[PA30] 情報の提示スタイルが迷子紐の印象に与える影響
Twitter,LINE,新聞スタイルの比較の検討
Keywords:SNS、文章理解、迷子紐
目 的
迷子紐とは幼児用リードとも呼ばれ,大人が幼い子どもを連れて外出するときに,子どもの迷子や路上飛び出しによる交通事故を防ぐために用いられており,多動傾向のある子どもには特に有効である。しかし,ペットを連れて歩く姿を連想させることからその使用には批判的な意見もあり,使用を必要とする保護者にとって心理的な圧力となっている。本稿では,迷子紐の使用目的や有効性等に関する情報の提示により迷子紐の印象が好転するのか,また,情報の提示スタイルによってその効果が異なるのかについて検討する。
方 法
参加者:女子大学生307名(18~23歳)。参加者は,情報提示の4条件(命題リスト・Twitter・ LINE・新聞)のいずれかに割り当てられた。 材料:迷子紐の印象尺度:迷子紐の印象を測定するために,SNSの書き込み・新聞記事の迷子紐に関する記述を参考に作成した31項目・5件法の調査データを因子分析し,20項目の尺度を作成した(本稿では詳細は省略)。安全因子(7項目,α=.88),見た目因子(5項目,α=.86),使用意欲因子(4項目,α=.94),肯定因子(4項目,α=.85)の4つの下位尺度からなる。迷子紐に関する情報刺激:迷子紐に関する情報(使用目的,安全対策として有効な対象児や場面等)を10項目作成した(命題リスト)。次に,これら10項目に言及し情報提示スタイルの異なる刺激(Twitter風,LINE風,新聞記事風)を作成した。命題リストを含む4種類の刺激は用紙に印刷され,いずれか1種類が各質問紙の中に綴じられた。質問紙は「1.迷子紐印象尺度(事前調査),2.迷子紐に関する情報提示,3. 迷子紐印象尺度(事後調査)」からなる。参加者は,配布された質問紙中に
提示された情報の種類により各条件に割り当てられた。 調査時期:2018年11月 手続き:授業時間内に質問紙を配布し,最初から順に回答する(または刺激文を読む)よう求めた。
結 果
各情報提示スタイルにおける迷子紐の印象評定値をTable 1に示す。情報の提示スタイルによって,情報提示前後の迷子紐の印象の変化に差があるかを検討するために,迷子紐の印象尺度の下位尺度ごとに,参加者内因子を時間(事前・事後),参加者間因子を情報提示スタイル(以下「提示スタイル」)とする二要因の分散分析を行った。 (1)安全因子 提示スタイル・時間の主効果,交互作用とも有意であった(順にF(3,2145)=22.87, p<.01; F(1,2145)=149.88, p<.01; F(3,2145)= 17.16, p<.01)。 (2)見た目因子 提示スタイル・時間の主効果,交互作用とも有意であった(順にF(3,1531)=5.87, p<.01; F(1,1531)= 91.66, p<.01; F(3,1531)=5.11, p<.01)。評定値が低いほど見た目の印象が良好であることを示す。 (3)使用意欲因子 時間の主効果,交互作用が有意であった(順にF(1,1224)=180.27, p<.01; F(3,1224)= 6.51,p<.01)。 (4)肯定因子 提示スタイル・時間の主効果,交互作用とも有意であった(順にF(3,1224)=3.46, p<.05; F(1,1224)= 111.43, p<.01; F(3,1224)=4.62, p<.01)。 なお,いずれの因子においても,すべての提示スタイルで事前よりも事後の方が印象評定値が有意に高く(見た目因子のみ逆パターン),新聞スタイルの事前・事後の変化が最も大きかった。
考 察
迷子紐の印象は,いずれの因子においても情報提示により良好な方向に変化したが,新聞スタイルの効果が最も高かった。SNSや箇条書きのみの情報提示に比べて新聞スタイルの方がより説得力が高いことがうかがえる。
迷子紐とは幼児用リードとも呼ばれ,大人が幼い子どもを連れて外出するときに,子どもの迷子や路上飛び出しによる交通事故を防ぐために用いられており,多動傾向のある子どもには特に有効である。しかし,ペットを連れて歩く姿を連想させることからその使用には批判的な意見もあり,使用を必要とする保護者にとって心理的な圧力となっている。本稿では,迷子紐の使用目的や有効性等に関する情報の提示により迷子紐の印象が好転するのか,また,情報の提示スタイルによってその効果が異なるのかについて検討する。
方 法
参加者:女子大学生307名(18~23歳)。参加者は,情報提示の4条件(命題リスト・Twitter・ LINE・新聞)のいずれかに割り当てられた。 材料:迷子紐の印象尺度:迷子紐の印象を測定するために,SNSの書き込み・新聞記事の迷子紐に関する記述を参考に作成した31項目・5件法の調査データを因子分析し,20項目の尺度を作成した(本稿では詳細は省略)。安全因子(7項目,α=.88),見た目因子(5項目,α=.86),使用意欲因子(4項目,α=.94),肯定因子(4項目,α=.85)の4つの下位尺度からなる。迷子紐に関する情報刺激:迷子紐に関する情報(使用目的,安全対策として有効な対象児や場面等)を10項目作成した(命題リスト)。次に,これら10項目に言及し情報提示スタイルの異なる刺激(Twitter風,LINE風,新聞記事風)を作成した。命題リストを含む4種類の刺激は用紙に印刷され,いずれか1種類が各質問紙の中に綴じられた。質問紙は「1.迷子紐印象尺度(事前調査),2.迷子紐に関する情報提示,3. 迷子紐印象尺度(事後調査)」からなる。参加者は,配布された質問紙中に
提示された情報の種類により各条件に割り当てられた。 調査時期:2018年11月 手続き:授業時間内に質問紙を配布し,最初から順に回答する(または刺激文を読む)よう求めた。
結 果
各情報提示スタイルにおける迷子紐の印象評定値をTable 1に示す。情報の提示スタイルによって,情報提示前後の迷子紐の印象の変化に差があるかを検討するために,迷子紐の印象尺度の下位尺度ごとに,参加者内因子を時間(事前・事後),参加者間因子を情報提示スタイル(以下「提示スタイル」)とする二要因の分散分析を行った。 (1)安全因子 提示スタイル・時間の主効果,交互作用とも有意であった(順にF(3,2145)=22.87, p<.01; F(1,2145)=149.88, p<.01; F(3,2145)= 17.16, p<.01)。 (2)見た目因子 提示スタイル・時間の主効果,交互作用とも有意であった(順にF(3,1531)=5.87, p<.01; F(1,1531)= 91.66, p<.01; F(3,1531)=5.11, p<.01)。評定値が低いほど見た目の印象が良好であることを示す。 (3)使用意欲因子 時間の主効果,交互作用が有意であった(順にF(1,1224)=180.27, p<.01; F(3,1224)= 6.51,p<.01)。 (4)肯定因子 提示スタイル・時間の主効果,交互作用とも有意であった(順にF(3,1224)=3.46, p<.05; F(1,1224)= 111.43, p<.01; F(3,1224)=4.62, p<.01)。 なお,いずれの因子においても,すべての提示スタイルで事前よりも事後の方が印象評定値が有意に高く(見た目因子のみ逆パターン),新聞スタイルの事前・事後の変化が最も大きかった。
考 察
迷子紐の印象は,いずれの因子においても情報提示により良好な方向に変化したが,新聞スタイルの効果が最も高かった。SNSや箇条書きのみの情報提示に比べて新聞スタイルの方がより説得力が高いことがうかがえる。