日本教育心理学会第61回総会

講演情報

ポスター発表

[PA] ポスター発表 PA(01-63)

2019年9月14日(土) 10:00 〜 12:00 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号10:00~11:00
偶数番号11:00~12:00

[PA33] Twitter利用と疑似科学信奉との関連(1)

利用頻度,利用動機の観点から

佐藤広英1, 菊池聡2 (1.信州大学, 2.信州大学)

キーワード:Twitter、疑似科学、利用動機

問  題
 疑似科学や超常信奉の主張には情報の非対称性が顕著に見られ,マスメディアや書籍には肯定・推進側の情報が多く流され,懐疑的な情報が少ない。一方,SNSの普及は我々の情報環境を大きく変え,懐疑的な情報も比較的容易に入手可能となった。しかし,Twitter上においては,偽のニュースの方がその情報の新規性や感情反応の高さが故に正しいニュースよりも拡散されやすいことも示されている(Vosoughi et al., 2018)。こうしたSNS上での情報接触と疑似科学信奉との間の関連については,従来検討されていない。そこで,本研究では,Twitter利用に焦点をあて,疑似科学信奉との関連について検討することを目的とする。
方  法
 調査対象者 Yahoo!クラウドソーシングを用いてウェブ調査を実施した。不良回答を除外し,最終的に20~59歳の1,935名(女性727名,年齢:M = 42.75)を有効回答とした。
 調査内容 (a)疑似科学信奉:菊池(2018)の疑似科学信奉18項目5件法を用いた。(b)情報処理スタイル:内藤・鈴木・坂元(2004)の情報処理スタイル尺度(合理性-直観性)短縮版24項目5件法を用いた。(c)Twitter利用:Twitter利用の有無について尋ねた。利用者については,利用頻度(1週間あたりのおおよその閲覧回数を8段階評価),利用動機(北村・河合・佐々木(2016)のTwitter利用動機尺度18項目5件法)を尋ねた。(d)その他:性別,年齢,最終学歴(大卒以上か否か)について尋ねた。
結果と考察
 疑似科学信奉について未知科学3項目を除き因子分析(主因子法バリマックス回転)を行った結果,「日常系」「超常系」「医療系」の3因子が抽出された。疑似科学信奉,情報処理スタイル(合理性,直観性),Twitterの利用動機(オンライン人気獲得,既存社交,娯楽,情報獲得)各下位因子を構成する項目の平均値を算出し,各尺度得点とした。なお,合理性は疑似科学信奉との関連がみられなかったため,娯楽動機は多重共線性の問題のため,それぞれ分析から除いた。
 Twitter利用の有無,性別,年齢,学歴,直観性を説明変数,疑似科学信奉各得点を目的変数とした重回帰分析を行った。その結果,Twitter利用者では非利用者よりも超常系,日常系の得点が低く,疑似科学を信奉する程度が低かった。また,女性,年齢が高い者,最終学歴が低い者,直観性が高い者ほど疑似科学を信奉する程度が高かった。
 次に,Twitter利用者(n = 742)のみを対象とし,利用頻度,利用動機の各得点,性別,年齢,学歴,直観性を説明変数,疑似科学信奉各得点を目的変数とした重回帰分析を行った(Table 1)。その際,利用頻度の高群・低群ごとの分析も行った。その結果,次の二点が示された。第一に,関連は小さいものの,利用頻度が多いほど疑似科学を信奉していないことが示された。Twitter上の懐疑的な情報の多さによるものと推察される。第二に,利用動機の種類によって疑似科学信奉との関連が異なり,特に,オンライン人気獲得動機が高いほど疑似科学を信奉しやすいことが示された。これは,利用動機によってTwitter上で接触する情報の種類が異なるためと推察される。