[PA15] 高等教育における協同学習の実践的検討(IX)
学びを深めるための問い方の分析
Keywords:協同学習、高等教育、学びを深める問い方
目 的
問いかけは情報を引き出すだけでなく,思考を促す働きがあり,課題解決や学習活動の話し合いの成果を左右する。話し合いを通じた学びを深めるには,メンバーの質問するスキルを高めることが必要になる。そこで本研究報告では,話し合いを通じた学習を深める問い方について,コミュニケーションと認知方略の2つの側面から分析し,産出された質問を評価する基準を探って等現間隔尺度の構成を目指す。
方 法
対象者: 地方の国立大学で対人コミュニケーションの授業を行い,質問のスキルをテーマにして受講生に質問を作成させ,その中から1年次生146名の回答を分析した。そして各カテゴリーから代表的な記述サンプルを抽出し,14カテゴリー×6項目の記述を別の私立大学の学生60名に提示して,自分がその質問を受けた時に思考が促されるかの観点から10段階で評定させた。
質問状況項目: 協同学習場面を想定して,コミュニケーションと認知方略の多様性が得られるように6つの質問状況を設定し,各項目に具体的な台詞で回答を求めた。
分類カテゴリー: コミュニケーションの側
面に関しては,①謝罪や礼が含まれている,②受けた説明を容認する言葉が含まれている,③受けた説明が理解できない事を言葉で明示している,に分類した。
認知方略の側面に関しては,①何かを尋ねる,②受けた説明の内容を確認する,③説明を改めて求める,に分類した。
結果と考察
紙面の制約から6つの項目の中から2つの項目を採りあげて,分類カテゴリーの採点結果を
クロス集計してFigureに示す。Figure 1ではコミュニケ―ションの効用を考慮しない問いかけが多く,謝罪や礼を含むコミュニケーションの効用を気にすると,改めて説明を求める要求が多くなった。Figure 2ではコミュニケーションの効用よりも直接的な要求が多くなった。
6つの質問状況項目に対する評定の中央値をみたところ,カテゴリー間の等現性は示されなかったが,2次元採点でも尺度構成できる見込みは得られた。言葉の表現に苦心する様子が覗えたことから,言葉は情報の限定的な表現になるという理解が,質問力のスキルアップには重要かもしれない。質問の産出に困難さがあったことから,メンバーの中にファシリテーターの役割を設定することが大切になる。
問いかけは情報を引き出すだけでなく,思考を促す働きがあり,課題解決や学習活動の話し合いの成果を左右する。話し合いを通じた学びを深めるには,メンバーの質問するスキルを高めることが必要になる。そこで本研究報告では,話し合いを通じた学習を深める問い方について,コミュニケーションと認知方略の2つの側面から分析し,産出された質問を評価する基準を探って等現間隔尺度の構成を目指す。
方 法
対象者: 地方の国立大学で対人コミュニケーションの授業を行い,質問のスキルをテーマにして受講生に質問を作成させ,その中から1年次生146名の回答を分析した。そして各カテゴリーから代表的な記述サンプルを抽出し,14カテゴリー×6項目の記述を別の私立大学の学生60名に提示して,自分がその質問を受けた時に思考が促されるかの観点から10段階で評定させた。
質問状況項目: 協同学習場面を想定して,コミュニケーションと認知方略の多様性が得られるように6つの質問状況を設定し,各項目に具体的な台詞で回答を求めた。
分類カテゴリー: コミュニケーションの側
面に関しては,①謝罪や礼が含まれている,②受けた説明を容認する言葉が含まれている,③受けた説明が理解できない事を言葉で明示している,に分類した。
認知方略の側面に関しては,①何かを尋ねる,②受けた説明の内容を確認する,③説明を改めて求める,に分類した。
結果と考察
紙面の制約から6つの項目の中から2つの項目を採りあげて,分類カテゴリーの採点結果を
クロス集計してFigureに示す。Figure 1ではコミュニケ―ションの効用を考慮しない問いかけが多く,謝罪や礼を含むコミュニケーションの効用を気にすると,改めて説明を求める要求が多くなった。Figure 2ではコミュニケーションの効用よりも直接的な要求が多くなった。
6つの質問状況項目に対する評定の中央値をみたところ,カテゴリー間の等現性は示されなかったが,2次元採点でも尺度構成できる見込みは得られた。言葉の表現に苦心する様子が覗えたことから,言葉は情報の限定的な表現になるという理解が,質問力のスキルアップには重要かもしれない。質問の産出に困難さがあったことから,メンバーの中にファシリテーターの役割を設定することが大切になる。