日本教育心理学会第61回総会

Presentation information

ポスター発表

[PC] ポスター発表 PC(01-66)

Sat. Sep 14, 2019 3:30 PM - 5:30 PM 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号15:30~16:30
偶数番号16:30~17:30

[PC06] 子どもに心地よい音・音楽表現とメタ認知発達支援(1)

プロの演奏家による絵本オペラ演奏からの考察

石上浩美 (京都市立芸術大学大学院)

Keywords:絵本オペラ、保育内容領域表現、メタ認知発達支援

問題と目的
 保育(Childcare)とは, 子どもが適切な環境の下で,健康・安全で安定感を持って活動できるように大人が養護するとともに,その心身を健全に発達させるように働きかけることである(石上,2019)。また,村井(1988)は,子どもは生まれながらに「善さ」を持っているだけではなく「善くなろう」としている存在であるという(Figure 1)。
 一方,平成29年3月幼稚園教育要領等の改訂にともない,「幼稚園教育において育みたい資質・能力および幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿(以下10の姿)」が示された。これは,方向目標としてとらえるべきものであるが,今後保育現場における計画や実践が「10の姿」にとらわれ,子どもの自由な表現を制約するのではないか,という懸念もある。
 そこで本研究では,子どもに心地よい音・音楽表現とはどのようなものなのか,それが子どものメタ認知発達支援とどのように結びつくのかを明らかにするために,音楽表現活動(絵本オペラ)に焦点をあてた調査・分析を行った。
方  法
絵本オペラ活動の概要:既存の絵本作品を基に,独自作曲した楽曲を,打楽器・ピアノ・歌によって演奏しながら,独創的な絵本の物語を展開する。1公演あたり45分程度。本研究では内田麟太郎・隆矢なな作「ともだちや」を題材とした。
調査時期:2017年2月~2018年3月(計5回)
調査対象・データ:絵本オペラ活動動画記録,演奏者への半構造化面接法個別インタビュー。インタビューデータはICレコーダーで録音し,逐語記録を作成した。その後,発話群を抽出,音声的な抑揚や間を加筆したテキストとし,質的コード化の技法(Coffey & Atkinson.1996;メイナード.1993),および質的分析ソフト(IBM SPSS Text Analytics for Surveys)で分類・分析した。
結果と考察
 大まかなインタビュー項目は,1)活動のきっかけ,2)活動の継続・普及・啓発,3)活動の社会的意義の3点である。以下,紙面の都合上,演奏者(代表)インタビューデータの一部を示す。