[PB64] 教員採用試験におけるカウンセリング・心理療法
Keywords:教員採用試験、カウンセリング、心理療法
問題と目的
2017年に改訂された学習指導要領において,カウンセリングにより児童生徒の発達を支援することが明記された。教員養成段階におけるカウンセリングに関する学びは,1998年に教員職員免許法及び同執行規則が改正され,その基礎的知識の修得が必修化された。また,2017年に示された「教職課程コアカリキュラム」において,「教育相談(カウンセリングに関する基礎的な知識を含む。)の理論及び方法」の「全体目標」として「カウンセリングの意義,理論や技法に関する基礎知識」を身に付けることが明記された。しかし,どのような内容が基礎知識であるのか,その具体は示されていない。そこで本研究では,全国の教員採用試験において出題されたカウンセリング及び心理療法に関する問題を分析することにより,教員の採用段階において求められるカウンセリングに関する基礎知識を検討することを目的とした。
方 法
2009年から2018年の10年間に実施された全国の教員採用試験問題(教職教養)を対象とし,カウンセリング及び心理療法について出題されている問題から,技法・療法名及びそれらに関する用語を抽出した。その際,選択肢としてのみ示されていた用語は除いた。対象とした問題の収集は,時事通信出版局の編集による「教職教養の過去問」(時事通信社)を用いた。
結果と考察
10年間の教員採用試験問題から抽出されたカウンセリング技法・心理療法に関する用語の数は45であり,そのうち出現回数の上位10位をTable 1に示した。最も多く出現したのは,クライエント中心療法に関するもので41回であった(ロジャーズの中核条件に関する出題も含む)。次いで,行動療法に関する用語であり,行動療法そのものが17回,系統的脱感作法が3回,トークンエコノミー法が3回,オペラント条件づけ法が2回,モデリング療法が1回出現していた。3位から7位は,2010年に刊行された生徒指導提要(文部科学省)において「教育相談でも活用できる新たな手法等」として記載されている技法であった。9位の遊戯療法(プレイ・セラピーを含む)については2016年以降の出題はなかった。その他,心理劇(7回),ゲシュタルト療法(6回),ストレスマネジメント教育(6回),ライフスキルトレーニング(5回),論理療法(4回),家族療法(3回),キャリアカウンセリング(3回),交流分析(3回),自律訓練法(3回),内観療法(3回),認知療法(3回)であり,認知行動療法は1回のみの出現であった。
以上のことから,クライエント中心療法・行動療法・精神分析療法の所謂三本柱,一次的援助サービスに活用できる技法,ラポール,非言語的アプローチに関する技法がカウンセリングに関する基礎知識として,教員の採用段階で特に求められていることが示唆された。
2017年に改訂された学習指導要領において,カウンセリングにより児童生徒の発達を支援することが明記された。教員養成段階におけるカウンセリングに関する学びは,1998年に教員職員免許法及び同執行規則が改正され,その基礎的知識の修得が必修化された。また,2017年に示された「教職課程コアカリキュラム」において,「教育相談(カウンセリングに関する基礎的な知識を含む。)の理論及び方法」の「全体目標」として「カウンセリングの意義,理論や技法に関する基礎知識」を身に付けることが明記された。しかし,どのような内容が基礎知識であるのか,その具体は示されていない。そこで本研究では,全国の教員採用試験において出題されたカウンセリング及び心理療法に関する問題を分析することにより,教員の採用段階において求められるカウンセリングに関する基礎知識を検討することを目的とした。
方 法
2009年から2018年の10年間に実施された全国の教員採用試験問題(教職教養)を対象とし,カウンセリング及び心理療法について出題されている問題から,技法・療法名及びそれらに関する用語を抽出した。その際,選択肢としてのみ示されていた用語は除いた。対象とした問題の収集は,時事通信出版局の編集による「教職教養の過去問」(時事通信社)を用いた。
結果と考察
10年間の教員採用試験問題から抽出されたカウンセリング技法・心理療法に関する用語の数は45であり,そのうち出現回数の上位10位をTable 1に示した。最も多く出現したのは,クライエント中心療法に関するもので41回であった(ロジャーズの中核条件に関する出題も含む)。次いで,行動療法に関する用語であり,行動療法そのものが17回,系統的脱感作法が3回,トークンエコノミー法が3回,オペラント条件づけ法が2回,モデリング療法が1回出現していた。3位から7位は,2010年に刊行された生徒指導提要(文部科学省)において「教育相談でも活用できる新たな手法等」として記載されている技法であった。9位の遊戯療法(プレイ・セラピーを含む)については2016年以降の出題はなかった。その他,心理劇(7回),ゲシュタルト療法(6回),ストレスマネジメント教育(6回),ライフスキルトレーニング(5回),論理療法(4回),家族療法(3回),キャリアカウンセリング(3回),交流分析(3回),自律訓練法(3回),内観療法(3回),認知療法(3回)であり,認知行動療法は1回のみの出現であった。
以上のことから,クライエント中心療法・行動療法・精神分析療法の所謂三本柱,一次的援助サービスに活用できる技法,ラポール,非言語的アプローチに関する技法がカウンセリングに関する基礎知識として,教員の採用段階で特に求められていることが示唆された。