[PB47] 通信制高校における不登校経験者の高校生活満足度と卒業後の適応
Keywords:不登校経験、通信制高校、高校卒業後の適応
問題と目的
2017年度の小中学校における不登校児童生徒数は144,031人(出現率1.47%)とこれまでで最も多い数となった。小中学校における不登校支援に今後も力を入れていくとともに,将来の「社会的自立」(森田,2003)を目指すとき,不登校経験者がその後進学する高校における支援も重要となる。本研究では,通信制高校卒業生を対象とした質問紙調査を行い,不登校経験者の高校生活満足度と高卒後の適応(進学・就職先をやめたいと思った経験)との関連について明らかにし,不登校経験者に対する高校での支援について検討を行う。
方 法
(1)調査方法 郵送による質問紙調査,(2)調査時期 平成26年7月,(3)調査対象 A通信制高等学校の平成19~24年度卒業生2,020名に質問紙を郵送し314名から回答を得た(回収率15.5%)。そのうち,不登校経験者は236名(75.6%),(4)調査内容 ①フェイスシート,②不登校経験の有無・時期,③高校での登校状況,④高校生活満足度,⑤高校生活満足・不満足の理由(満足8項目,不満足9項目から1つを選択),⑥高卒後の進学・就職先をやめたいと思った経験
結果・考察
(1)不登校経験と高校生活満足度,高卒後の適応(進学・就職先をやめたいと思った経験)の関連
不登校経験の有無による高校生活満足度(「満足」「不満足」)の差についてχ2検定を行ったところ,有意差が見られた(χ2(1)=3.93,p<.05)。残差分析の結果,「満足」が不登校経験者では約8割に対し,不登校経験のない者では約9割と多かった。
次に,不登校経験の有無による高卒後の適応(進学・就職先をやめたいと思ったことが「よくある・あった+実際にやめた」「ときどきある・あった」「まったくない・なかった」)についてχ2検定を行ったところ,有意差が見られた(χ2(2)=12.35,p<.01)。残差分析の結果,「まったくない・なかった」「よくある・あった+実際にやめた」で差が見られ,「まったくない・なかった」が不登校経験者では約3割に対し,不登校経験のない者では約5割と多く,「よくある・あった+実際にやめた」が不登校経験者では約4割に対し,不登校経験のない者では約2割と少なかった。不登校経験者のほうが高校生活に不満足感を持つ割合や高卒後の適応に困難を感じる割合が高く,支援が必要であると考えられる。
(2)不登校経験者における高校生活満足度と高卒後の適応との関連
不登校経験者に着目し,高校生活満足度による高卒後の適応(進学・就職先をやめたいと思った経験)の相違について検討したところ(Table1),有意差が見られた。残差分析の結果,「よくある・あった+実際にやめた」のみ差が見られ,「満足」の者で約4割であったのに対し,「不満足」の者で約6割と多かった。高校生活満足度と高卒後の適応に関連があることが推測され,高校生活満足度を高めることが重要であると考えられる。
(3)不登校経験者における高校生活満足の理由
高校生活満足の理由について,不登校経験の有無ごとに高校生活満足群の選択率をまとめ,不登校経験の有無による差についてχ2検定を行ったところ(Table2),有意差が見られた。残差分析の結果,「信頼できる先生」「充実した高校生活」で差が見られ,「信頼できる先生」が不登校経験のない者では約1割に対し,不登校経験者では約2割と多く,不登校経験者にとって信頼できる先生の存在が重要であることが示唆された。
2017年度の小中学校における不登校児童生徒数は144,031人(出現率1.47%)とこれまでで最も多い数となった。小中学校における不登校支援に今後も力を入れていくとともに,将来の「社会的自立」(森田,2003)を目指すとき,不登校経験者がその後進学する高校における支援も重要となる。本研究では,通信制高校卒業生を対象とした質問紙調査を行い,不登校経験者の高校生活満足度と高卒後の適応(進学・就職先をやめたいと思った経験)との関連について明らかにし,不登校経験者に対する高校での支援について検討を行う。
方 法
(1)調査方法 郵送による質問紙調査,(2)調査時期 平成26年7月,(3)調査対象 A通信制高等学校の平成19~24年度卒業生2,020名に質問紙を郵送し314名から回答を得た(回収率15.5%)。そのうち,不登校経験者は236名(75.6%),(4)調査内容 ①フェイスシート,②不登校経験の有無・時期,③高校での登校状況,④高校生活満足度,⑤高校生活満足・不満足の理由(満足8項目,不満足9項目から1つを選択),⑥高卒後の進学・就職先をやめたいと思った経験
結果・考察
(1)不登校経験と高校生活満足度,高卒後の適応(進学・就職先をやめたいと思った経験)の関連
不登校経験の有無による高校生活満足度(「満足」「不満足」)の差についてχ2検定を行ったところ,有意差が見られた(χ2(1)=3.93,p<.05)。残差分析の結果,「満足」が不登校経験者では約8割に対し,不登校経験のない者では約9割と多かった。
次に,不登校経験の有無による高卒後の適応(進学・就職先をやめたいと思ったことが「よくある・あった+実際にやめた」「ときどきある・あった」「まったくない・なかった」)についてχ2検定を行ったところ,有意差が見られた(χ2(2)=12.35,p<.01)。残差分析の結果,「まったくない・なかった」「よくある・あった+実際にやめた」で差が見られ,「まったくない・なかった」が不登校経験者では約3割に対し,不登校経験のない者では約5割と多く,「よくある・あった+実際にやめた」が不登校経験者では約4割に対し,不登校経験のない者では約2割と少なかった。不登校経験者のほうが高校生活に不満足感を持つ割合や高卒後の適応に困難を感じる割合が高く,支援が必要であると考えられる。
(2)不登校経験者における高校生活満足度と高卒後の適応との関連
不登校経験者に着目し,高校生活満足度による高卒後の適応(進学・就職先をやめたいと思った経験)の相違について検討したところ(Table1),有意差が見られた。残差分析の結果,「よくある・あった+実際にやめた」のみ差が見られ,「満足」の者で約4割であったのに対し,「不満足」の者で約6割と多かった。高校生活満足度と高卒後の適応に関連があることが推測され,高校生活満足度を高めることが重要であると考えられる。
(3)不登校経験者における高校生活満足の理由
高校生活満足の理由について,不登校経験の有無ごとに高校生活満足群の選択率をまとめ,不登校経験の有無による差についてχ2検定を行ったところ(Table2),有意差が見られた。残差分析の結果,「信頼できる先生」「充実した高校生活」で差が見られ,「信頼できる先生」が不登校経験のない者では約1割に対し,不登校経験者では約2割と多く,不登校経験者にとって信頼できる先生の存在が重要であることが示唆された。