日本教育心理学会第61回総会

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ポスター発表

[PC] ポスター発表 PC(01-66)

Sat. Sep 14, 2019 3:30 PM - 5:30 PM 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号15:30~16:30
偶数番号16:30~17:30

[PC01] 子ども用制御焦点尺度の開発

小学生を対象として

外山美樹1, 海沼亮2, 長峯聖人3, 湯立4, 肖雨知5, 三和秀平6 (1.筑波大学, 2.筑波大学大学院・日本学術振興会, 3.筑波大学大学院・日本学術振興会, 4.筑波大学大学院, 5.筑波大学大学院, 6.関西外国語大学)

Keywords:制御焦点、動機づけ、小学生

問題と目的
 Higgins(1997)の制御焦点理論では,人の目標志向性を促進焦点(promotion focus)と防止焦点(prevention focus)の2つに区別している。促進焦点は希望や理想を実現することを目標とし,進歩や獲得の在・不在に焦点を当てる目標志向性である。一方,防止焦点は義務や責任を果たすことを目標とし,安全や損失の在・不在に焦点を当てる目標志向性である。
 制御焦点の個人差を測定する尺度として,わが国では制御焦点尺度日本語版(遠藤,2011)やPPFS(Promotion/prevention focus scale)翻訳版(尾崎・唐沢,2011)があるが,子どもの制御焦点の個人差を測定する尺度は存在しない。本研究では,小学生を対象にして,子ども用制御焦点尺度を作成することを目的とする。
方  法
調査対象者 小学校5年生206名,6年生206名の計412名(男子206名,女子206名)。
質問紙 遠藤(2011)の成人を対象にした制御焦点尺度日本語版を参考に,独自に作成した。促進焦点6項目,防止焦点5項目から成る尺度で,4段階評定で回答を求めた。妥当性検討のために,田中・山内(2000)の目標志向尺度(遂行接近志向,遂行回避志向)と小関他(2018)の児童用BIS/BAS尺度(BIS, BAS, BAS-報酬性反応,BAS-駆動,BAS-刺激追求)を用いた。
結果と考察
 子ども用制御焦点尺度項目の偏向状況を算出した結果,1つの選択肢に60%以上の調査対象者が回答した項目はなかった。そこで,全11項目に対して最尤法による因子分析を行った。固有値の変化ならびに因子の解釈可能性から2因子構造が妥当であると判断した。そこで再度2因子を仮定して,因子分析(最尤法→Promax回転)を行った。その結果,すべての項目において1つの因子のみに.30以上の因子負荷量を示した(Table 1)。因子Ⅰは防止焦点の項目が,因子Ⅱは促進焦点の項目が高い負荷量を示したことより,本尺度の構造的な側面の証拠(Messick, 1995)が確認された。回転前の2因子11項目の全分散を説明する割合は,48.76%で,因子間相関は .42であった。
 尺度の内的一貫性を検討するため,Cronbachのα係数を算出したところ,防止焦点尺度が.71,促進焦点尺度が.79で,満足し得る内的一貫性が認められた。
 子ども用制御焦点尺度の外的な側面の証拠(Messick, 1995)を検証するために,理論的に関連の強い構成概念と考えられる変数との偏相関係数を算出した。その結果,防止焦点の影響を統制した促進焦点は,遂行接近ならびにBAS(全体,報酬性反応,駆動,刺激追求)と有意な関連がみられた(順に,.26, .47, .44, .33, .42, ps<.01)が,遂行回避ならびにBISとは有意な関連が見られなかった。一方,促進焦点の影響を統制した防止焦点は,遂行回避とBISと有意な関連がみられ(順に,.32, .30, ps<.01),加えて遂行接近とBAS-報酬性反応とも有意な関連がみられた(順に,.29, .13, ps<.01)。BASならびにBAS-駆動,BAS-刺激追求とは有意な関連がみられなかった。
 以上の結果より,子ども用制御焦点尺度は,内的一貫性と一定の妥当性を有していると判断された。