[PC43] 大学生のゲーム利用動機とゲーム後の感じ方について
なぜ,やめられないのか
Keywords:ゲーム嗜好性、ゲーム利用動機、バーンアウト
現代では,日本のみならず世界的にも幅広い年代において,ゲームが利用されている。特に,スマーフォンでのゲームは誰でもいつでも利用することができ,より身近になものになったと言える。一方で,海外からもゲーム依存性に警鐘をならす報道がなされている。オンラインゲームや課金制のゲーム利用により深刻なゲーム依存が問題視されてきている。加藤・五十嵐(2016)による研究では,自己愛傾向はゲーム内の目標に対する動機付けと没入傾向の両方を高めることが示された。しかしながら,ゲームを行った後にどのように感じるかに注目した研究は少ない。本研究では,大学生のゲーム利用動機とゲーム後の感じ方,依存性の要因,ストレスとの関係を中心に検証する。
研究方法
都内私立大学に通う162名(男子85名,女子76名:平均年齢22.88歳)を対象に行った。質問紙は,①好きなゲームの種類(井口,2013)②ゲームの利用動機(井口,2013)③ゲーム後の感じ方④コーピング尺度(久保ら,1992)⑤バーンアウト尺度(尾関,1993)の5つの尺度86項目からなり,6件法で行った。
結果と考察
各尺度について因子分析(主因子法・ブロマックス回転)を行った。まず,ゲームの種類に関しては,3因子(「シュミレーション嗜好性(α=0.908)」,「戦闘嗜好性(α=0.982)」,「マス・アイコン嗜好性(α=0.820)」)が得られ,ゲームの利用動機については4因子(「趣向(α=0.957)」「友人」(α=0.906)「承認(α=0.926)」「作者(α=0.929)」)が得られた。また,ストレスコーピング尺度では3因子(「諦観(α=0.828)」「適応(α=0.815)」「協力(α=0.723)」)が得られ,バーンアウト尺度は2因子(「達成(α=0.935)」「消耗(α=0.892)」)に分かれた。
ゲームの種類とゲームの利用動機について性差があるかどうかt分析を行った結果,男子の方が女子よりも戦闘嗜好のゲームを好むことが示された(t=4.09,df=156,p<0.001)。また,女子よりも男子の方が利用動機の「友人」(t=3.20,df=158,p<0.002)や周りからの「承認」(t=3.32,df=158,P<0.001)が高いことが示された。
ゲームの感じ方の中で依存的傾向を測る項目「一度はやめるがまたすぐにやり始める」とゲームの種類(「シュミレーション嗜好性(r=0.425)」「戦闘嗜好性(r=0.530)」)との相関関係は,1%水準で有意な比較的強い正の相関関係が見られた。また,利用動機尺度との関係においても1%水準で有意な比較的強い正の相関関係(3つにおいて)が見られた(Table1)。ゲームの種類や利用動機に関わらず,ゲーム嗜好性が高い人ほど,またゲーム利用動機が高い人ほど,一度やめてもまたすぐやり始める傾向があることが示唆された。
付 記
本発表は,高橋尉が玉川大学教育学部に提出した2017年度卒業研究論文の一部に加筆修正したものである。
研究方法
都内私立大学に通う162名(男子85名,女子76名:平均年齢22.88歳)を対象に行った。質問紙は,①好きなゲームの種類(井口,2013)②ゲームの利用動機(井口,2013)③ゲーム後の感じ方④コーピング尺度(久保ら,1992)⑤バーンアウト尺度(尾関,1993)の5つの尺度86項目からなり,6件法で行った。
結果と考察
各尺度について因子分析(主因子法・ブロマックス回転)を行った。まず,ゲームの種類に関しては,3因子(「シュミレーション嗜好性(α=0.908)」,「戦闘嗜好性(α=0.982)」,「マス・アイコン嗜好性(α=0.820)」)が得られ,ゲームの利用動機については4因子(「趣向(α=0.957)」「友人」(α=0.906)「承認(α=0.926)」「作者(α=0.929)」)が得られた。また,ストレスコーピング尺度では3因子(「諦観(α=0.828)」「適応(α=0.815)」「協力(α=0.723)」)が得られ,バーンアウト尺度は2因子(「達成(α=0.935)」「消耗(α=0.892)」)に分かれた。
ゲームの種類とゲームの利用動機について性差があるかどうかt分析を行った結果,男子の方が女子よりも戦闘嗜好のゲームを好むことが示された(t=4.09,df=156,p<0.001)。また,女子よりも男子の方が利用動機の「友人」(t=3.20,df=158,p<0.002)や周りからの「承認」(t=3.32,df=158,P<0.001)が高いことが示された。
ゲームの感じ方の中で依存的傾向を測る項目「一度はやめるがまたすぐにやり始める」とゲームの種類(「シュミレーション嗜好性(r=0.425)」「戦闘嗜好性(r=0.530)」)との相関関係は,1%水準で有意な比較的強い正の相関関係が見られた。また,利用動機尺度との関係においても1%水準で有意な比較的強い正の相関関係(3つにおいて)が見られた(Table1)。ゲームの種類や利用動機に関わらず,ゲーム嗜好性が高い人ほど,またゲーム利用動機が高い人ほど,一度やめてもまたすぐやり始める傾向があることが示唆された。
付 記
本発表は,高橋尉が玉川大学教育学部に提出した2017年度卒業研究論文の一部に加筆修正したものである。