの評価シートが作成されていた。
今後,調査シートの内容や,面接で高評価,低評価となる事例について,テキスト分析を行う。
高等教育の効果測定には様々なものが考えられるが,コンピテンシー(行動特性)もその1つである。ただコンピテンシーの場合,測定方法の難しさと共に,どのようなコンピテンシーが望ましいのか,評価軸を設定することも難しい。評価軸を検討するにあたり,多くの学生が日本企業へ就職することを鑑み,日本企業がどのようなコンピテンシーが望ましいと考え,どのように測定している(しようとしている)のかを調査した。
<何を見ているのか?>
調査1 日経225企業が公表する「求める人材像」をPROG(株式会社リアセック)のコンピテンシーの下位9項目に分類した。「求める人材像」を公開しない企業や,事業部や職種ごとに異なる企業もあるため,調査した採用単位数は244となった。複数の人材像を示す企業や,複数のコンピテンシーが含まれる人材像もあるため,計377件の人材像に625件のコンピテンシーをあてはめた。表1に出現数と出現率を示す。出現率は,出現数を採用単位数で除したものである。
日経225企業の全数調査であるため,仮説検定は行わない。出現率を見ると,行動持続力,実践力,親和力,協働力の4項目が30%以上であり,自信創出力も30%近い。
調査2 採用活動での評価軸を調べるため,大学に求人票が来た1000社の人事担当者に調査協力を依頼し,182社から回答を得た。採用活動に関する言説で見られる10項目と,PROGリテラシー及びコンピテンシーの下位12項目について,重視する程度を4件法で回答させた。
以下,PROGコンピテンシーの下位9項目についてのみ記述する。過半数の企業が行動持続力,実践力,親和力,協働力を,49.5%の企業が自信創出力を,「とても重視している」と回答した。調査1と一致する結果である。新卒採用時の評価軸であるためか,周囲と協力して継続的に実践する特性を高く評価すると考えられる。
<どうやって見ているのか?>
調査2において,各企業が実施している採用工程と,各コンピテンシーを見ている採用工程を,3工程までの複数回答を認めて回答させた。表2に各工程の実施企業率,及び各工程において上記5コンピテンシーを判定している率を示す。
5コンピテンシー全てにおいて,個人面接と回答した企業が70%超,集団面接を選択した企業も50%超であった。親和力と協働力は,グループワークも過半数の企業が選択した。面接は,多数の受験者を複数の担当者が評価するため,評価軸や評価基準がゆらぐ可能性がある。そこで,標準化された評価シートがあるか尋ねたところ,67.6%の企業で何らかの評価シートが作成されていた。
今後,調査シートの内容や,面接で高評価,低評価となる事例について,テキスト分析を行う。